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新人魔女の栽培研究(1)
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新人魔女のリッカが工房の扉を開けると、早速不機嫌そうな声が飛んできた。
「工房主になった途端、全く顔を出さなくなるとは良い身分だな」
「すいません。でも、毎日連絡は入れていましたよ」
リッカは言い訳をしながら声の主に頭を下げる。彼女の視線の先には、執務机に頬杖をついてつまらなそうに本のページを捲るリゼの姿があった。今日は緑色の長い髪を一つの三つ編みにして後ろへ流している。顔にかかる髪をまとめていることで、仏頂面がより一層はっきりと見える。
「それで? お忙しい工房主様がこんな森の中の工房へ一体何の用だ?」
いつも以上に不機嫌そうな声を出してジロリとリッカを睨みつけるが、よく見るとその口元は少し緩んでいた。実は今日リッカが工房へやってくることは事前に知らされていたし、リゼはその為にわざわざ午前中の予定を空けて工房で待っていたのだ。つまり、不機嫌な様子は一種のポーズだ。
「実は、ギルドのオークションをきっかけに、街のスイーツ店と定期契約をしたんですよ。これで、工房に定期的に収入が入るようになりましたよ」
リッカの報告にリゼはチラリと視線を上げる。しかしすぐに興味なさそうに鼻を鳴らす。
「ふん。そうか、それは良かったな」
「はい。工房主として一仕事した気分です。それでですね……少々リゼさんのお知恵を借りられないかと思いまして」
リゼは本をパタリと閉じる。頬杖はついたままだが、それでもようやくリッカの方へ視線を向けた。その目には微かに期待の色が見える。
「ほう。私の知恵を?」
リッカは鞄から一枚の羊皮紙を取り出す。それを執務机の上に置いた。昨日リッカがラウルと交わした契約書だ。リゼはそれを手に取った。
「実は、スイーツ店に氷精花を卸すことになったんです」
「ふむ……。氷精花ならば、君が持っているではないか? いつぞやこの工房の冷凍庫を占拠したやつを」
リゼの疑問にリッカは苦笑を浮かべた。
「ええ。今回はその時の在庫がまだあるのでそれを卸せばいいのですけど、これから定期的に卸すとなると、手持ちだけでは足りなくなるかもしれないじゃないですか。せっかく契約したのに、供給できない状況になってはいけないと思うのです」
リゼが眉を上げる。
「何が言いたい?」
リゼの問いにリッカは目を輝かせた。
「だから、氷精花を栽培できないかと思うんです」
リッカの言葉にリゼは驚きの表情になる。そして羊皮紙に書かれた内容をもう一度よく読み直した。
「工房主になった途端、全く顔を出さなくなるとは良い身分だな」
「すいません。でも、毎日連絡は入れていましたよ」
リッカは言い訳をしながら声の主に頭を下げる。彼女の視線の先には、執務机に頬杖をついてつまらなそうに本のページを捲るリゼの姿があった。今日は緑色の長い髪を一つの三つ編みにして後ろへ流している。顔にかかる髪をまとめていることで、仏頂面がより一層はっきりと見える。
「それで? お忙しい工房主様がこんな森の中の工房へ一体何の用だ?」
いつも以上に不機嫌そうな声を出してジロリとリッカを睨みつけるが、よく見るとその口元は少し緩んでいた。実は今日リッカが工房へやってくることは事前に知らされていたし、リゼはその為にわざわざ午前中の予定を空けて工房で待っていたのだ。つまり、不機嫌な様子は一種のポーズだ。
「実は、ギルドのオークションをきっかけに、街のスイーツ店と定期契約をしたんですよ。これで、工房に定期的に収入が入るようになりましたよ」
リッカの報告にリゼはチラリと視線を上げる。しかしすぐに興味なさそうに鼻を鳴らす。
「ふん。そうか、それは良かったな」
「はい。工房主として一仕事した気分です。それでですね……少々リゼさんのお知恵を借りられないかと思いまして」
リゼは本をパタリと閉じる。頬杖はついたままだが、それでもようやくリッカの方へ視線を向けた。その目には微かに期待の色が見える。
「ほう。私の知恵を?」
リッカは鞄から一枚の羊皮紙を取り出す。それを執務机の上に置いた。昨日リッカがラウルと交わした契約書だ。リゼはそれを手に取った。
「実は、スイーツ店に氷精花を卸すことになったんです」
「ふむ……。氷精花ならば、君が持っているではないか? いつぞやこの工房の冷凍庫を占拠したやつを」
リゼの疑問にリッカは苦笑を浮かべた。
「ええ。今回はその時の在庫がまだあるのでそれを卸せばいいのですけど、これから定期的に卸すとなると、手持ちだけでは足りなくなるかもしれないじゃないですか。せっかく契約したのに、供給できない状況になってはいけないと思うのです」
リゼが眉を上げる。
「何が言いたい?」
リゼの問いにリッカは目を輝かせた。
「だから、氷精花を栽培できないかと思うんです」
リッカの言葉にリゼは驚きの表情になる。そして羊皮紙に書かれた内容をもう一度よく読み直した。
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