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新人魔女と師匠の静かなる時間(6)

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 リッカはほっと胸を撫で下ろす。無事に降りられたことに安堵しながらも、少し名残惜しさを感じていた。怖さもあったが、もう少し乗っていたかったというのが本音だった。

 しかし、そんなことを言ってはいられない。リッカは気持ちを引き締める。

 リッカに続いて竜の翼にちょこんと乗って降りてきたグリムは、竜の首筋を叩きながら声をかける。すると、竜は小さく鳴いて答え、直後その姿は霧のように消えていった。後に残ったのは、竜の首筋で光っていた青い宝石だけ。

 その様子にリッカは驚く。グリムはそんなリッカの様子を見てニヤリと笑みを浮かべると、宝石を拾うようリッカに言った。

 言われた通りリッカは宝石を拾い、その手の中の物をまじまじと見つめた。それは、手の中に収まるほどの大きさをした美しい石で、角度を変えるたびにキラキラと輝いていた。リッカは、その煌めきの中に小さな竜の影のようなものを見た気がした。

 リッカは首を傾げる。今のは何だろうと思っていると、グリムが口を開いた。

「それの中に、竜の影でも見えたんか?」

 その言葉に、リッカは驚いたように目を丸くした。グリムは面白そうに笑いながら言葉を続ける。

「その宝石は奴の寝床なんや」
「ね、寝床? あの大きな竜がこの中にいるんですか?」

 信じられないといった表情でリッカは宝石を見る。確かに宝石の中には竜の姿があるように見える。だが、それが本当にあの竜なのかどうか、リッカには確信が持てなかった。

 その疑問に答えるかのように、グリムは言う。

「せや。わいも詳しい仕組みまでは知らんけど、その中はリゼラルブの魔法でめっちゃ広い空間になっててな……どでかい竜でも悠々と暮らせるような場所があんねんて。そんで、その石がこっちとあっちを繋ぐ窓みたいな役割をしとる」

 リゼラルブは、この世界では知らない者はいないほどの大賢者だ。彼の魔法の力は強大で、彼が使う魔法の数々は、他の誰にも真似することができないと言われるほどである。その彼なら、どんなものでも作り出すことができるだろう。

 リッカは深く息を吐き出す。そして、改めて宝石を眺めた。

「すごいですね。これがあれば、あれだけ大きな竜であっても、どこへでも連れて行けるってことですね」

 それを聞いたグリムは苦笑しながら言う。

「せやなぁ……。でも、竜やからな。あんま人目のあるところでは出してやれんのやわ。今回のような緊急時以外はな……」

 リッカはハッとして顔を上げる。
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