記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ

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急だけど結婚の話

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「2人が仲直り出来たのは嬉しい限りだが、何で急に結婚の話になったのだ?」

 魅力的な契約結婚の申し出にあっさりと落とされた私は、すぐに国王陛下に報告した方がいいと将軍閣下に言われて、2人で陛下に報告に来たのだが…、まあ、驚かれるよね。

「クラーク嬢。君はよほど、大公殿下と結婚がしたくないようだな…。」

 さすが陛下だ。よく分かっている。

「私には大公妃は無理ですわ。」

「くっ、くっ。大公殿下と結婚がしたくないから、将軍で我慢することを否定しないんだな。」

 いや、将軍閣下で我慢するとは言ってないからね。

「将軍閣下が魅力的な(提案をする)方だと認識することが出来たのですわ。」

「ほう!将軍も良かったな…。
 分かった!結婚を認めよう。しかし、クラーク侯爵と夫人を説得することが条件だ。それと大公殿下との縁談を断るには、きちんとした理由が必要だ。ただ将軍と結婚したいだけではダメだな。後日クラーク侯爵と一緒に断る理由を考える必要がある。」

「ありがとうございます。クラーク侯爵には、きちんと認めてもらえるように、誠意を見せたいと思っています。
 陛下、感謝しています。」

 将軍閣下は陛下と仲がいいみたいだ。雰囲気で分かる。

「クラーク嬢。こんなことを聞くのは悪いとは思うが…、イーサンはもういいのか?」

 うっ!陛下はエドワーズ公爵様の従兄弟だもんね。心配するのはしょうがないよね…。

「体に不安があって、跡継ぎを産めるのか分からない私は、公爵夫人には相応しくありませんわ。エドワーズ公爵様のご家族にも申し訳ないですし、私は公爵様の弟様にも嫌われてますので…。
 もうエドワーズ公爵様とは終わったのです。」

 もしエドワーズ公爵様と結婚して子供ができなければ、あのムカつく弟あたりから、養子を迎えることになるんでしょ?…無理だよね。
 私を愛人呼ばわりして、邸を追い出したあの弟とは分かり合えない自信があるからね。
 契約結婚とはいえ、煩い家族がいない将軍閣下は、今の私にはピッタリだと思う。

「…そうか。ならいいんだ。
 将軍は私の大切な側近であり、友人でもある。仲良くしてやって欲しい。」

「勿論ですわ。陛下には、色々とご迷惑をおかけしました。」



 陛下に報告をして、その日はそのまま邸に帰ることになる。
 時間も結構経ってしまったしね。帰りは将軍閣下が馬車までエスコートして送ってくれた。
 途中ですれ違った近衛騎士達が、私達を二度見していたような気がするがスルーしよう。

「ソフィア嬢。こんな私の希望を聞いてくれてありがとう。君の両親を説得出来るように、最善を尽くしたいと思う。」

「いえ。こちらこそ、傷モノの私を気遣って下さった事に感謝致しますわ。両親には、私からも事情は説明してみます。」

「ああ。よろしく頼む。
 それと、君は傷モノなんかじゃない。君とこんな風に話をしたり、エスコートすることが出来て、私はすごく嬉しいと思っているんだ。」

 ヘタレで泣き虫だと思っていたけど、性格は優しい人みたいだ。過去の事は忘れられないけど、何とかやっていけそうな気がする。

「ふふっ。未来の旦那様がお優しい方のようで、とても嬉しいですわ。」

「……それは良かった。」

 下を向いてしまった…。もしかして照れてるのかな?

 将軍閣下は馬車が見えなくなるまで、見送ってくれたようだった。


 よし!帰ったら、お父様とお母様に話をしてみよう。


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