記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ

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閑話 エドワーズ公爵 10

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 ソフィア嬢を別邸に連れて行き、部屋で2人きりになるようにし、弟のことや、私が守れなかったことなどを謝りつつ、自分の彼女への思いを伝えて、婚約して欲しいことを話す。
 彼女は少し考え込んでいたようだが、身分を理由に自分のことは忘れて欲しいと言ってきた。
 少しショックだが、彼女が断ることは予想していた。身分のことも、今の自由な生活を続けていきたいと考えているであろうことも。だから、彼女は自分の実家にも、私の元にも戻って来なかったのだろう。

 でも、そんなことは関係ない。クラーク侯爵令嬢であるソフィア嬢を探す家族や、マーティン将軍から守ると話して、彼女の好きな仕事を続けていくことを認め、彼女が婚約を断れない状況にしたのだから。

 ソフィア嬢は婚約が断れないことに、戸惑っているようだった。
 そんな彼女は、しばらく言葉を詰まらせた後に、やっと返事をしてくれた。……良かった。これで、何の迷いもなく、彼女の全てを自分の物に出来る!

 ソフィア嬢が私に恋愛感情を持っていないことは知っている。特別な存在としても見ていないことも。
 しかし婚約することで、私だけのソフィア嬢として、甘やかして距離を縮めていけばいい。貴族の結婚なんて、政略結婚が多く、結婚してから愛が芽生える夫婦も沢山いるのだから。

 お酒が好きらしいソフィア嬢には、特別なワインをご馳走しよう。ワインの産地で有名な、隣国から取り寄せた初夜用のワインだ。
 何も知らないソフィア嬢は、頬をほんのり赤く染めて美味しいと言って飲んでいる。…本当に可愛いと思う。今夜は彼女を離せないだろうな。

 クラーク侯爵家に彼女との婚約を正式に認めさせるためには、さっさと既成事実を作ってしまった方がいいだろう。特に、ソフィア嬢に妹以上の感情を持っているように見える義兄には、既成事実が必要だと思われる。

 ワインを飲んで酔ったソフィア嬢は、とにかく可愛くて、その夜は私の人生で1番幸せな時間になった。

 次の日、目覚めたソフィア嬢は、お互いが裸でいることに恥ずかしがっているようだった。私はその恥じる姿ですら愛しく、彼女をベッドから出したくなくなってしまった。その後、彼女を深く求めすぎた結果、私は無意識に彼女を抱き潰してしまったようだ。
 初めての彼女に、やり過ぎてしまったことを後悔する。この行為がソフィア嬢の負担にならないように、今後は気をつけないといけないな。

 彼女が寝ている間に、クラーク侯爵家とマーティン将軍には使者を出して、彼女を見つけて保護したことを知らせておいた。
 クラーク侯爵家からは、予想通りにすぐに会いたいと言われる。ソフィア嬢との婚約の為にも、すぐに会ってもらえるようにした方がいいだろう。

 目覚めたソフィア嬢に、無理をさせ過ぎたことを謝る。彼女は許してくれたが、避妊薬が欲しいと言う。彼女は今すぐ子ができるのは嫌なようだ。私もソフィア嬢との子を強く望んでいるが、今は彼女を独占したい気持ちが強いので、しばらくは妊娠は望んでいない。だから、私は行為前に男性用の避妊薬を飲んでいた。
 でも…、今はその事はソフィア嬢には秘密だ。避妊してないフリをして、いつ子ができてもおかしくないと思わせておこう。そうすることで、婚約・結婚と、早く話を進める理由になるし、彼女は私からは逃げることを諦めるだろう。

 早速、次の日にクラーク侯爵家にソフィア嬢と一緒に行き、婚約の話をする。彼女の両親は渋々認めてくれたが、義兄は予想通りの反応だった。だから、ソフィア嬢と情を交わしていることを伝えて黙らせた。やはりあの夜に、ソフィア嬢の純潔を奪っておいて良かったと思う。
 しかし、あの義兄のソフィア嬢への執着はすごい。マーティン侯爵と結婚する前に、一体何の約束をしたというのか?
 ソフィア嬢に私との子ができても、子を連れて戻って来てもいいだなんて、縁起でもないことを平気で口にするあたりが、非常に気に入らないが、別に気にしていない。今後、ソフィア嬢と離れるつもりは一切ないし、義兄に戻そうとも思わない。彼女はすでに私の物だ。絶対に手放さない。

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