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新人魔女の重大ミッション(5)

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 リッカはマリアンヌの言葉に一瞬詰まる。確かに、リゼとは良い縁だったとは思うが、それはマリアンヌが意図するような両家を繋ぐという意味ではない。

 マリアンヌは真っ直ぐにリッカを見つめている。どう答えるのが正しいのかわからない。リッカが返答に困っていると、マリアンヌの隣でリゼが小さく口を開くのが目に入った。

(……や……れ……?)

 リゼの口の動きを読んだリッカはハッとした。今のは魔道具を発動させろというリゼからの指示ではないだろうか。リッカはピクリと指を動かす。しかし、すぐには首元まで手を持っていくことができない。果たしてリゼは本当にそう言ったのか。今がそのタイミングなのか。それとも自分の勘違いなのか。リッカにはわからなかった。

 リッカがまごついていると、再度リゼの口が小さく動く。やはり「やれ」と言っているように見える。了解の意を示すため、リッカは浅く頷いた。

 リッカを見つめ続けていたマリアンヌは、リッカのそんな些細な動きを見逃さなかった。

「そう! 貴女もそう思うのね。良かったわ!」

 マリアンヌの言葉にリッカは面食らった。そんなつもりで頷いたのではない。

「リゼラルブはどうも誤解されがちで、理解してくれる人が少ないのよ。周りから煙たがられることもあるわ。だから、貴女がリゼラルブの事を理解した上で、そばに居てくれるのならば安心だわ」

 マリアンヌの言葉を聞き、リッカは返答に困ってしまう。この先マリアンヌが思い描く通りにはならないのだ。

「よかったわ! これで心置きなくリゼラルブを任せることができます」

 マリアンヌの言葉にリッカはハッとする。そうか。マリアンヌは、政略結婚を口にしながらも、リゼの幸せを望んでいるのだ。だとしたら、やはりリゼの相手が自分であってはいけない。

「恐れながら申し上げます」

 リッカの言葉にマリアンヌとリゼがリッカに視線を向ける。リゼは若干目を細めているようだった。それでも、何も言わないということは止めるつもりはないようだ。それを確認するとリッカは言葉を続けた。

「わたしはリゼラルブ様を魔道の師と仰いでおります故、その素晴らしさはよく存じております。この度のお話は、政略結婚という側面を持っていることは理解しておりますが、それ以上にリゼラルブ様に認められ、また、マリアンヌ陛下にもわたしを必要として頂けたこと、大変喜ばしく思っております」

 リッカは一気にそう言い切ると、同時に頭を深く下げた。
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