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新人魔女と怪しい店(6)

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 それが手に入るのならば是非とも手に入れたい。リッカは少し考えた後、男の提案を受け入れることにした。

 リッカは男に案内されるがまま、男の店へとやって来た。店の中は薄暗く、所狭しと瓶や箱が置かれている。奥から、カチャカチャと音が聞こえてくる。おそらく、店の奥で誰かが作業をしているのだろう。

 店に入ってすぐのところにあるテーブルの上には、様々な種類の小瓶が置かれていた。そのうちの1つを手に取る。中には白い錠剤が入っていた。他にも、大小様々な小瓶がある。よく見ると、それぞれに違う色の粉末が入っていたり、細かい文字が書かれていたりする。

 リッカは手に持っていた小瓶をそっと机の上に戻す。指先の少しざらついた感触に小さく眉根を寄せると、さりげなくハンカチを取り出して、指先を拭いた。

 なんとなく埃っぽい店内を見て回る。棚の上にある商品を見て、リッカは首を傾げた。棚に並べられている商品はどれも、明らかに埃をかぶっていて薄汚れて見える。他の棚を見ても、どの棚も同じような状態だった。

 見習いの掃除が行き届いていないのだろうか。少々不快な気持ちにさせられる。呆れ顔で辺りを観察していたリッカの視線は、ある一点で止まった。そこには一つだけ埃をかぶっていない小瓶があった。

 思わず、その小瓶に手を伸ばしかけたその時、突然背後から声をかけられた。

「お嬢さん、こちらへ。魔力回復薬をお持ちしました」

 薄暗い店の中で、唯一灯されているランプの下にいる店主の男がリッカを手招きする。リッカは慌てて伸ばした手を引っ込め、店主の方へと向かう。

 リッカが歩み寄ると、店主はリッカの目の前に小さな小瓶を置いた。リッカは恐る恐るといった様子で、置かれた小瓶を覗き込む。

(これが……)

 リッカはごくりと唾を飲み込んだ。緊張した面持ちで、ゆっくりと手を伸ばす。手の中に収まる小瓶には、トロリとした黄金色の液体が入っていた。

「それ一本では、魔力の完全回復は見込めません。手早く完全回復をお望みでしたら、もう数本お持ち致しますが、如何しましょう?」

 男は淡々と告げる。

「一本、おいくらなのでしょうか?」

 リッカの問いに男は即答せず、じっとリッカの目を見つめた。値踏みするようなその眼差しに居心地の悪さを感じながらも、リッカはその視線を受け止める。

 しばらくして、男は口を開いた。

「本来なら金貨五枚ですが、お急ぎのようですし……。特別に、金貨三枚で如何でしょうか?」
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