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8.3月16日
8.3月16日 p.8
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しかし、優はそれを振り払うかの様に、努めて明るい声を出す。
「止めてとか、来るなとか言われたの?」
「そう言うことは言われてない」
「じゃあ、大丈夫よ」
「そうなのかなぁ……」
「うん。きっとそう」
優の明るい肯定は、浩志の顔から、少しだけ影を取り払ったようだった。
「月曜日もその子に会いに行くの?」
「あ~、たぶん」
「そっか。じゃあ、私も誘って」
「いいけど、お前、なんで?」
「成り行きっ!! 何か私も気になるってことにしておいて!!」
そう言うと、優は、目の前に見えてきたアイスクリーム屋へと、スカートを翻しながら駆けて行った。
慌てて後を追ってきた浩志が店先に着くと、優は、思い出したと言う風に口を開いた。
「そういえば、その子の名前、何て言うの?」
「蒼井……せつな……」
浩志は肩で息をしながら、優の問いに答える。
「ふ~ん。蒼井せつなちゃんか。……お姉さんの結婚、ねぇ……」
優は、独りごちると、息の整った浩志と連れ立って、店のドアを潜った。
「止めてとか、来るなとか言われたの?」
「そう言うことは言われてない」
「じゃあ、大丈夫よ」
「そうなのかなぁ……」
「うん。きっとそう」
優の明るい肯定は、浩志の顔から、少しだけ影を取り払ったようだった。
「月曜日もその子に会いに行くの?」
「あ~、たぶん」
「そっか。じゃあ、私も誘って」
「いいけど、お前、なんで?」
「成り行きっ!! 何か私も気になるってことにしておいて!!」
そう言うと、優は、目の前に見えてきたアイスクリーム屋へと、スカートを翻しながら駆けて行った。
慌てて後を追ってきた浩志が店先に着くと、優は、思い出したと言う風に口を開いた。
「そういえば、その子の名前、何て言うの?」
「蒼井……せつな……」
浩志は肩で息をしながら、優の問いに答える。
「ふ~ん。蒼井せつなちゃんか。……お姉さんの結婚、ねぇ……」
優は、独りごちると、息の整った浩志と連れ立って、店のドアを潜った。
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