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新人魔女と義姉のアルバイト(7)
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ラウルが淹れてくれた薬草茶は、いつも飲むものよりも味と香りがより強く感じられた。
「このお茶、美味しい。どこの茶葉ですか?」
リッカの疑問にラウルは嬉しそうに微笑む。
「それ、美味しいよね。スヴァルト領の農園のだよ。うちの店で使う物は、どの茶葉も全てスヴァルト領産さ」
ラウルの言葉にリッカは思わずお茶を吹き出しそうになった。自分の、正確には父の領地であるスヴァルト領は、国随一のお茶の産地だ。王室御用達と認められるほどにスヴァルト領で作られているお茶はどれも一級品なのだ。そんな高品質な茶葉をラウルは惜しげもなく振舞っている。
「こちらの茶葉は、スヴァルト領から取り寄せているのですか?」
エルナの問いにラウルは頷く。
「うん、そうだよ。昔は僕自身が買い付けに行っていたんだけど、有難いことに忙しくなってしまって、なかなか農園まで出かけていく時間がないから、最近は知り合いの行商人にお願いして運んでもらってるんだ」
ラウルはかなりのスヴァルト茶贔屓の様だ。自領の特産品の良さに気付いてくれているスイーツ店店主にリッカは尊敬の眼差しを向けた。そんなリッカとは対照的に、エルナは素知らぬ顔でラウルに問う。
「スヴァルト領産となると、茶葉はかなりお高いのではありませんか?」
エルナの問いにラウルは苦笑いを浮かべる。
「まあね。やっぱりいい茶葉だけあってお値打ちとは言えないけど、僕はうちのスイーツには、スヴァルト領産のお茶が一番合っていると思うからさ。それに、この辺りでスヴァルト領産の茶葉を楽しめる店はうちだけみたいなんだよね。僕は皆に広めたいんだよ。このお茶の美味しさを」
スヴァルト領産の茶葉は王室御用達ということもあり、少々値がはる。そのため、一般国民が気軽に楽しむことができる物ではないのだ。それをラウルは惜しげもなく提供して、皆にその良さを広めてくれているようだ。
ラウルの答えにエルナは納得したように頷きつつも、少し申し訳ない気持ちになる。ラウルの店は繁盛していそうだったが、提供している高価な茶のせいで利益はあまりないように感じたのだ。
「ラウルさん、例えば、この茶葉の値がもう少し安くなったら良いと思ったことはありませんか?」
エルナの疑問にラウルは「うーん」と唸る。
「そうだね。確かにもう少し値段が下がれば、誰でもこの茶葉を楽しむことができるようになるかもしれない。でも、僕は今のままでもいいかなぁ……と思うよ」
「このお茶、美味しい。どこの茶葉ですか?」
リッカの疑問にラウルは嬉しそうに微笑む。
「それ、美味しいよね。スヴァルト領の農園のだよ。うちの店で使う物は、どの茶葉も全てスヴァルト領産さ」
ラウルの言葉にリッカは思わずお茶を吹き出しそうになった。自分の、正確には父の領地であるスヴァルト領は、国随一のお茶の産地だ。王室御用達と認められるほどにスヴァルト領で作られているお茶はどれも一級品なのだ。そんな高品質な茶葉をラウルは惜しげもなく振舞っている。
「こちらの茶葉は、スヴァルト領から取り寄せているのですか?」
エルナの問いにラウルは頷く。
「うん、そうだよ。昔は僕自身が買い付けに行っていたんだけど、有難いことに忙しくなってしまって、なかなか農園まで出かけていく時間がないから、最近は知り合いの行商人にお願いして運んでもらってるんだ」
ラウルはかなりのスヴァルト茶贔屓の様だ。自領の特産品の良さに気付いてくれているスイーツ店店主にリッカは尊敬の眼差しを向けた。そんなリッカとは対照的に、エルナは素知らぬ顔でラウルに問う。
「スヴァルト領産となると、茶葉はかなりお高いのではありませんか?」
エルナの問いにラウルは苦笑いを浮かべる。
「まあね。やっぱりいい茶葉だけあってお値打ちとは言えないけど、僕はうちのスイーツには、スヴァルト領産のお茶が一番合っていると思うからさ。それに、この辺りでスヴァルト領産の茶葉を楽しめる店はうちだけみたいなんだよね。僕は皆に広めたいんだよ。このお茶の美味しさを」
スヴァルト領産の茶葉は王室御用達ということもあり、少々値がはる。そのため、一般国民が気軽に楽しむことができる物ではないのだ。それをラウルは惜しげもなく提供して、皆にその良さを広めてくれているようだ。
ラウルの答えにエルナは納得したように頷きつつも、少し申し訳ない気持ちになる。ラウルの店は繁盛していそうだったが、提供している高価な茶のせいで利益はあまりないように感じたのだ。
「ラウルさん、例えば、この茶葉の値がもう少し安くなったら良いと思ったことはありませんか?」
エルナの疑問にラウルは「うーん」と唸る。
「そうだね。確かにもう少し値段が下がれば、誰でもこの茶葉を楽しむことができるようになるかもしれない。でも、僕は今のままでもいいかなぁ……と思うよ」
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