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建国記念パーティー

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 国王陛下は私達を見て、珍しいものを見たような目でいた。

「イーサン。本当に変わったな…。もう、アイツの入る隙はなさそうだ。」

「入る隙?そんなのあるわけない。大体、事情があるにしても手放したのは将軍だ。白い結婚は認められているし、私達は正式に婚約したのだ。私はもうソフィーを離さないし、将軍には返さない!その事は、陛下から将軍にきちんと伝えておいてくれ。」

「ハァー。分かっている。クラーク侯爵令嬢、今日は悪かったな。イーサンをよろしく頼む。こんなヤツだが、私の従兄弟で幼馴染なんだ。そして、君自身の幸せを願っている。でも、アイツから直接謝ることは……、ダメだな?イーサン、殺気立つなよ。」

 随分と砕けて話をしていると思っていたら、従兄弟だって?普通に身内じゃん!

「陛下。将軍に直接会うのは、まだソフィーには早い。」

「しかしなぁ、アイツも可哀想ではあるのだ。クラーク侯爵令嬢から何か伝言とかないか?」

 顔も知らないムカつく元旦那に、何を伝えると言うのか。ならば、今後は関わりたくないという意味を込めて…

「では…。将軍閣下の知るソフィア・クラークは死にましたので、死んだ人間の事はお忘れ下さいとお伝え下さいませ。」

「………。」


 シーン…

 
 あれっ?ちょっと言いすぎたかな?
 でも、クソ元旦那と結婚したソフィアさんの記憶を失って、死んだ様なものだからね。

「くっくっ。陛下、将軍に一字一句間違えないように、しっかり伝えてくれよ。」

 イーサン様が笑い飛ばしてくれた。ふぅ。

「分かった。…考えてみれば、顔も知らない将軍と結婚して、命を狙われて、更に記憶をなくして…、君は1度亡くなって、生まれ変わったようなものだな。そう言いたいのは理解できる。きちんと伝えておくよ。」




 

 国王陛下から呼び出しを受け、2週間後。

 またまた、イーサン様と王宮にやって来た私。今日は建国記念日で、国王陛下主催のパーティーがあるのだ。
 エドワーズ公爵家も、クラーク侯爵家もかなりの力を持つ家門なので、無理に社交はしなくてよいとイーサン様は言ってくれているから良かったけど、国王陛下主催のイベントは出席しなくてはいけない。
 国王陛下主催のパーティーは、国内外の貴族が揃う、規模の大きなパーティーになるようだ。

 実家のお母様からは、昔のソフィアさんの交友関係や、クラーク侯爵家と仲の良い家門と、良くない家門など詳しく書いてある手紙が届き、記憶を失くしている私は、その手紙と貴族名鑑を見て猛勉強した。

 更にダンスの練習に、ドレスの準備などでかなり忙しく過ごした。エドワーズ公爵家とクラーク侯爵家の婚約を発表して、初めて公の場に2人で参加するので、かなり注目されるからと、イーサン様のお母様が贔屓にしている、すごいデザイナーを呼びつけたりして大変だった。
 やっぱり平民として平凡な生活をしているのが、私には合っていたんだなぁ。もう戻れないだろうけど。

 今日は大きくて首が折れそうな、アメジストとダイヤモンドの首飾りをつけられ、白に近い薄紫のドレスを着せられた。ソフィアさんは儚げな雰囲気を持つ美少女だから、濃い色とか原色はあまり似合わないんだよね。それを知っているからか、いつも優しい色のドレスをイーサン様が選んでくれる。

 王宮に着き、イーサン様のエスコートで会場内に入って行く私。

「ソフィーが美しいから、みんな君を見ているな。ソフィーは、今日は絶対に私から離れてはいけないよ。約束だ。」

 イーサン様は皆んなが見ている前でも、普通に額にキスを落とす。もう、やめてよー!恥ずかしいのに。

「くっくっ。ソフィーはすぐに顔が赤くなるな。」

「イーサン様、皆んな見てますわ。恥ずかしいのです。」

 バカップルに見られたくないのですよー。
 その時だった…

「まあ!エドワーズ公爵様。ご機嫌よう。」

 どこかの令嬢らしき人が声を掛けてきたようだ。
 




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