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新人魔女と本当の師匠(5)
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慌てて姿勢を正すと、リッカは深々と頭を下げた。リゼにこれまでの非礼を詫びる。リッカが必死になって謝罪する姿を見て、リゼは珍しく苦笑を漏らす。
「そんなに畏まらないでくれ。そもそも、私は王族としての責務など、ほとんど果たしていないのだ。そんな風に畏まられると何とも言えない気持ちになる」
リゼの言葉を聞いて、リッカはおずおずと頭を上げると、遠慮がちに訊ねた。
「あの、差し支えなければ教えていただけないでしょうか。どうしてリゼさ……ネージュ様は王族であることを隠されていたのですか?」
リッカの質問に、リゼは少し寂しそうな顔をした。だがすぐに、何かを決意したような真剣な眼差しに変わる。リゼはゆっくりと息を吐き出してから口を開いた。
リゼは生まれてからずっと、城の奥深くにある塔に幽閉され続けていたらしい。
その理由は、彼が生まれつき膨大な魔力を持っていたからだという。魔力を有していること自体はさして珍しいことではなかったが、あまりにも膨大過ぎる魔力は、周囲の人間に多大な影響を与えてしまう。
国を揺るがしかねない存在になると案じた国王と王妃は、彼が物心つく前に、魔法を封じる手枷を嵌め、人との関わりを必要最小限に留めさせた。国内で彼の存在を知る者は王族と国政を担う重鎮、それから魔法の師。そして一部の使用人だけだったという。
生まれた時から自由を奪われ、限られた世界しか知らなかった少年。彼は、一体どのような思いで過ごしてきたのだろう。
あまりの話にリッカは言葉を失った。しかし、当のリゼ本人はその話を、まるで他人ごとのように淡々と語る。
リゼは成長するにつれ、魔法の才覚を開花させていった。やがて彼は、あらゆる魔術を習得するほどの力を身に付けると、今度はその力を制御できる術を学んでいった。
しかし、いくら努力しても彼の力は一向に弱まらなかった。それどころか、魔力は日々強力になっていく。そこで、国王は一つの決断を下した。
リゼには王位継承権を与えないこと。
そうすれば、少なくともリゼの強大な魔力を目当てにした内乱は起こらないだろうと考えたのだ。
リゼ自身も、国を脅かす脅威になり得ると不安視される自分の存在は、国のためにならないと、さっさと王族という身分を投げ捨てた。そして、一切国政と関わりを持たないために、城を出て森の奥深くにこうして引きこもっているのだという。
全てを語り終えたリゼの顔は、どこか清々しいものだった。
「そんなに畏まらないでくれ。そもそも、私は王族としての責務など、ほとんど果たしていないのだ。そんな風に畏まられると何とも言えない気持ちになる」
リゼの言葉を聞いて、リッカはおずおずと頭を上げると、遠慮がちに訊ねた。
「あの、差し支えなければ教えていただけないでしょうか。どうしてリゼさ……ネージュ様は王族であることを隠されていたのですか?」
リッカの質問に、リゼは少し寂しそうな顔をした。だがすぐに、何かを決意したような真剣な眼差しに変わる。リゼはゆっくりと息を吐き出してから口を開いた。
リゼは生まれてからずっと、城の奥深くにある塔に幽閉され続けていたらしい。
その理由は、彼が生まれつき膨大な魔力を持っていたからだという。魔力を有していること自体はさして珍しいことではなかったが、あまりにも膨大過ぎる魔力は、周囲の人間に多大な影響を与えてしまう。
国を揺るがしかねない存在になると案じた国王と王妃は、彼が物心つく前に、魔法を封じる手枷を嵌め、人との関わりを必要最小限に留めさせた。国内で彼の存在を知る者は王族と国政を担う重鎮、それから魔法の師。そして一部の使用人だけだったという。
生まれた時から自由を奪われ、限られた世界しか知らなかった少年。彼は、一体どのような思いで過ごしてきたのだろう。
あまりの話にリッカは言葉を失った。しかし、当のリゼ本人はその話を、まるで他人ごとのように淡々と語る。
リゼは成長するにつれ、魔法の才覚を開花させていった。やがて彼は、あらゆる魔術を習得するほどの力を身に付けると、今度はその力を制御できる術を学んでいった。
しかし、いくら努力しても彼の力は一向に弱まらなかった。それどころか、魔力は日々強力になっていく。そこで、国王は一つの決断を下した。
リゼには王位継承権を与えないこと。
そうすれば、少なくともリゼの強大な魔力を目当てにした内乱は起こらないだろうと考えたのだ。
リゼ自身も、国を脅かす脅威になり得ると不安視される自分の存在は、国のためにならないと、さっさと王族という身分を投げ捨てた。そして、一切国政と関わりを持たないために、城を出て森の奥深くにこうして引きこもっているのだという。
全てを語り終えたリゼの顔は、どこか清々しいものだった。
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