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お茶会
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公女様とお茶会のテーブル席で座って話をしていると、扉がノックされる。
大公様が来たかな?椅子から立ち上がり、姿勢を正す。
「クラーク侯爵令嬢。今日は来てくれてありがとう。娘がどうしても君を招待したいらしくてな。わざわざすまないな。」
「大公様。本日はご招待ありがとうございます。公女様から誘って頂けるなんて、とても光栄ですわ。」
お茶会は、公女様親子と私しかいなかったので、特に嫌なことはなかった。
可愛い公女様に癒され、ほのぼのとした雰囲気で時間は過ぎていった。
「…公女様?少しお疲れでしょうか?」
まだ昼寝をする年頃だよね?目を擦って、何となく眠そうだ。
「そろそろお昼寝になさいますか。失礼致します。」
公女様の乳母らしきマダムが、公女様を抱っこして連れて行った。
主役の公女様が居なくなったから、もうお茶会はお開きだよね?大公様だって忙しそうだし、2人で特に話すこともないし。
「大公様。公女様がお休みになられましたので、私もそろそろ失礼したいと思いますわ。今日はありがとうございました。楽しい時間を過ごすことが出来ましたわ。」
しかし、
「…何か予定でもあるのか?せっかくだから、庭園でも案内して、花でも見せたいと思っていたのだが。」
大公様と2人で?あまり気乗りはしないのだけど、これも社会人の付き合いみたいなものだよね…。しょうがないか。
「…では、少しだけ。」
「良かった!じゃあ、見に行こうか。」
大公様?なぜそんなに安心したような表情をするの?
大公様はエスコートして、広い庭園を案内してくれた。想像通りの、手入れの行き届いた素敵な庭園だった。
「…クラーク侯爵令嬢。いつも娘が世話になっているようで、大変申し訳ない。アンリはクラーク侯爵令嬢が大好きなようだ。」
可愛い公女様に好かれるなんて、嬉し過ぎる!
「とても嬉しく思いますわ。私こそ、公女様にいつも元気を貰っていますの。可愛いくて、天使のような公女様と一緒にいると、幸せな気分になれるのです。私こそ、公女様に出会えてことに感謝しております。」
「君はアンリを可愛がってくれていると、護衛やメイドから聞いている。アンリの母である妻は、アンリを出産してすぐに亡くなっているから、アンリは母親の愛情を知らないのだ。だから、君にそれを求めているのかもしれないな。」
なるほど。大公夫人の姿がないとは思っていたら、そういうことだったのね。
「そうでしたか…。しかし公女様は、大公様や乳母の方、メイドや護衛騎士の方達に、とても大切にされておりますわ。大公様達の愛情は公女様にきちんと伝わっていると思います。」
「だといいのだが。娘は可愛いが、難しいな。」
奥様が亡くなっているなら、尚更、一人娘の公女様は可愛くてしょうがないだろうね。
公女様を溺愛する大公様と、公女様大好きな私は、その後、公女様の話で盛り上がるのであった。
気づくと日が暮れそうになっている。
「大公様、遅くまで申し訳ありませんでした。そろそろ失礼致します。」
「あっ!暗くなるな。こちらこそ申し訳ない。遅いから私が送る。」
いや、大公様みたいな人に、軽々しく送ってもらうなんて無理だから。
「大公様、お気持ちだけ頂きますわ。公女様が目覚められた時に、寂しく感じないように、公女様の側に付いていてあげて下さいませ。」
「…しかし。こんな遅くまで、私が引き留めてしまったのだから、それくらいはさせて欲しい。」
「いえ。そこまで遠い距離ではありませんので、大丈夫ですわ。今日はありがとうございました。」
そんな感じで、お茶会を無事に終えた私は、別荘に帰るのであった。
大公様が来たかな?椅子から立ち上がり、姿勢を正す。
「クラーク侯爵令嬢。今日は来てくれてありがとう。娘がどうしても君を招待したいらしくてな。わざわざすまないな。」
「大公様。本日はご招待ありがとうございます。公女様から誘って頂けるなんて、とても光栄ですわ。」
お茶会は、公女様親子と私しかいなかったので、特に嫌なことはなかった。
可愛い公女様に癒され、ほのぼのとした雰囲気で時間は過ぎていった。
「…公女様?少しお疲れでしょうか?」
まだ昼寝をする年頃だよね?目を擦って、何となく眠そうだ。
「そろそろお昼寝になさいますか。失礼致します。」
公女様の乳母らしきマダムが、公女様を抱っこして連れて行った。
主役の公女様が居なくなったから、もうお茶会はお開きだよね?大公様だって忙しそうだし、2人で特に話すこともないし。
「大公様。公女様がお休みになられましたので、私もそろそろ失礼したいと思いますわ。今日はありがとうございました。楽しい時間を過ごすことが出来ましたわ。」
しかし、
「…何か予定でもあるのか?せっかくだから、庭園でも案内して、花でも見せたいと思っていたのだが。」
大公様と2人で?あまり気乗りはしないのだけど、これも社会人の付き合いみたいなものだよね…。しょうがないか。
「…では、少しだけ。」
「良かった!じゃあ、見に行こうか。」
大公様?なぜそんなに安心したような表情をするの?
大公様はエスコートして、広い庭園を案内してくれた。想像通りの、手入れの行き届いた素敵な庭園だった。
「…クラーク侯爵令嬢。いつも娘が世話になっているようで、大変申し訳ない。アンリはクラーク侯爵令嬢が大好きなようだ。」
可愛い公女様に好かれるなんて、嬉し過ぎる!
「とても嬉しく思いますわ。私こそ、公女様にいつも元気を貰っていますの。可愛いくて、天使のような公女様と一緒にいると、幸せな気分になれるのです。私こそ、公女様に出会えてことに感謝しております。」
「君はアンリを可愛がってくれていると、護衛やメイドから聞いている。アンリの母である妻は、アンリを出産してすぐに亡くなっているから、アンリは母親の愛情を知らないのだ。だから、君にそれを求めているのかもしれないな。」
なるほど。大公夫人の姿がないとは思っていたら、そういうことだったのね。
「そうでしたか…。しかし公女様は、大公様や乳母の方、メイドや護衛騎士の方達に、とても大切にされておりますわ。大公様達の愛情は公女様にきちんと伝わっていると思います。」
「だといいのだが。娘は可愛いが、難しいな。」
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「…しかし。こんな遅くまで、私が引き留めてしまったのだから、それくらいはさせて欲しい。」
「いえ。そこまで遠い距離ではありませんので、大丈夫ですわ。今日はありがとうございました。」
そんな感じで、お茶会を無事に終えた私は、別荘に帰るのであった。
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