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新人魔女とたいへんな密約(2)
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リッカは両親と共に玄関ホールまで客人を出迎えに向かう。客人の到着を告げる使用人の声と共に、玄関のドアがゆっくりと開かれる。
ドアの向こうから現れたのは、新緑色のマントに身を包み、合わせた様な色合いの長い髪を後ろで一本の三つ編みに纏めたリゼだ。あまり見慣れないリゼのマント姿は、普段より凛々しく見える。リッカはまるで初めての客人を出迎えるかの様に背筋を伸ばして頭を下げた。
視線を下げたその先に、リゼの靴とは別の靴先が見える。視線をゆっくり上げると、そこに立っていたのはエルナだった。リッカは思わぬことに息を飲む。
「え、エルナさん!?」
リッカは驚きに目を見開く。リゼだけの来訪だと思っていたリッカは、エルナがその場にいることにただただ驚くばかりだ。そんなリッカを見てエルナは困ったような顔をした。
「リッカ様。こんにちは。驚かせてしまい申し訳ありません」
「い、いえ。ですが、 まさかエルナさんがご一緒とは……」
リッカの驚きをよそに、リゼは両親に向け淡々と挨拶をする。
「宰相、突然の訪問をお許しください。急ぎどうしてもお話ししなければならない事柄があり、参上いたしました」
リゼの挨拶に、両親は少し緊張した面持ちで頷いた。宰相である父を前にしたリゼは、日頃リッカに向けている態度とは打って変わって、ひどく真面目に見える。
「よくいらっしゃいました。大賢者様。お部屋をご用意してございます。続きのお話はそちらで。リッカ、大賢者様を応接室へご案内しなさい」
父の言葉を受けて、リッカは先導するように先立って歩き出した。エルナは恭しく宰相夫妻に頭を下げてから、リゼの後ろに付き従った。リッカは二人を振り返りつつ廊下を進む。
「エルナさんがいらっしゃるとは思いませんでした」
歩く足は止めずにそう声をかけるリッカに、エルナも苦笑いを浮かべる。
「本当に申し訳ありません。今朝ほどネージュ様から言い付けられるまで私も全く心積りをしておりませんでしたので、ご挨拶のお品も持たずに来てしまい……不躾でお恥ずかしい限りです」
エルナが申し訳なさそうに頭を下げる。格下の者が格上の者の屋敷を訪ねる際は、調度品などの品物を手土産に持参することが礼儀とされている。
「そんなの全然気にしないでください。今朝、リゼさんに言われたのでしょう? でしたら、準備できなくて当然ですよ。それに、リゼさんは……」
そんな話をしていると、後方から咳払いが聞こえてきた。
ドアの向こうから現れたのは、新緑色のマントに身を包み、合わせた様な色合いの長い髪を後ろで一本の三つ編みに纏めたリゼだ。あまり見慣れないリゼのマント姿は、普段より凛々しく見える。リッカはまるで初めての客人を出迎えるかの様に背筋を伸ばして頭を下げた。
視線を下げたその先に、リゼの靴とは別の靴先が見える。視線をゆっくり上げると、そこに立っていたのはエルナだった。リッカは思わぬことに息を飲む。
「え、エルナさん!?」
リッカは驚きに目を見開く。リゼだけの来訪だと思っていたリッカは、エルナがその場にいることにただただ驚くばかりだ。そんなリッカを見てエルナは困ったような顔をした。
「リッカ様。こんにちは。驚かせてしまい申し訳ありません」
「い、いえ。ですが、 まさかエルナさんがご一緒とは……」
リッカの驚きをよそに、リゼは両親に向け淡々と挨拶をする。
「宰相、突然の訪問をお許しください。急ぎどうしてもお話ししなければならない事柄があり、参上いたしました」
リゼの挨拶に、両親は少し緊張した面持ちで頷いた。宰相である父を前にしたリゼは、日頃リッカに向けている態度とは打って変わって、ひどく真面目に見える。
「よくいらっしゃいました。大賢者様。お部屋をご用意してございます。続きのお話はそちらで。リッカ、大賢者様を応接室へご案内しなさい」
父の言葉を受けて、リッカは先導するように先立って歩き出した。エルナは恭しく宰相夫妻に頭を下げてから、リゼの後ろに付き従った。リッカは二人を振り返りつつ廊下を進む。
「エルナさんがいらっしゃるとは思いませんでした」
歩く足は止めずにそう声をかけるリッカに、エルナも苦笑いを浮かべる。
「本当に申し訳ありません。今朝ほどネージュ様から言い付けられるまで私も全く心積りをしておりませんでしたので、ご挨拶のお品も持たずに来てしまい……不躾でお恥ずかしい限りです」
エルナが申し訳なさそうに頭を下げる。格下の者が格上の者の屋敷を訪ねる際は、調度品などの品物を手土産に持参することが礼儀とされている。
「そんなの全然気にしないでください。今朝、リゼさんに言われたのでしょう? でしたら、準備できなくて当然ですよ。それに、リゼさんは……」
そんな話をしていると、後方から咳払いが聞こえてきた。
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