144 / 362
新人魔女の完成魔道具(8)
しおりを挟む
その後、リゼが食堂へやって来るまで二人は話に花を咲かせた。
「騒がしいと思ったら、君か」
食堂へ入ってきたリゼが不機嫌そうに顔をしかめる。リゼがテーブルにつき薬草茶を飲み始めると、エルナが嬉しそうに話し始めた。
「作業のお邪魔をしてしまい申し訳ありません、ネージュ様。ですが、これをご覧ください。とても素敵だと思いませんか?」
エルナは自分の髪から髪飾りを外すと、リゼに手渡した。リゼはエルナから魔道具を受け取り、マジマジと見つめる。
「完成したのか」
「一応は。ですが、まだ試動させていませんので、本当に機能するかどうか……」
「これは、エルナさんの分ということだろうが、君の分の魔道具も完成したのか?」
「はい。ここに」
リッカは、自分の首元にあるチョーカーに手をやった。
リゼはしばらくの間、思案するように目を細めていたが、やがて手にしていた髪飾りをエルナに返すと、再び付けるように言った。
「ではこれから試動させてみよう。エルナさんもお付き合いください」
三人は工房の外へ出る。今回の魔道具は攻撃的な要素はないが、万が一の事を考えて、広い場所を選んだのだ。
「君の魔道具から試してみよう」
リゼに促され、リッカは魔道具に魔力を流す。すると、リッカの首元で星型のチャームがキラリと光る。
「では、いきます」
リッカはそう言うと、火属性の赤い水晶にそっと触れる。すると、リッカの体を包むようにパッと赤い光が発せられた。それは一瞬のことで魔道具の光は次第に弱まり、やがて消えた。しかし、確実にリッカには変化が起きていた。リッカの髪が燃えるような真紅に染まっているのだ。
リッカは自身の変化に目を見張る。自身で魔道具を作り想定していたとはいえ、自らの髪の色が変わるなど初めてのことだ。どことなく居心地が悪い。
しかし、体には特に影響はないようだ。自分の両手や体を動かしてみたが、まるで放電するかのように、パチパチと小さな音を立てて、赤い光がリッカの体を取り巻いている以外は、いつもと変わらなかった。
やがてパチパチという放電が収まると、リッカの髪色も元に戻った。念の為、別の水晶でも試してみたが、同じように属性色を放ち、髪色も変化した。どうやら、リッカの魔道具作りは成功したようだ。
その後は、エルナの魔道具試動を行った。こちらも問題なく動いた。ただ、想定外だったのは、防御力が想定以上に強かったことだ。リゼの水晶を使っているためだろうか。
「騒がしいと思ったら、君か」
食堂へ入ってきたリゼが不機嫌そうに顔をしかめる。リゼがテーブルにつき薬草茶を飲み始めると、エルナが嬉しそうに話し始めた。
「作業のお邪魔をしてしまい申し訳ありません、ネージュ様。ですが、これをご覧ください。とても素敵だと思いませんか?」
エルナは自分の髪から髪飾りを外すと、リゼに手渡した。リゼはエルナから魔道具を受け取り、マジマジと見つめる。
「完成したのか」
「一応は。ですが、まだ試動させていませんので、本当に機能するかどうか……」
「これは、エルナさんの分ということだろうが、君の分の魔道具も完成したのか?」
「はい。ここに」
リッカは、自分の首元にあるチョーカーに手をやった。
リゼはしばらくの間、思案するように目を細めていたが、やがて手にしていた髪飾りをエルナに返すと、再び付けるように言った。
「ではこれから試動させてみよう。エルナさんもお付き合いください」
三人は工房の外へ出る。今回の魔道具は攻撃的な要素はないが、万が一の事を考えて、広い場所を選んだのだ。
「君の魔道具から試してみよう」
リゼに促され、リッカは魔道具に魔力を流す。すると、リッカの首元で星型のチャームがキラリと光る。
「では、いきます」
リッカはそう言うと、火属性の赤い水晶にそっと触れる。すると、リッカの体を包むようにパッと赤い光が発せられた。それは一瞬のことで魔道具の光は次第に弱まり、やがて消えた。しかし、確実にリッカには変化が起きていた。リッカの髪が燃えるような真紅に染まっているのだ。
リッカは自身の変化に目を見張る。自身で魔道具を作り想定していたとはいえ、自らの髪の色が変わるなど初めてのことだ。どことなく居心地が悪い。
しかし、体には特に影響はないようだ。自分の両手や体を動かしてみたが、まるで放電するかのように、パチパチと小さな音を立てて、赤い光がリッカの体を取り巻いている以外は、いつもと変わらなかった。
やがてパチパチという放電が収まると、リッカの髪色も元に戻った。念の為、別の水晶でも試してみたが、同じように属性色を放ち、髪色も変化した。どうやら、リッカの魔道具作りは成功したようだ。
その後は、エルナの魔道具試動を行った。こちらも問題なく動いた。ただ、想定外だったのは、防御力が想定以上に強かったことだ。リゼの水晶を使っているためだろうか。
2
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる