78 / 117
15.3月25日
15.3月25日 p.5
しおりを挟む
優は、興奮と心配が入り混じったような顔で、胸の内をポロリとこぼした。そんな優に浩志はいつになく真面目に相槌を打つ。
「そうだな。せつな……あいつ、頑張ってるもんな。蒼井には、あいつの事なんて見えないのに……。それでも、頑張ってるんだ。せっかくパーティーするんだから、せつなにも、楽しんで貰いたいよな」
浩志の言葉に、優は、大きく肯いた。
「それで、大体のスケジュールは、もう決まったのか?」
浩志とせつなは裏方に徹し、パーティーの仕切りは、優を中心に、彼女の所属する部に完全に任せているので、浩志は、どのような感じになるのか、全く知らなかった。
「うん。それは大体ね。体育館を借りられたのは良かったよね。結構な人数、入れられるし。教室でやるよりも盛り上がるわ」
「しかし、よく借りられたよな。4月1日って、確か日曜だろ? 運動部とか使いそうじゃん」
「もともと、うちの部が使う予定入れてただけで、他の部の予定はなかったのよ」
「ふ~ん。それで? 会場も決まったし、スケジュールも決まったんだろ? 後は、何が問題なんだよ?」
「うん……あのさ、せつなさんのことなんだけどね」
浩志が不思議そうに問うと、優は眉尻を少し下げた。
「学校でパーティー出来る事になって、喜んでくれたけど、本当は、パーティーをする事が目的じゃなくて、せつなさんは、蒼井ちゃんにお祝いが言いたいんじゃないのかな?」
優の真剣な声に、浩志は腕組みをしながら唸る。
「う~ん。まぁ、本心はそうかもな。でも、事情を知ったこいちゃんにも、せつなの姿は見えなかったんだから、蒼井も難しいんじゃないかって言う話だっただろ」
諭すような浩志の言葉に、優は、小さく肯いたが、その顔は、不満そうだった。
「そうなんだよね。やっぱり見えないってなったら、せっかくの楽しい気分が台無しになっちゃうし、せつなさんにとって、危ない橋は渡らない方が良いとは思うんだけど……でも……」
優は、悔しそうに唇を噛む。それから、意を決したように、口を開いた。
「あのね。当日、スケジュールの中で、『生徒から先生へ一言』っていう、時間があるの」
「なんだそれ?」
「う~ん。なんでもいいのよ。多分、みんな、結婚おめでとうとか、そんな当たり障りのない感じになると思うけど」
「うん?」
「その時、今作ってる造花を一本ずつ、蒼井ちゃんへ渡して貰おうと思ってるの」
「そうだな。せつな……あいつ、頑張ってるもんな。蒼井には、あいつの事なんて見えないのに……。それでも、頑張ってるんだ。せっかくパーティーするんだから、せつなにも、楽しんで貰いたいよな」
浩志の言葉に、優は、大きく肯いた。
「それで、大体のスケジュールは、もう決まったのか?」
浩志とせつなは裏方に徹し、パーティーの仕切りは、優を中心に、彼女の所属する部に完全に任せているので、浩志は、どのような感じになるのか、全く知らなかった。
「うん。それは大体ね。体育館を借りられたのは良かったよね。結構な人数、入れられるし。教室でやるよりも盛り上がるわ」
「しかし、よく借りられたよな。4月1日って、確か日曜だろ? 運動部とか使いそうじゃん」
「もともと、うちの部が使う予定入れてただけで、他の部の予定はなかったのよ」
「ふ~ん。それで? 会場も決まったし、スケジュールも決まったんだろ? 後は、何が問題なんだよ?」
「うん……あのさ、せつなさんのことなんだけどね」
浩志が不思議そうに問うと、優は眉尻を少し下げた。
「学校でパーティー出来る事になって、喜んでくれたけど、本当は、パーティーをする事が目的じゃなくて、せつなさんは、蒼井ちゃんにお祝いが言いたいんじゃないのかな?」
優の真剣な声に、浩志は腕組みをしながら唸る。
「う~ん。まぁ、本心はそうかもな。でも、事情を知ったこいちゃんにも、せつなの姿は見えなかったんだから、蒼井も難しいんじゃないかって言う話だっただろ」
諭すような浩志の言葉に、優は、小さく肯いたが、その顔は、不満そうだった。
「そうなんだよね。やっぱり見えないってなったら、せっかくの楽しい気分が台無しになっちゃうし、せつなさんにとって、危ない橋は渡らない方が良いとは思うんだけど……でも……」
優は、悔しそうに唇を噛む。それから、意を決したように、口を開いた。
「あのね。当日、スケジュールの中で、『生徒から先生へ一言』っていう、時間があるの」
「なんだそれ?」
「う~ん。なんでもいいのよ。多分、みんな、結婚おめでとうとか、そんな当たり障りのない感じになると思うけど」
「うん?」
「その時、今作ってる造花を一本ずつ、蒼井ちゃんへ渡して貰おうと思ってるの」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる