54 / 133
ソフィアさんの家族
しおりを挟む
クラーク侯爵家の応接室に案内され、公爵様に促されて、両親と兄に謝罪をする私。
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。」
「いいんだ。無事に生きていてくれたのだから。」
「ソフィー、帰ってきてくれてありがとう。」
両親は泣きそうになっていた。そして、兄らしき令息は、何を思っているのか分からない表情だ。美形だから、何となく迫力があるな。兄とソフィアさんは仲が悪かったの?
「エドワーズ公爵、義息子から聞きましたが、ソフィアの身元が分からない時から、保護して下さったそうですね。ありがとうございます。それでソフィアはいつ、私達の邸に戻ってこれますか?」
やっぱり帰って来て欲しいのか。でもこのお父様が、あの元クソ旦那との結婚をさせたんでしょ?あり得ないわ!
「クラーク侯爵閣下、ソフィア嬢は貴方達の記憶が全くないようです。今の彼女にとって貴方達は初対面の人と一緒です。その状態で、ここで一緒に住むのは難しいと思います。」
「しかし、いつまでもエドワーズ公爵のお世話になる訳にはいきません。記憶を失っていても、私達の大切な娘に変わりありませんから。」
「未婚の令嬢が、他の男の邸にいるのは良くないと言うことですよね?では、クラーク侯爵閣下にお願いがあります。」
「お願い?何でしょうか?」
お父様の隙のない表情が怖い。さっきは泣きそうな顔をしていたのに。
「私達は愛し合っています。どうか婚約を認めて頂けませんか?」
「………。」
お父様は黙ってしまった。
「ソフィーはエドワーズ公爵様を愛しているのかしら?」
こんな時に冷静でいられるのは、父親よりも母親らしい。
「…はい。私は望まない婚姻で死にそうになりましたし、不幸にもなりました。そんな私を誰も気付いてくれませんでしたし、みんな大嫌いで、死にたいとまで思いました。そんな時に私を助けてくれたのは、教会のシスターと、エドワーズ公爵様だけです。どうか、婚約をお許し下さいませ。」
ハッキリ言っちゃったー!
両親も兄も、複雑そうな顔をしている。か弱かったはずのソフィアさんが、記憶喪失になって、こんな性格になっているなんて、驚きだろうからね。
「あなた!ソフィーがここまで言っていますわよ。」
「…分かった。認めよう。あの結婚は私が悪かった。今度こそ、自分の望む相手と幸せになりなさい。」
だよねー。
「ありがとうございます。」
「エドワーズ公爵。ソフィアを幸せにしてあげてください。どうかよろしくお願いします。」
「クラーク侯爵閣下、認めて下さってありがとうございます。ソフィア嬢を幸せにすると約束致します。」
「ソフィーが、エドワーズ公爵閣下を愛してるというのは本当ですか?私にはそこまでには見えませんが。」
鋭い目で怖い美形のお兄様が、ここで初めて口を開いた。
「お兄様。私は公爵様を愛していますわ。」
「ソフィー。愛していると言っても、そこまで慌てて婚約する必要はある?まずは、普通にお付き合いをしてからでもいいと思うよ。」
あれ?仲が悪かった訳じゃなくて、もしかして、このお兄様はシスコン気味?ソフィアさんに対する口調も表情も優しいような気がする。
「クラーク卿は可愛い義妹を心配しているようだが、私達は情を交わすくらい、深く愛し合っているのです。彼女には、もしかしたら新しい命が芽吹いてるかもしれません。ですから早く婚約して、結婚式の予定も決めていきたいのです。お許しください。」
おーい!親・兄妹に、もうやることやってるからってストレートに言うなー!恥ずかしいから!
もしかして…、婚約を反対されないように既成事実を作るため、昨夜はあんなことした?
公爵めー!
「なっ!エドワーズ公爵閣下、貴方はソフィーに何てことを!」
お兄様から冷気が…。お父様は表情が無くなってしまった。
しかし、どうやらこの家のラスボスはお母様らしい。
「エドワーズ公爵様。策略家で知られる貴方がそこまでする程に、うちのソフィーが欲しかったということでよろしいのかしら?そこまで深く愛していると?」
「はい。私にはソフィア嬢だけなのです。彼女を愛しています。」
「分かりました。公爵様は今まで浮いた噂一つ無く、領民から慕われる、素晴らしい領主であると聞いております。そんな貴方を信じて、ソフィーとの婚約を認めましょう。しかし、ソフィーや私達を裏切るような事があれば、すぐに返して頂きます。よろしいですわね?」
「ありがとうございます。神に誓って、ソフィアを幸せにします。」
「義母上、私は納得出来ません!」
「ロン!諦めなさい。ソフィーの幸せを祈りましょう。」
「……ソフィー。マーティン家に行く前に、私とした約束も忘れてしまったのだね?」
「……?」
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。」
「いいんだ。無事に生きていてくれたのだから。」
「ソフィー、帰ってきてくれてありがとう。」
両親は泣きそうになっていた。そして、兄らしき令息は、何を思っているのか分からない表情だ。美形だから、何となく迫力があるな。兄とソフィアさんは仲が悪かったの?
「エドワーズ公爵、義息子から聞きましたが、ソフィアの身元が分からない時から、保護して下さったそうですね。ありがとうございます。それでソフィアはいつ、私達の邸に戻ってこれますか?」
やっぱり帰って来て欲しいのか。でもこのお父様が、あの元クソ旦那との結婚をさせたんでしょ?あり得ないわ!
「クラーク侯爵閣下、ソフィア嬢は貴方達の記憶が全くないようです。今の彼女にとって貴方達は初対面の人と一緒です。その状態で、ここで一緒に住むのは難しいと思います。」
「しかし、いつまでもエドワーズ公爵のお世話になる訳にはいきません。記憶を失っていても、私達の大切な娘に変わりありませんから。」
「未婚の令嬢が、他の男の邸にいるのは良くないと言うことですよね?では、クラーク侯爵閣下にお願いがあります。」
「お願い?何でしょうか?」
お父様の隙のない表情が怖い。さっきは泣きそうな顔をしていたのに。
「私達は愛し合っています。どうか婚約を認めて頂けませんか?」
「………。」
お父様は黙ってしまった。
「ソフィーはエドワーズ公爵様を愛しているのかしら?」
こんな時に冷静でいられるのは、父親よりも母親らしい。
「…はい。私は望まない婚姻で死にそうになりましたし、不幸にもなりました。そんな私を誰も気付いてくれませんでしたし、みんな大嫌いで、死にたいとまで思いました。そんな時に私を助けてくれたのは、教会のシスターと、エドワーズ公爵様だけです。どうか、婚約をお許し下さいませ。」
ハッキリ言っちゃったー!
両親も兄も、複雑そうな顔をしている。か弱かったはずのソフィアさんが、記憶喪失になって、こんな性格になっているなんて、驚きだろうからね。
「あなた!ソフィーがここまで言っていますわよ。」
「…分かった。認めよう。あの結婚は私が悪かった。今度こそ、自分の望む相手と幸せになりなさい。」
だよねー。
「ありがとうございます。」
「エドワーズ公爵。ソフィアを幸せにしてあげてください。どうかよろしくお願いします。」
「クラーク侯爵閣下、認めて下さってありがとうございます。ソフィア嬢を幸せにすると約束致します。」
「ソフィーが、エドワーズ公爵閣下を愛してるというのは本当ですか?私にはそこまでには見えませんが。」
鋭い目で怖い美形のお兄様が、ここで初めて口を開いた。
「お兄様。私は公爵様を愛していますわ。」
「ソフィー。愛していると言っても、そこまで慌てて婚約する必要はある?まずは、普通にお付き合いをしてからでもいいと思うよ。」
あれ?仲が悪かった訳じゃなくて、もしかして、このお兄様はシスコン気味?ソフィアさんに対する口調も表情も優しいような気がする。
「クラーク卿は可愛い義妹を心配しているようだが、私達は情を交わすくらい、深く愛し合っているのです。彼女には、もしかしたら新しい命が芽吹いてるかもしれません。ですから早く婚約して、結婚式の予定も決めていきたいのです。お許しください。」
おーい!親・兄妹に、もうやることやってるからってストレートに言うなー!恥ずかしいから!
もしかして…、婚約を反対されないように既成事実を作るため、昨夜はあんなことした?
公爵めー!
「なっ!エドワーズ公爵閣下、貴方はソフィーに何てことを!」
お兄様から冷気が…。お父様は表情が無くなってしまった。
しかし、どうやらこの家のラスボスはお母様らしい。
「エドワーズ公爵様。策略家で知られる貴方がそこまでする程に、うちのソフィーが欲しかったということでよろしいのかしら?そこまで深く愛していると?」
「はい。私にはソフィア嬢だけなのです。彼女を愛しています。」
「分かりました。公爵様は今まで浮いた噂一つ無く、領民から慕われる、素晴らしい領主であると聞いております。そんな貴方を信じて、ソフィーとの婚約を認めましょう。しかし、ソフィーや私達を裏切るような事があれば、すぐに返して頂きます。よろしいですわね?」
「ありがとうございます。神に誓って、ソフィアを幸せにします。」
「義母上、私は納得出来ません!」
「ロン!諦めなさい。ソフィーの幸せを祈りましょう。」
「……ソフィー。マーティン家に行く前に、私とした約束も忘れてしまったのだね?」
「……?」
151
お気に入りに追加
5,948
あなたにおすすめの小説
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。
るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」
色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。
……ほんとに屑だわ。
結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。
彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。
彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)

愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!
真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。
そこで目撃してしまったのだ。
婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。
よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!
長くなって来たので長編に変更しました。

村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる