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新人魔女と火を吐く使い魔(2)

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 魔魚たちは体をくねらせながら、こちらを威嚇しているように見える。その目は赤く爛々と輝いており、まるで血走っているようだ。魔魚の口には鋭い牙が生え揃っており、獰猛さが伺える。

 どうしたものかと悩んでいると、その一瞬の隙をついて魔魚たちが一斉に水中から飛び出し襲いかかってきた。

 慌てて回避行動をとる。しかし、次の瞬間、魔魚の一体が弾け飛んだ。一瞬の出来事だったが、何が起こったのかはすぐにわかった。フェンが口から火の玉を放ったのだ。

 放たれた火球は次々と残りの魔魚に命中していく。断末魔をあげながら、魔魚たちは岸辺に打ち付けられた。

 辺り一面に香ばしい匂いが漂う。先程までの緊張感はどこへやら、リッカが呆気にとられてフェンを見つめていると、フェンはフンフンッと鼻息を鳴らしながら、魔魚たちを仕留めたことを確認していた。そして、くるりと振り返ったかと思うと、得意げな表情を浮かべてこう言った。

「リッカ様、僕やりました!」

 リッカは目を丸くした。今までフェンが戦ったことはなかったので、これほどまでに鮮やかな戦い方ができるとは思わなかった。それに、フェンの魔法の威力も凄まじかった。

(この子……)

 リッカは改めて自分の使い魔の優秀さを知ったのだった。リッカは感心しながらフェンに近寄り頭を撫でる。すると、フェンは気持ちよさそうな顔をした。

「フェン、あなたいつの間にあんなに強い魔法が使えるようになったの?」

 リッカが尋ねると、フェンの尻尾がまるで褒められるのを期待しているかのように揺れる。

「分かりません。でも、リッカ様を守らなきゃと思ったら自然と力が湧いてきて、敵を倒せました」

 フェンは使い魔だ。リッカは、フェンが戦う必要などないとこれまで思っていた。だが、フェンは自分なりに主人を守りたいと思ったのだ。主人を守る為に使い魔が強くなったなんて、まるで騎士のようではないか。そう思うと、嬉しくもあり、誇らしくもあった。

 リッカはもう一度フェンの頭を優しく撫でてから、さてと言って、こんがりと焼き上がっている魔魚に目を向けた。

 魔魚の鱗は固く、皮もかなり分厚いためそのままでは食べにくい。しかし、こんがりと焼いた身はホクホクとしていて、とても美味しいのだ。

 リッカは手際良く一匹の魔魚の腹を開いて内臓を取出し、身と分けていく。魔魚の内蔵には毒があり、食用には適さないが、錬成の素材として使うことができるため、捨てずに取っておく。
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