記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ

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グチる私

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 私がキレながら本音を話すと、将軍閣下は目を見開いていた。

 そうだよね…。見た目はか弱くて、守ってあげたくなるような、可憐な美少女ソフィアさんだもん。そんなソフィアさんが、元旦那とはいえ、初対面の人の前でブチギレたなんてビックリだよね、
 しょうがないじゃん!中身は前世でオトコ女とか呼ばれていた私なんだから!

「君が辛い思いをしていたのは知っているつもりだ。だから、エドワーズ公爵と仲の良い姿を見た時に、黙って祝福しようと思っていた。
 だが…、まさか毒で倒れて、婚約が解消になるとは思っていなかった。
 その時に思ったんだ…。もし、あの時に私が君を大切にして、婚姻が無効にならなければ、君は毒を飲まずに済んだのではないかと。」

「そんなことを今更言っても無駄なのです。後悔をいくらしても、もう遅いのですから。」

「分かってはいるんだ。でも、君には幸せになってもらいたいと思っている。
 君は大公殿下と恋仲ではないのか?さっきの話を聞くと、君は大公殿下との縁談を喜んでいるようには思えない。」

 将軍閣下は涙が止まったようだ。

「大公様は素敵な方だと思いますが、恋仲ではありません。しかし、大公様から誘われて2人で出掛けることは何度かありました。
 私の立場で、あのような高貴な身分の方からお誘いを受けたら、断れないのは分かりますよね?私は、遠い異国で大公妃としてやっていくのは無理だと思っています。あのような方との婚姻は、私には不相応ですわ。」

「そうだったのか…。社交界で君と大公殿下は恋仲で、もうすぐ婚約すると噂になっていたから、そうなのかと…。」

「まあ、男女のちょっとした(体の)関係はあったことは認めますけど、望んでそうなったのではありません。
 噂は誰が立てたのか知りませんけど、迷惑ですわ。私は自由で穏やかな生活を望んでいるだけなのです。」

「………。」

 あっ!必要以上にしゃべり過ぎたかな。男女のちょっとした関係とか、余計なことを喋っちゃった。将軍閣下は引いてたりして…。


「申し訳ありません。つい喋り過ぎました。私の話は忘れて下さい。
 では、これで私は失礼し……」

「待ってくれ!」

 えっ?さっきまで涙を流していた将軍閣下とは思えないくらい、一瞬で雰囲気がピシッと変わった気がする。

「…何か?」

「私を利用してくれ!大公殿下との縁談を断る為の理由が必要だろう?」

 真顔で何を言ってるの?この人は。

「何を利用しろと?」

「私を偽装結婚でも契約結婚でもいいから、その相手として利用してくれ。君の縁談除けになるだろう?
 結婚したら、君は自由に過ごして構わない。住む場所も君が過ごしやすい場所を考える。君が別に好きな男ができたらすぐに離縁するし、その時は私の有責だということにして、慰謝料も払う。
 国王陛下主催の行事以外は、社交は無理にしなくてもいい。
 …どうだろうか?」


 な、なんて魅力的な……


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