新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!

田古みゆう

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新人魔女の初オークション(8)

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「貸付が受けられたとしても、その後は利子を付けてギルドへ返済していかなければならないの。だから、借りた方が絶対に良いとは言い切れないのよ」

 ミーナの言葉に二人は再び顔を見合わせた。

「利子ということは、もともとの金額よりも最終的には多くの支出があるということですよね?」
「そっかぁ。それじゃあ、担保でお金を借りた方が良いというわけでもないのですね」

 エルナが難しい顔で顎に手を遣る。リッカも腕を組んで考え込んだ。そんな二人にギルド長が優しく声をかける。 

「まあ、貸付を受けるかどうかは必要に応じてということですよ。でも、お金が必要な時はギルドへご相談ください。きっとお力になれると思いますから」
「はい」

 リッカは素直に頷いた。そんな話をしている間にもオークションは進んでいた。

『さて、次が本日最後の商品となります』

 司会者が舞台に運び込んだのは、大きな皿にこんもりと盛られた水色の球体だった。プルンプルンと揺れる様を見て、リッカは思わず「あっ」と声を上げた。

「スイート・ミッションの薬用スイーツですね?」
「ええ、そうです。お嬢さんはご存知でしたか。しかし、あれは……」

 ギルド長が珍しく渋い表情で頷く。リッカがオリバーの態度に首を傾げていると、周りからヒソヒソと話す声が聞こえてきた。

ーーあれ、スライムじゃないのか……
ーーあんなものを競り落とす奴がいるのか……

 そのざわつきにリッカは怪訝な表情になる。ミーナとエルナも心配そうな顔だ。

『こちらのスイーツは現在試作開発中のスイーツでして、主原料に薬草である氷精花が使われております。とても珍しいスイーツでございます。しかし今回は、こちらのスイーツそのものを販売するわけではございません!』

 司会者の言葉にホールのざわつきはますます大きくなる。商品を出しておいて商品を売らないとはどういうことなのか。リッカは司会者の次の言葉を待った。

『今回はこのスイーツの卸し先となる薬屋、もしくは、原材料である氷精花を扱っている薬草農家、またはその両方など、製造販売に関わる方との専属契約権の販売となります』

 司会者の言葉に皆一様に眉をひそめているか、あるいは信じられないと言った表情をしている者ばかりだ。そんな様子にリッカはハラハラとする。

『今回は落札者様の言い値スタートでございます。お幾らからでも構いません。薬屋様、薬草農家様、是非お手をお挙げください』

 司会者の声がホールに響いた。
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