記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ

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初めまして

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 朝早くから気合いの入ったメイド達に磨かれ、ラベンダー色の清楚なドレスを着せられた私。今は、公爵様と2人で馬車に乗り、王宮に向かっている。国王陛下からお呼び出しされたようなのだ。

「ソフィー。正直、私は君を王宮に連れては行きたくないのだ。可愛いソフィーを、男が沢山いる王宮に連れて行くなんて、危険以外の何でもないからな。しかし、陛下からの呼び出しは無視出来ない。私が側に付いているから、少しだけ我慢してくれ。」

 ですよねー。国王陛下の命令ですもんねー。

「公爵様、私なら大丈夫ですわ。公爵様が一緒で心強いですし。」

 この人は頼り甲斐のある方だから、何とかなりそうだしね。

「ソフィーがそんな風に言ってくれるなんて、私は幸せだ。愛してるよ、ソフィー。」

 公爵様は私を抱き寄せて、軽いキスをする。
 まだ、この愛情表現に慣れない私は、顔が熱くなってきてしまうのだ。

「ソフィーはすぐに顔が赤くなって可愛いな。それと、そろそろ私を名前で呼んでくれ。イーサンって言って、ほら。」

「…イーサン様?」

 朝から恥ずかしいわ!!激甘じゃないの。

「ソフィー、これからはずっと名前で呼ぶんだ。」

 ニコニコのイーサン様だった。

「それと、もしかしたら陛下は側近のマーティン将軍に会わせようとするかもしれないな。ソフィーは大嫌いかもしれないが、騎士としても、側近としても、マーティン将軍は評判は良い男なのだ。陛下はマーティン将軍を大切な部下の1人として扱っているから、君と仲の拗れたままの将軍を哀れに思って、仲直りくらいはさせたいと考えていてもおかしくはない。心の準備はしておいた方がいいな。」

「…そうですか。分かりました。」

 今更会っても意味なんてないだろうけど。でも、将軍だけは許せない。

「君を不幸にした将軍にも、私は本当は会わせたくはないのだ。しかし、あの陛下なら考えられるからな。でも大丈夫だ。私が付いている。」

「はい。ありがとうございます。」




 そして王宮に着いた私達は、豪華な応接室のような部屋に通される。ここで陛下を待てってことか。ハァー。緊張するな。

 すると、陛下の従者らしき人がもうすぐ陛下が来ると知らせてくれる。立ち上がって待つ私達。
 扉が開けられて入って来たのは、まだ20代くらいの美丈夫と護衛騎士達と従者。あの人が国王?怖そうなおじ様を想像していたのだけど。
 王族へのカーテシーをする私。

「ああ。非公式な場だから、楽にしていいぞ。」

「…陛下、今日は何の用で?」

「イーサン、そんなに嫌そうな顔をするな。一生結婚しないと言い張っていたはずのお前が、随分と急いで婚約すると聞いたからな。相手のご令嬢が気になってしまって、ぜひ会いたいと思ってしまったのだ。」

「…白々しい。こちらは、私が心から愛するソフィア・クラーク侯爵令嬢だ。ソフィー、こちらが国王陛下だ。」

 イーサン様、随分と陛下に対しての扱いが雑だわ。

「クラーク侯爵家長女、ソフィア・クラークと申します。」

「君がクラーク侯爵令嬢か。初めましてだな。…本当に美しいな。イーサンやディランが気に入るのが分かる。」

 陛下、目が怖いですわよ。

「陛下、ソフィーが減るのであまり見つめないで頂きたい。」

「イーサン、嫉妬は見苦しいぞ。」

「で?」

「いや、母上がな。クラーク侯爵家にそんなに美しくて、魔力が強い令嬢がいたなら、私が結婚すればいいなどと言い出して……、冗談だ!殺気立つなよ。」

「私達は愛し合っていますから、陛下が私達を引き離そうとしても無理です。」

 真顔で言うな!恥ずかしい。

「誰も引き離そうなどとは考えていない。今日呼び出したのは、私がクラーク侯爵令嬢に謝りたいと思ったからだ。」

 謝る??

 

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