106 / 133
見舞い
しおりを挟む
「ソフィア、風邪で臥せっていると聞いて、心配で来てしまった。大丈夫か?」
優秀なメイド達は、サッと髪を整え、薄く化粧をして、寝起きの酷い有様の私を、上手く誤魔化してくれた。
そして私の部屋に大公様が入って来て、今に至る。
未婚の女性の部屋に、普通なら入って来ないはずなのに…。
まだきちんと結婚すると決まったわけでもないのに…。
恐らく、臥せって起きれないと聞かされたから、部屋まで会いに行くと言いだし、身分が高すぎるお方ゆえ、使用人達では止められなかったのだろう。
大公様も、見かけによらずグイグイ来るよね。
「わざわざ申し訳ありませんでした。まだ熱がありますが、寝ていれば治ると思います。それよりも、大公様にうつすとよくないので、あまり近くに寄らない方がよいかと…。」
そう。大公様は、ベッド横にある椅子に腰掛けて、ベッドにいる私の手を握っている。
「私は大丈夫だ。それより……、この前、君に無理をさせてしまって、すまなかった。」
ええ、無理しましたよ。グッタリでしたよ。
……仲良しメイド達の目が!ああ、恥ずかしい。
「た、大公様。何事も程々がよろしいかと。」
「…そうだな。気を付ける。だから、また2人で会いたい。嫌だなんて言わないでくれ。君に嫌われたら、私は生きていけない。」
そんな必死な顔をしなくても。こっちが悪いみたいじゃないの。
「大公様、大袈裟ですわ。また元気になったら、どこかに誘って下さい。」
「…ソフィア!君が元気になったら、君が好きな所に行こう!約束だ。」
「ええ。…大公様。風邪がうつると公女様に申し訳ないので、そろそろ…。」
「ああ、長居はよくないな。今日は帰るよ。また明日会いに来るからな。
ソフィア、愛してる。早く元気になるんだよ。」
大公様は、私の額にキスをして帰って行った。
「「きゃー!」」
メイド達が叫んでいる…。
大公様は、綺麗なお花とオシャレなお菓子を沢山持って来てくれた。
ドレスや宝石も沢山届けられていた。知ってはいたが、リッチなお方らしい。
大公様は毎日お見舞いに来られた。忙しいだろうし、ただの風邪だから大丈夫だと言っているのに。
正直、嬉しいけど、まだ申し訳ない気持ちの方が大きいような気がする。この先どうしよう…。
ただ、色々ありすぎて、エドワーズ公爵様のことを思い出すことが、極端に減ってきているのは分かっている。
風邪が良くなって来た頃だった。
王都のお母様から手紙が届く。
手紙には、色々話し合いたいことがあるから、一度王都に戻ってくるようにと書いてあった。
恐らく、大公様とのことを聞かれるのだろう。とっくに大公様からの文が届いているはずだろうし。
一度、お母様と話した方がいいよね。このことは、私が勝手に決められることではない。
よし!王都に一度帰ろう。
「ソフィア。王都に帰っても、私のことを忘れないでくれ…。もし、忘れるようなことがあれば、強引に迎えに行くことになるからな。」
大公様、優しいようで結構怖い人なのかな?
「申し訳ありません。一度、実家に戻るようにと命令ですので。」
「ソフィア!気をつけてね。また遊ぼう。」
「公女様、また遊んで下さいね。」
2人に挨拶を済ませて、私は王都に旅立つことになった。
優秀なメイド達は、サッと髪を整え、薄く化粧をして、寝起きの酷い有様の私を、上手く誤魔化してくれた。
そして私の部屋に大公様が入って来て、今に至る。
未婚の女性の部屋に、普通なら入って来ないはずなのに…。
まだきちんと結婚すると決まったわけでもないのに…。
恐らく、臥せって起きれないと聞かされたから、部屋まで会いに行くと言いだし、身分が高すぎるお方ゆえ、使用人達では止められなかったのだろう。
大公様も、見かけによらずグイグイ来るよね。
「わざわざ申し訳ありませんでした。まだ熱がありますが、寝ていれば治ると思います。それよりも、大公様にうつすとよくないので、あまり近くに寄らない方がよいかと…。」
そう。大公様は、ベッド横にある椅子に腰掛けて、ベッドにいる私の手を握っている。
「私は大丈夫だ。それより……、この前、君に無理をさせてしまって、すまなかった。」
ええ、無理しましたよ。グッタリでしたよ。
……仲良しメイド達の目が!ああ、恥ずかしい。
「た、大公様。何事も程々がよろしいかと。」
「…そうだな。気を付ける。だから、また2人で会いたい。嫌だなんて言わないでくれ。君に嫌われたら、私は生きていけない。」
そんな必死な顔をしなくても。こっちが悪いみたいじゃないの。
「大公様、大袈裟ですわ。また元気になったら、どこかに誘って下さい。」
「…ソフィア!君が元気になったら、君が好きな所に行こう!約束だ。」
「ええ。…大公様。風邪がうつると公女様に申し訳ないので、そろそろ…。」
「ああ、長居はよくないな。今日は帰るよ。また明日会いに来るからな。
ソフィア、愛してる。早く元気になるんだよ。」
大公様は、私の額にキスをして帰って行った。
「「きゃー!」」
メイド達が叫んでいる…。
大公様は、綺麗なお花とオシャレなお菓子を沢山持って来てくれた。
ドレスや宝石も沢山届けられていた。知ってはいたが、リッチなお方らしい。
大公様は毎日お見舞いに来られた。忙しいだろうし、ただの風邪だから大丈夫だと言っているのに。
正直、嬉しいけど、まだ申し訳ない気持ちの方が大きいような気がする。この先どうしよう…。
ただ、色々ありすぎて、エドワーズ公爵様のことを思い出すことが、極端に減ってきているのは分かっている。
風邪が良くなって来た頃だった。
王都のお母様から手紙が届く。
手紙には、色々話し合いたいことがあるから、一度王都に戻ってくるようにと書いてあった。
恐らく、大公様とのことを聞かれるのだろう。とっくに大公様からの文が届いているはずだろうし。
一度、お母様と話した方がいいよね。このことは、私が勝手に決められることではない。
よし!王都に一度帰ろう。
「ソフィア。王都に帰っても、私のことを忘れないでくれ…。もし、忘れるようなことがあれば、強引に迎えに行くことになるからな。」
大公様、優しいようで結構怖い人なのかな?
「申し訳ありません。一度、実家に戻るようにと命令ですので。」
「ソフィア!気をつけてね。また遊ぼう。」
「公女様、また遊んで下さいね。」
2人に挨拶を済ませて、私は王都に旅立つことになった。
107
お気に入りに追加
5,948
あなたにおすすめの小説
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)

愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。
『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』
メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる