決戦前夜

田古みゆう

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前夜の武

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 とうとう、明日だ。
 明日、指定された場所に行けば、全てに決着が着くはずだ。

 武は、気持ちの昂りを抑えられないでいた。

 早く眠らなくては、明日、大変な目に遭うと分かっているのに、いくら目を閉じて眠りを誘い込もうとしても、脳が活性化しているのか、全く眠れない。

 仕方がないので、ベッドから起き出した武は、もう一度、明日の準備をチェックした。

(服、良し。伊達メガネ、良し。制汗剤、良し。ハンカチに、ポケットティッシュ、バンドエイドも持った。スマホも、必ず持参。忘れ物はない。完璧な僕に漏れなどあるはずがない)

 自身の準備に納得をし、ふと窓ガラスに視線を向けると、窓に映る自分の姿が目に入る。いつもよりも、頬の筋肉が緩んでいるように見えた。両手で頬を包み、上方向へと引き上げる。しばらく、そのままの状態を維持してから、手を離した。

 再度窓に映る自身の顔を確認するが、明日以降の、自分の学校生活に思いを馳せてしまい、ニヤつきは止まらない。

 ニヤニヤと自分の顔を見つめ、近い未来に起こりうるであろう妄想に耽っていた武がようやく眠りについたのは、窓の外がしらみ始めた頃だった。
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