117 / 461
新人魔女とわがまま師匠(5)
しおりを挟む
リッカがリゼとエルナの幸せを願って出した条件が、リゼに突拍子もない案を思いつかせたようだった。
「それでエルナさんを我が家の養女にしようと考えたのですね。でも、そんなに上手く事が運ぶと思ったのですか? そもそもわたしの両親が了承すると思っていたのですか?」
リッカはリゼに問いかけたが、リゼは不敵に笑った。
「もちろんだ。宰相は、君を私の元になどやりたくはないだろうからな」
リゼは自信満々に言い切る。リッカは訝しげにリゼの次の言葉を待った。リゼはニヤリと笑みを浮かべると、堂々と言い切る。
「危険視されて幽閉されていたような皇子など、厄介ごと以外の何ものでもない。私が父親ならば、娘をそんな輩に嫁がせたくはないさ。それに、宰相家の跡取りは君一人なのだ。それを王家に嫁がせるとなると、宰相家には跡取り問題が浮上する。家長からすれば頭の痛い問題だろう。だから、回避案があるならば、便乗するだろうと見当はつけていた」
リッカはリゼの言葉に目を丸くした。確かに、リッカが王族へ嫁げば、宰相家の跡取り問題にも発展する可能性があった。そんなことには全く考えの至らなかったリッカは改めて自分の浅慮に落胆した。
しかし、いくらリゼの思惑通り事が進もうとも、話はそう簡単ではない。一体どのようにしてエルナとの婚姻に漕ぎ着けるつもりなのか。リッカはリゼに疑問を投げかけた。
「でも、マリアンヌ様は、わたしとリゼさんの婚姻をお望みなのでしょう? どのようにしてエルナさんと婚姻されるおつもりなのですか?」
リッカの言葉に、リゼはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。その笑みは、一目で何かを企んでいると分かる笑みで、リッカは思わず頬をひくつかせた。そんなリッカに構うことなく、リゼは一つ咳払いをすると語り始める。
「姉上が望まれているのは、宰相家の娘であって、君とは言っていない。先日までは、宰相家の娘は君以外にありえなかったが、エルナさんが宰相家へ入れば、エルナさんも宰相家の娘ということになる。姉上のご意志を汲むことになるではないか」
リゼの言葉に一瞬目が点になったリッカだったが、すぐに正気に戻ると慌てて反論する。
「マリアンヌ様は、そんなつもりで婚姻の話をされたわけでは……」
しかし、リゼはリッカの反論をばっさりと切り捨てた。
「君は、皆を幸せにしたいと言っていたではないか。この方法なら万事解決するというのに、何をそんなに反対する理由があるのだ?」
「それでエルナさんを我が家の養女にしようと考えたのですね。でも、そんなに上手く事が運ぶと思ったのですか? そもそもわたしの両親が了承すると思っていたのですか?」
リッカはリゼに問いかけたが、リゼは不敵に笑った。
「もちろんだ。宰相は、君を私の元になどやりたくはないだろうからな」
リゼは自信満々に言い切る。リッカは訝しげにリゼの次の言葉を待った。リゼはニヤリと笑みを浮かべると、堂々と言い切る。
「危険視されて幽閉されていたような皇子など、厄介ごと以外の何ものでもない。私が父親ならば、娘をそんな輩に嫁がせたくはないさ。それに、宰相家の跡取りは君一人なのだ。それを王家に嫁がせるとなると、宰相家には跡取り問題が浮上する。家長からすれば頭の痛い問題だろう。だから、回避案があるならば、便乗するだろうと見当はつけていた」
リッカはリゼの言葉に目を丸くした。確かに、リッカが王族へ嫁げば、宰相家の跡取り問題にも発展する可能性があった。そんなことには全く考えの至らなかったリッカは改めて自分の浅慮に落胆した。
しかし、いくらリゼの思惑通り事が進もうとも、話はそう簡単ではない。一体どのようにしてエルナとの婚姻に漕ぎ着けるつもりなのか。リッカはリゼに疑問を投げかけた。
「でも、マリアンヌ様は、わたしとリゼさんの婚姻をお望みなのでしょう? どのようにしてエルナさんと婚姻されるおつもりなのですか?」
リッカの言葉に、リゼはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。その笑みは、一目で何かを企んでいると分かる笑みで、リッカは思わず頬をひくつかせた。そんなリッカに構うことなく、リゼは一つ咳払いをすると語り始める。
「姉上が望まれているのは、宰相家の娘であって、君とは言っていない。先日までは、宰相家の娘は君以外にありえなかったが、エルナさんが宰相家へ入れば、エルナさんも宰相家の娘ということになる。姉上のご意志を汲むことになるではないか」
リゼの言葉に一瞬目が点になったリッカだったが、すぐに正気に戻ると慌てて反論する。
「マリアンヌ様は、そんなつもりで婚姻の話をされたわけでは……」
しかし、リゼはリッカの反論をばっさりと切り捨てた。
「君は、皆を幸せにしたいと言っていたではないか。この方法なら万事解決するというのに、何をそんなに反対する理由があるのだ?」
2
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説

前代未聞のダンジョンメーカー
黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。
けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。
というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない?
そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。
小説家になろうでも掲載しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。


魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる