123 / 133
泣いてなくて良かった
しおりを挟む
エドワーズ公爵様から、やり直したいと言われた私。
落ち着いて話そう。大丈夫、泣かない!
「…公爵様、私はマーティン将軍閣下と婚約致しました。あのお方と、この先の人生を歩んでいくことに決めたのです。」
「その結婚に愛はあるのか?」
「今の私は、愛よりも平穏な生活を望んでいるのです。」
「なんてことだ…。平穏な生活なんて、私だって与えることは出来る。」
「公爵様。私のことなど忘れて、周りから祝福してもらえる方と結婚してくださいませ。公爵様の家族が認めてくれるような、素敵なお方は沢山いらっしゃいます。」
「私にはソフィーだけだと思っている。周りが何かを言うようなら、そんな人間は消してやるし、私の家族が何か言うなら、公爵はやめてもいいと思っている。
それでもダメなのか?」
「私のために、周りに敵を作らないでくださいませ。公爵様は素晴らしい領主様なのです。簡単に公爵を辞めるなどと言ってはいけませんわ。
それに色々ありましたが、将軍閣下は真面目で誠実な方です。今日のことも、将軍閣下が公爵様と話すようにと言ってくれたことがきっかけなのです。私はあの方について行きたいと思っています。」
「…そうか。ソフィーの意志は固そうだな。分かった。
ただ、最後に私の希望を聞いて欲しい。」
「希望ですか…?」
「婚約解消になったが、これからは仲の良い友人になることを許してくれないか?」
こんな別れなのに、公爵様は心の広い方のようだ。
「友人ですか…?勿論ですわ。」
「ありがとう。会えば楽しく会話出来るような…、何かあれば、お互い何でも相談し合えるような、そんな友人になりたい。いいか…?」
「はい。これからは友人としてよろしくお願い致します。」
「ああ。友人として、これからもずっと仲良くしよう。」
今後、社交場で会った時に、お互い気まずいことのないようにと気を遣ってくれているのだろうね。最後まで優しい人だ。
結局、結婚は出来なかったが、この人が婚約者で良かったと思う。
「公爵様、私は公爵様と出会えて幸せでした。本当にありがとうございました。」
「私もだ。ありがとう、ソフィー。」
きちんと話せて良かった。寂しさはあるが、それよりもスッキリした気持ちが大きいと思う。一歩前に進めたと言うことかな…。
その後、仲良しメイドとカフェにお茶をしに行く私。
こんな時は、美味しいスイーツでも食べて気分転換するのが一番だね。
「お嬢様、このケーキ美味しいですわ!」
「そうね!邸で留守番しているメイド達にお土産として買って帰りましょう。」
「まあ!みんな喜びますわ。」
両親と邸の使用人達に沢山のケーキを買って帰ると…、
「お嬢様、お帰りなさいませ。
将軍閣下がお待ちになっております。」
今日は約束してないと思うけど。まさか…!
あの人は細かいことは気にしなそうだから、着替えなくていいよね。急いで、将軍閣下の待つ応接室に行く私。
「将軍閣下、お待たせしてして申し訳ありませんでした。」
応接室にいた将軍閣下は、私の顔を見てホッとしたような表情をしていた。
「突然来てしまって悪かった。
その…、今日は大丈夫だったのかと不安になってしまって。
君が王宮に来ているのは知っていたのだが、すでに帰ったと聞いて、慌てて邸に来てみたのだが、まだ帰ってないと言われて、途中で何かあったのかと心配になってしまった。でも、こうやって顔を見たら元気そうだったから良かった…。」
忙しい人なのに、こうやって心配して来てくれたのか。悪かったな…。
「ご心配をおかけしました。
将軍閣下、今日はエドワーズ公爵様ときちんと話が出来ました。これからは、友人になろうと言って頂けましたわ。公爵様と話が出来て良かったです。
将軍閣下が背中を押してくれたおかげですわ。ありがとうございました。」
「そうか…。友人になることになったのか。君が泣いてなくて良かった。」
そう言って優しく微笑んでくれた。温和な人なんだと思う。
将軍閣下はその後、私が買って来たケーキを食べて、また仕事に戻って行った。
落ち着いて話そう。大丈夫、泣かない!
「…公爵様、私はマーティン将軍閣下と婚約致しました。あのお方と、この先の人生を歩んでいくことに決めたのです。」
「その結婚に愛はあるのか?」
「今の私は、愛よりも平穏な生活を望んでいるのです。」
「なんてことだ…。平穏な生活なんて、私だって与えることは出来る。」
「公爵様。私のことなど忘れて、周りから祝福してもらえる方と結婚してくださいませ。公爵様の家族が認めてくれるような、素敵なお方は沢山いらっしゃいます。」
「私にはソフィーだけだと思っている。周りが何かを言うようなら、そんな人間は消してやるし、私の家族が何か言うなら、公爵はやめてもいいと思っている。
それでもダメなのか?」
「私のために、周りに敵を作らないでくださいませ。公爵様は素晴らしい領主様なのです。簡単に公爵を辞めるなどと言ってはいけませんわ。
それに色々ありましたが、将軍閣下は真面目で誠実な方です。今日のことも、将軍閣下が公爵様と話すようにと言ってくれたことがきっかけなのです。私はあの方について行きたいと思っています。」
「…そうか。ソフィーの意志は固そうだな。分かった。
ただ、最後に私の希望を聞いて欲しい。」
「希望ですか…?」
「婚約解消になったが、これからは仲の良い友人になることを許してくれないか?」
こんな別れなのに、公爵様は心の広い方のようだ。
「友人ですか…?勿論ですわ。」
「ありがとう。会えば楽しく会話出来るような…、何かあれば、お互い何でも相談し合えるような、そんな友人になりたい。いいか…?」
「はい。これからは友人としてよろしくお願い致します。」
「ああ。友人として、これからもずっと仲良くしよう。」
今後、社交場で会った時に、お互い気まずいことのないようにと気を遣ってくれているのだろうね。最後まで優しい人だ。
結局、結婚は出来なかったが、この人が婚約者で良かったと思う。
「公爵様、私は公爵様と出会えて幸せでした。本当にありがとうございました。」
「私もだ。ありがとう、ソフィー。」
きちんと話せて良かった。寂しさはあるが、それよりもスッキリした気持ちが大きいと思う。一歩前に進めたと言うことかな…。
その後、仲良しメイドとカフェにお茶をしに行く私。
こんな時は、美味しいスイーツでも食べて気分転換するのが一番だね。
「お嬢様、このケーキ美味しいですわ!」
「そうね!邸で留守番しているメイド達にお土産として買って帰りましょう。」
「まあ!みんな喜びますわ。」
両親と邸の使用人達に沢山のケーキを買って帰ると…、
「お嬢様、お帰りなさいませ。
将軍閣下がお待ちになっております。」
今日は約束してないと思うけど。まさか…!
あの人は細かいことは気にしなそうだから、着替えなくていいよね。急いで、将軍閣下の待つ応接室に行く私。
「将軍閣下、お待たせしてして申し訳ありませんでした。」
応接室にいた将軍閣下は、私の顔を見てホッとしたような表情をしていた。
「突然来てしまって悪かった。
その…、今日は大丈夫だったのかと不安になってしまって。
君が王宮に来ているのは知っていたのだが、すでに帰ったと聞いて、慌てて邸に来てみたのだが、まだ帰ってないと言われて、途中で何かあったのかと心配になってしまった。でも、こうやって顔を見たら元気そうだったから良かった…。」
忙しい人なのに、こうやって心配して来てくれたのか。悪かったな…。
「ご心配をおかけしました。
将軍閣下、今日はエドワーズ公爵様ときちんと話が出来ました。これからは、友人になろうと言って頂けましたわ。公爵様と話が出来て良かったです。
将軍閣下が背中を押してくれたおかげですわ。ありがとうございました。」
「そうか…。友人になることになったのか。君が泣いてなくて良かった。」
そう言って優しく微笑んでくれた。温和な人なんだと思う。
将軍閣下はその後、私が買って来たケーキを食べて、また仕事に戻って行った。
119
お気に入りに追加
5,948
あなたにおすすめの小説
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。
るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」
色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。
……ほんとに屑だわ。
結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。
彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。
彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)

愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる