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ストーカーと幼馴染
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ナイトマーケットを1人で楽しんでいると、離れた所にいる人と目がバチっと合ってしまった…。
えー、何でアーサーさんがいるのよ!さっき飲み屋にいたよね。顔が引き攣ってしまう私。
話し掛ける仲ではないから、さっさと立ち去る方がいいよね?スッとその場を離れる私。
明日はお休みだから、のんびり料理でもしよう。食材を見て帰ろうかなぁ。煮込み料理に入れる野菜を選んでいると、また視線を感じるような。……バチっ!
何なの、あの男!私を監視でもしている?急いで野菜を買って、早歩きで寮に戻る私であった。
飲み会や食事会の後にナイトマーケットに行くのが私の趣味になっていたが、気付くと近くにアーサーさんがいる事が多い。
もしかして…、異世界版のストーカー?いやいや、まさかね。それを他の人に話したりしたら、自惚れてんなよって言われちゃうよね。
恐らく、あの男は私を監視している。あんな風に謝罪しておきながら、やっぱり私のことを、公爵様を誑かした悪女だって憎んでるのねー!怖っ!
アーサーさんの姿が見えると、恐怖を感じて、素早く逃げるようになった私。だって怖いんだもん。
ある日。
「ダイアナ、今日は2人でランチに行こう。美味しい店を見つけた。」
今日もオリバーさんは強引だわ。断る隙を与えず、気がつくと手を引かれて歩いている。せっかくだから、前から気になっていたことを聞いてみようかなぁ。
可愛らしいカフェのような店に入り、日替わりランチをオーダーして待っている私達。よし!
「あの、オリバーさんに聞きたいことがあるのですが?」
「何だ?」
「オリバーさんって、私の事を前から知っていたのですが?信じてもらえないと思いますが、……私は少し前に記憶を失っていまして。」
「記憶を失った?…だからか。実は……、私には、ダイアナによく似た幼馴染がいた。」
よく似た幼馴染?やっぱり…。
「名前はソフィアですか?」
「……そうだ。実家の伯爵家の隣の領地の令嬢だ。私より5つ年下だったから、妹みたいに可愛がっていた。騎士学校に入ってからは、あまり会えなくなったが、時々会うといつも嬉しそうにしてくれた。体が弱いからか少し気が弱くて、貴族社会の中でやっていけるのかと、とても心配だった。騎士団に入ってからは、実家に帰ることが少なくなって、ソフィアに更に会えなくなった。しばらくして、政略結婚で侯爵家に嫁いだと聞いた。可愛がっていたから、幸せになって欲しいと思っていたのだが…。結婚してから彼女は社交の場に全く姿を見せなくなって、体調が悪くて臥せっていると聞いていた。だから、彼女が今幸せにしているのか、どこにいるのか、私には何も分からないと言う事だ。」
なるほど…。
何となく私がソフィアさんだとは気づいていたけど、何も知らないフリをして見守っていてくれたってことか。強引だけど、優しくて面倒見のいい人なんだろうね。だから、ソフィアさんも慕っていたのだろう。
元クソ旦那とか、ムカつくメイド長とか、不幸な結婚をさせた父親とか、ソフィアさんの周りにはそんな人しかいないのかと思っていたけど、私が知らないだけで、親しくしていた人もいたんだね。
そんな話をしていると、日替わりランチが運ばれて来る。綺麗な色合いのサラダに、体が温まりそうなスープパスタ。とっても美味しい。
「オリバーさん、とっても美味しいです。こうやって自由に美味しい物を食べれる生活が楽しいし、幸せだと思っています。」
「ダイアナが喜んでくれて良かった。…今が幸せなら、それでいいんじゃないか。また、美味しい物を食べに行こう。」
「…はい。」
このままの生活を続けていきたいって、私の気持ちは伝わったようだ。
週末。
アマリアさん達と少しだけ飲みに行った後、趣味のナイトマーケットに1人で来ている私。オリバーさんは、私がナイトマーケットに1人で行くのが趣味だと知ってからは、無理に送ろうとかは言わなくなった。まだそこまで遅い時間じゃないし、女性の一人歩きも沢山いることを話したら、理解してくれたようだった。
いつものように、色々な店を見て歩いている時だった。
「ダイアナ!……やっと見つけた。」
私を呼ぶ声がする。この声は……
振り向くと、そこには公爵様がいたのであった。
えー、何でアーサーさんがいるのよ!さっき飲み屋にいたよね。顔が引き攣ってしまう私。
話し掛ける仲ではないから、さっさと立ち去る方がいいよね?スッとその場を離れる私。
明日はお休みだから、のんびり料理でもしよう。食材を見て帰ろうかなぁ。煮込み料理に入れる野菜を選んでいると、また視線を感じるような。……バチっ!
何なの、あの男!私を監視でもしている?急いで野菜を買って、早歩きで寮に戻る私であった。
飲み会や食事会の後にナイトマーケットに行くのが私の趣味になっていたが、気付くと近くにアーサーさんがいる事が多い。
もしかして…、異世界版のストーカー?いやいや、まさかね。それを他の人に話したりしたら、自惚れてんなよって言われちゃうよね。
恐らく、あの男は私を監視している。あんな風に謝罪しておきながら、やっぱり私のことを、公爵様を誑かした悪女だって憎んでるのねー!怖っ!
アーサーさんの姿が見えると、恐怖を感じて、素早く逃げるようになった私。だって怖いんだもん。
ある日。
「ダイアナ、今日は2人でランチに行こう。美味しい店を見つけた。」
今日もオリバーさんは強引だわ。断る隙を与えず、気がつくと手を引かれて歩いている。せっかくだから、前から気になっていたことを聞いてみようかなぁ。
可愛らしいカフェのような店に入り、日替わりランチをオーダーして待っている私達。よし!
「あの、オリバーさんに聞きたいことがあるのですが?」
「何だ?」
「オリバーさんって、私の事を前から知っていたのですが?信じてもらえないと思いますが、……私は少し前に記憶を失っていまして。」
「記憶を失った?…だからか。実は……、私には、ダイアナによく似た幼馴染がいた。」
よく似た幼馴染?やっぱり…。
「名前はソフィアですか?」
「……そうだ。実家の伯爵家の隣の領地の令嬢だ。私より5つ年下だったから、妹みたいに可愛がっていた。騎士学校に入ってからは、あまり会えなくなったが、時々会うといつも嬉しそうにしてくれた。体が弱いからか少し気が弱くて、貴族社会の中でやっていけるのかと、とても心配だった。騎士団に入ってからは、実家に帰ることが少なくなって、ソフィアに更に会えなくなった。しばらくして、政略結婚で侯爵家に嫁いだと聞いた。可愛がっていたから、幸せになって欲しいと思っていたのだが…。結婚してから彼女は社交の場に全く姿を見せなくなって、体調が悪くて臥せっていると聞いていた。だから、彼女が今幸せにしているのか、どこにいるのか、私には何も分からないと言う事だ。」
なるほど…。
何となく私がソフィアさんだとは気づいていたけど、何も知らないフリをして見守っていてくれたってことか。強引だけど、優しくて面倒見のいい人なんだろうね。だから、ソフィアさんも慕っていたのだろう。
元クソ旦那とか、ムカつくメイド長とか、不幸な結婚をさせた父親とか、ソフィアさんの周りにはそんな人しかいないのかと思っていたけど、私が知らないだけで、親しくしていた人もいたんだね。
そんな話をしていると、日替わりランチが運ばれて来る。綺麗な色合いのサラダに、体が温まりそうなスープパスタ。とっても美味しい。
「オリバーさん、とっても美味しいです。こうやって自由に美味しい物を食べれる生活が楽しいし、幸せだと思っています。」
「ダイアナが喜んでくれて良かった。…今が幸せなら、それでいいんじゃないか。また、美味しい物を食べに行こう。」
「…はい。」
このままの生活を続けていきたいって、私の気持ちは伝わったようだ。
週末。
アマリアさん達と少しだけ飲みに行った後、趣味のナイトマーケットに1人で来ている私。オリバーさんは、私がナイトマーケットに1人で行くのが趣味だと知ってからは、無理に送ろうとかは言わなくなった。まだそこまで遅い時間じゃないし、女性の一人歩きも沢山いることを話したら、理解してくれたようだった。
いつものように、色々な店を見て歩いている時だった。
「ダイアナ!……やっと見つけた。」
私を呼ぶ声がする。この声は……
振り向くと、そこには公爵様がいたのであった。
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