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閑話 エドワーズ公爵 13
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「王族で公爵という立場のお方を、いつ目覚めるのか分からない娘に縛り付けているわけにはいかないのです。公爵様は良くても、周りはそうは見てはくれません。」
ソフィーとの婚約解消はしたくないと何度も訴えるが、結局、聞き入れてもらえなかった…。
婚約者でなくなった私は、ソフィーに見舞いに行くことも出来ず、ただ無気力に執務をこなす日々が続く。
執務をこなし、広い領地の魔物討伐をして、ただ過ぎていく毎日。
それから数ヶ月経った頃。クラーク侯爵家から文が届く。
手紙には、ソフィーが目覚めたと書いてあった。まだ動くことは出来ないが、意識はハッキリしていると書いてある。
涙が流れていた…。
もう少し待って、体調が戻れば会える日が来るだろうか?そしたら、また婚約を申し込もう。早く迎えに行きたい。そんな風に考え、ソフィー宛てに手紙を出すが…。
クラーク侯爵家からは、面会や手紙は遠慮すると手紙が届く。
ソフィーの体調がまだ戻らず、精神的にも弱っているらしい。
元気になったら会いたいので、その時は知らせて欲しいと依頼するものの、いい返事は返って来なかった。
どうして…。
自由な生活を楽しんでいたソフィーを、権力を使って強引に手に入れたのは認める。初めは戸惑っているように見えたが、徐々に私に心を許してくれていると思っていたのに。
「公爵閣下。クラーク侯爵令嬢を調べてみたのですが、どうやら毒の後遺症を心配しているようです。」
「毒の後遺症?」
「はい。健康に不安がある状態では結婚出来ないと考えているようでして、元婚約者の公爵閣下と会うのもお辛いようです。」
そこまで考えてなかった。確かに貴族は跡継ぎを産む必要がある。ソフィーはそのことを心配しているのだな。
私と婚約しなければ、キャンベル公爵家に狙われることはなかった。あの時に、ソフィーに毒のことを話しておけばよかったと深く後悔する。
強引に婚約して、純潔を奪った挙句、守ると言いながらソフィーを守ることが出来なかった。
愛想を尽かされたか…。
ソフィーには何度か手紙を出し、会いたいことを伝えるが本人が拒否しているらしい。
私はどうすればいいのだろうか。
そんな悩む日々を送っていると、待ち焦がれていたソフィーからの手紙が届くのであった。
手紙には、臥せっている間にお世話になったことへの感謝と、私と一緒に過ごした日々が幸せだったこと、私を大好きでいてくれたことが書いてあった。
私から愛を伝えることばかりだったが、ソフィーも私を好いてくれていたようだ。嬉しい気持ちになるが、その後に書いてあったのは、別れの言葉であった。
今後は別々の人生を歩むことになるが、私の幸せを願っているだと?
ソフィーなしで、私の幸せなんてあり得ないのに。いくら婚約が解消されているとはいえ、こんな手紙で終わろうだなんて、納得できるはずがないのだ。
生死を彷徨うほどの毒の後遺症を気にすることは理解出来る。しかし、子供なんてできなくても気にしないのに。そのことをソフィーに伝えようか?しかし、今の私がそれを伝えても、ソフィーは受け入れてくれるようには思えない。
しばらくすると、ソフィーが療養で王都を離れたと聞く。そこまで弱っているのか?私はソフィーを苦しめたのか?
前のように強引に連れ戻すか?…ダメだな。今はクラーク侯爵家にいるからそれは出来ない。
「公爵閣下。クラーク侯爵令嬢とシスティーナ国の大公殿下が恋仲で、婚約目前だという噂が流れています!」
…そんなの許さない。私の目の届かない他国へ行くなんて、絶対に許さない。
「噂が真実なのか、すぐに調べろ!」
「畏まりました!」
ソフィーとの婚約解消はしたくないと何度も訴えるが、結局、聞き入れてもらえなかった…。
婚約者でなくなった私は、ソフィーに見舞いに行くことも出来ず、ただ無気力に執務をこなす日々が続く。
執務をこなし、広い領地の魔物討伐をして、ただ過ぎていく毎日。
それから数ヶ月経った頃。クラーク侯爵家から文が届く。
手紙には、ソフィーが目覚めたと書いてあった。まだ動くことは出来ないが、意識はハッキリしていると書いてある。
涙が流れていた…。
もう少し待って、体調が戻れば会える日が来るだろうか?そしたら、また婚約を申し込もう。早く迎えに行きたい。そんな風に考え、ソフィー宛てに手紙を出すが…。
クラーク侯爵家からは、面会や手紙は遠慮すると手紙が届く。
ソフィーの体調がまだ戻らず、精神的にも弱っているらしい。
元気になったら会いたいので、その時は知らせて欲しいと依頼するものの、いい返事は返って来なかった。
どうして…。
自由な生活を楽しんでいたソフィーを、権力を使って強引に手に入れたのは認める。初めは戸惑っているように見えたが、徐々に私に心を許してくれていると思っていたのに。
「公爵閣下。クラーク侯爵令嬢を調べてみたのですが、どうやら毒の後遺症を心配しているようです。」
「毒の後遺症?」
「はい。健康に不安がある状態では結婚出来ないと考えているようでして、元婚約者の公爵閣下と会うのもお辛いようです。」
そこまで考えてなかった。確かに貴族は跡継ぎを産む必要がある。ソフィーはそのことを心配しているのだな。
私と婚約しなければ、キャンベル公爵家に狙われることはなかった。あの時に、ソフィーに毒のことを話しておけばよかったと深く後悔する。
強引に婚約して、純潔を奪った挙句、守ると言いながらソフィーを守ることが出来なかった。
愛想を尽かされたか…。
ソフィーには何度か手紙を出し、会いたいことを伝えるが本人が拒否しているらしい。
私はどうすればいいのだろうか。
そんな悩む日々を送っていると、待ち焦がれていたソフィーからの手紙が届くのであった。
手紙には、臥せっている間にお世話になったことへの感謝と、私と一緒に過ごした日々が幸せだったこと、私を大好きでいてくれたことが書いてあった。
私から愛を伝えることばかりだったが、ソフィーも私を好いてくれていたようだ。嬉しい気持ちになるが、その後に書いてあったのは、別れの言葉であった。
今後は別々の人生を歩むことになるが、私の幸せを願っているだと?
ソフィーなしで、私の幸せなんてあり得ないのに。いくら婚約が解消されているとはいえ、こんな手紙で終わろうだなんて、納得できるはずがないのだ。
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しばらくすると、ソフィーが療養で王都を離れたと聞く。そこまで弱っているのか?私はソフィーを苦しめたのか?
前のように強引に連れ戻すか?…ダメだな。今はクラーク侯爵家にいるからそれは出来ない。
「公爵閣下。クラーク侯爵令嬢とシスティーナ国の大公殿下が恋仲で、婚約目前だという噂が流れています!」
…そんなの許さない。私の目の届かない他国へ行くなんて、絶対に許さない。
「噂が真実なのか、すぐに調べろ!」
「畏まりました!」
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