118 / 133
閑話 エドワーズ公爵 13
しおりを挟む
「王族で公爵という立場のお方を、いつ目覚めるのか分からない娘に縛り付けているわけにはいかないのです。公爵様は良くても、周りはそうは見てはくれません。」
ソフィーとの婚約解消はしたくないと何度も訴えるが、結局、聞き入れてもらえなかった…。
婚約者でなくなった私は、ソフィーに見舞いに行くことも出来ず、ただ無気力に執務をこなす日々が続く。
執務をこなし、広い領地の魔物討伐をして、ただ過ぎていく毎日。
それから数ヶ月経った頃。クラーク侯爵家から文が届く。
手紙には、ソフィーが目覚めたと書いてあった。まだ動くことは出来ないが、意識はハッキリしていると書いてある。
涙が流れていた…。
もう少し待って、体調が戻れば会える日が来るだろうか?そしたら、また婚約を申し込もう。早く迎えに行きたい。そんな風に考え、ソフィー宛てに手紙を出すが…。
クラーク侯爵家からは、面会や手紙は遠慮すると手紙が届く。
ソフィーの体調がまだ戻らず、精神的にも弱っているらしい。
元気になったら会いたいので、その時は知らせて欲しいと依頼するものの、いい返事は返って来なかった。
どうして…。
自由な生活を楽しんでいたソフィーを、権力を使って強引に手に入れたのは認める。初めは戸惑っているように見えたが、徐々に私に心を許してくれていると思っていたのに。
「公爵閣下。クラーク侯爵令嬢を調べてみたのですが、どうやら毒の後遺症を心配しているようです。」
「毒の後遺症?」
「はい。健康に不安がある状態では結婚出来ないと考えているようでして、元婚約者の公爵閣下と会うのもお辛いようです。」
そこまで考えてなかった。確かに貴族は跡継ぎを産む必要がある。ソフィーはそのことを心配しているのだな。
私と婚約しなければ、キャンベル公爵家に狙われることはなかった。あの時に、ソフィーに毒のことを話しておけばよかったと深く後悔する。
強引に婚約して、純潔を奪った挙句、守ると言いながらソフィーを守ることが出来なかった。
愛想を尽かされたか…。
ソフィーには何度か手紙を出し、会いたいことを伝えるが本人が拒否しているらしい。
私はどうすればいいのだろうか。
そんな悩む日々を送っていると、待ち焦がれていたソフィーからの手紙が届くのであった。
手紙には、臥せっている間にお世話になったことへの感謝と、私と一緒に過ごした日々が幸せだったこと、私を大好きでいてくれたことが書いてあった。
私から愛を伝えることばかりだったが、ソフィーも私を好いてくれていたようだ。嬉しい気持ちになるが、その後に書いてあったのは、別れの言葉であった。
今後は別々の人生を歩むことになるが、私の幸せを願っているだと?
ソフィーなしで、私の幸せなんてあり得ないのに。いくら婚約が解消されているとはいえ、こんな手紙で終わろうだなんて、納得できるはずがないのだ。
生死を彷徨うほどの毒の後遺症を気にすることは理解出来る。しかし、子供なんてできなくても気にしないのに。そのことをソフィーに伝えようか?しかし、今の私がそれを伝えても、ソフィーは受け入れてくれるようには思えない。
しばらくすると、ソフィーが療養で王都を離れたと聞く。そこまで弱っているのか?私はソフィーを苦しめたのか?
前のように強引に連れ戻すか?…ダメだな。今はクラーク侯爵家にいるからそれは出来ない。
「公爵閣下。クラーク侯爵令嬢とシスティーナ国の大公殿下が恋仲で、婚約目前だという噂が流れています!」
…そんなの許さない。私の目の届かない他国へ行くなんて、絶対に許さない。
「噂が真実なのか、すぐに調べろ!」
「畏まりました!」
ソフィーとの婚約解消はしたくないと何度も訴えるが、結局、聞き入れてもらえなかった…。
婚約者でなくなった私は、ソフィーに見舞いに行くことも出来ず、ただ無気力に執務をこなす日々が続く。
執務をこなし、広い領地の魔物討伐をして、ただ過ぎていく毎日。
それから数ヶ月経った頃。クラーク侯爵家から文が届く。
手紙には、ソフィーが目覚めたと書いてあった。まだ動くことは出来ないが、意識はハッキリしていると書いてある。
涙が流れていた…。
もう少し待って、体調が戻れば会える日が来るだろうか?そしたら、また婚約を申し込もう。早く迎えに行きたい。そんな風に考え、ソフィー宛てに手紙を出すが…。
クラーク侯爵家からは、面会や手紙は遠慮すると手紙が届く。
ソフィーの体調がまだ戻らず、精神的にも弱っているらしい。
元気になったら会いたいので、その時は知らせて欲しいと依頼するものの、いい返事は返って来なかった。
どうして…。
自由な生活を楽しんでいたソフィーを、権力を使って強引に手に入れたのは認める。初めは戸惑っているように見えたが、徐々に私に心を許してくれていると思っていたのに。
「公爵閣下。クラーク侯爵令嬢を調べてみたのですが、どうやら毒の後遺症を心配しているようです。」
「毒の後遺症?」
「はい。健康に不安がある状態では結婚出来ないと考えているようでして、元婚約者の公爵閣下と会うのもお辛いようです。」
そこまで考えてなかった。確かに貴族は跡継ぎを産む必要がある。ソフィーはそのことを心配しているのだな。
私と婚約しなければ、キャンベル公爵家に狙われることはなかった。あの時に、ソフィーに毒のことを話しておけばよかったと深く後悔する。
強引に婚約して、純潔を奪った挙句、守ると言いながらソフィーを守ることが出来なかった。
愛想を尽かされたか…。
ソフィーには何度か手紙を出し、会いたいことを伝えるが本人が拒否しているらしい。
私はどうすればいいのだろうか。
そんな悩む日々を送っていると、待ち焦がれていたソフィーからの手紙が届くのであった。
手紙には、臥せっている間にお世話になったことへの感謝と、私と一緒に過ごした日々が幸せだったこと、私を大好きでいてくれたことが書いてあった。
私から愛を伝えることばかりだったが、ソフィーも私を好いてくれていたようだ。嬉しい気持ちになるが、その後に書いてあったのは、別れの言葉であった。
今後は別々の人生を歩むことになるが、私の幸せを願っているだと?
ソフィーなしで、私の幸せなんてあり得ないのに。いくら婚約が解消されているとはいえ、こんな手紙で終わろうだなんて、納得できるはずがないのだ。
生死を彷徨うほどの毒の後遺症を気にすることは理解出来る。しかし、子供なんてできなくても気にしないのに。そのことをソフィーに伝えようか?しかし、今の私がそれを伝えても、ソフィーは受け入れてくれるようには思えない。
しばらくすると、ソフィーが療養で王都を離れたと聞く。そこまで弱っているのか?私はソフィーを苦しめたのか?
前のように強引に連れ戻すか?…ダメだな。今はクラーク侯爵家にいるからそれは出来ない。
「公爵閣下。クラーク侯爵令嬢とシスティーナ国の大公殿下が恋仲で、婚約目前だという噂が流れています!」
…そんなの許さない。私の目の届かない他国へ行くなんて、絶対に許さない。
「噂が真実なのか、すぐに調べろ!」
「畏まりました!」
106
お気に入りに追加
5,948
あなたにおすすめの小説
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)

強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり(苦手な方はご注意下さい)。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】愛してました、たぶん
たろ
恋愛
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる