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閑話 エドワーズ公爵 6
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公爵邸に帰ると、ダイアナことソフィア嬢が出て行ってしまったと報告を受ける。
一体何があったのだ……?愕然とする私。
その時に邸の中から、騎士団から帰って来たらしい弟が出て来る。
「兄上、お帰りなさい。あの愛人は出て行きましたよ!…いい加減に目を覚ましてください。兄上は公爵なのです。きちんとした家柄の御令嬢と婚姻をしなければならないのに、愛人が邸で囲われているなど、あってはならないのです。」
弟の言葉で、全てを理解した。
「…誰が愛人だ?」
「……兄上がベッタリだったという、あの女ですよ!」
「お前が追い出したのだな?」
「追い出したのではありませんよ。私はただ、兄上は、きちんとした家柄の令嬢と結婚することになるからと、お前は邪魔になるから、早いうちに出て行くようにと言っただけです。そしたら、兄上に挨拶もしないで、すぐに出て行ってしまったのです。兄上に良くしてもらっていたくせに、別れの挨拶もしないで出て行くなんて、非常識な女ですね。出て行ってもらって良かったと思いますよ。」
「…………。」
怒りを通り越して、言葉が出て来なかった。
「…兄上?今はお辛いかもしれませんが、兄上の一時の気の迷いだったのです。兄上にはもっとふさわしいお方がいるはずです。」
まさか今までかわいがっていた弟に、彼女との関係を壊されるとは……。
気づくと私は弟に剣先を向けていた。
「何をするのです?私は兄上を心配し……」
「黙れ!何が心配だ?彼女は私の命の恩人であり、私が愛する大切な人だ。両親からも婚約の許可を得ている。身分だって名門侯爵家の令嬢だ!訳あって一時的にうちで保護していたのに、愛人呼ばわりして追い出すとはな!」
「……それは本当ですか?」
弟の顔色が悪くなる。
「私がお前に嘘をつく必要はないだろう。…いいか?明日、彼女の家族が彼女に会いにくる予定だった。記憶を失くして、行方不明になっていた彼女に会えることを、彼女の家族はそれは楽しみにしていた。なのに、お前はそれをぶち壊したのだ。明日、彼女の家族が来たら、お前は彼女に何をしたのかの説明をしろ!お前に、有る事無い事を吹き込んだ奴と一緒にな!分かったら、さっさと自分の部屋に戻れ!お前の顔など見たくない!」
弟は死んだような表情で部屋に戻って行った。
絶対に許すものか!私の大切なソフィア嬢を愛人呼ばわりして追い出すなんて…。弟じゃなかったら、本当に斬りつけていただろう。
弟に事実無根を吹き込んだ者は、家令とメイド長が知っていそうだ。さっさと処分したいが、今はソフィア嬢を捜索するのが先だ。
騎士団を使って、彼女が向かった駅周辺を捜索するが、彼女は見つからなかった。駅員にも訪ねるが、駅の利用客が多くて分からないと言われてしまう。街中で聞き込みもした方が良さそうだが、余りにも時間が遅いので、今日はもう無理そうだ。明日また捜索するしかない。
どうか無事でいてくれ……。
その日は彼女が心配で一睡も出来なかった。
そして、次の日。
ソフィア嬢が公爵邸から出て行ってしまったことを、クラーク侯爵家とマーティン将軍に知らせる。何があったのかの説明をしたいと伝え、公爵邸に来てもらうことにした。
その場にはもちろん、当事者の弟も同席させた。弟は、名門クラーク侯爵家の跡継ぎのクラーク卿と、国王陛下の最側近のマーティン将軍を見て、更に顔色を悪くしていた。
自分が愛人呼ばわりして、邸を追い出した令嬢が余りにも身分が高い家門の令嬢だったと知り、事の重大さに気付いたのだろう。しかもクラーク侯爵家は、私達王族ですら無視できないくらいの力を持つ家門だ。
何も知らない相手だからこそ、もっと慎重に対応すべきであったのだ。それを大して調べもせず、ごく一部のバカな使用人の言葉だけを信用して、勝手に愛人呼ばわりして追い出した。
今までかわいがってきた弟が、ここまで浅はかな行動をするとは。
弟には本当に失望した…。
一体何があったのだ……?愕然とする私。
その時に邸の中から、騎士団から帰って来たらしい弟が出て来る。
「兄上、お帰りなさい。あの愛人は出て行きましたよ!…いい加減に目を覚ましてください。兄上は公爵なのです。きちんとした家柄の御令嬢と婚姻をしなければならないのに、愛人が邸で囲われているなど、あってはならないのです。」
弟の言葉で、全てを理解した。
「…誰が愛人だ?」
「……兄上がベッタリだったという、あの女ですよ!」
「お前が追い出したのだな?」
「追い出したのではありませんよ。私はただ、兄上は、きちんとした家柄の令嬢と結婚することになるからと、お前は邪魔になるから、早いうちに出て行くようにと言っただけです。そしたら、兄上に挨拶もしないで、すぐに出て行ってしまったのです。兄上に良くしてもらっていたくせに、別れの挨拶もしないで出て行くなんて、非常識な女ですね。出て行ってもらって良かったと思いますよ。」
「…………。」
怒りを通り越して、言葉が出て来なかった。
「…兄上?今はお辛いかもしれませんが、兄上の一時の気の迷いだったのです。兄上にはもっとふさわしいお方がいるはずです。」
まさか今までかわいがっていた弟に、彼女との関係を壊されるとは……。
気づくと私は弟に剣先を向けていた。
「何をするのです?私は兄上を心配し……」
「黙れ!何が心配だ?彼女は私の命の恩人であり、私が愛する大切な人だ。両親からも婚約の許可を得ている。身分だって名門侯爵家の令嬢だ!訳あって一時的にうちで保護していたのに、愛人呼ばわりして追い出すとはな!」
「……それは本当ですか?」
弟の顔色が悪くなる。
「私がお前に嘘をつく必要はないだろう。…いいか?明日、彼女の家族が彼女に会いにくる予定だった。記憶を失くして、行方不明になっていた彼女に会えることを、彼女の家族はそれは楽しみにしていた。なのに、お前はそれをぶち壊したのだ。明日、彼女の家族が来たら、お前は彼女に何をしたのかの説明をしろ!お前に、有る事無い事を吹き込んだ奴と一緒にな!分かったら、さっさと自分の部屋に戻れ!お前の顔など見たくない!」
弟は死んだような表情で部屋に戻って行った。
絶対に許すものか!私の大切なソフィア嬢を愛人呼ばわりして追い出すなんて…。弟じゃなかったら、本当に斬りつけていただろう。
弟に事実無根を吹き込んだ者は、家令とメイド長が知っていそうだ。さっさと処分したいが、今はソフィア嬢を捜索するのが先だ。
騎士団を使って、彼女が向かった駅周辺を捜索するが、彼女は見つからなかった。駅員にも訪ねるが、駅の利用客が多くて分からないと言われてしまう。街中で聞き込みもした方が良さそうだが、余りにも時間が遅いので、今日はもう無理そうだ。明日また捜索するしかない。
どうか無事でいてくれ……。
その日は彼女が心配で一睡も出来なかった。
そして、次の日。
ソフィア嬢が公爵邸から出て行ってしまったことを、クラーク侯爵家とマーティン将軍に知らせる。何があったのかの説明をしたいと伝え、公爵邸に来てもらうことにした。
その場にはもちろん、当事者の弟も同席させた。弟は、名門クラーク侯爵家の跡継ぎのクラーク卿と、国王陛下の最側近のマーティン将軍を見て、更に顔色を悪くしていた。
自分が愛人呼ばわりして、邸を追い出した令嬢が余りにも身分が高い家門の令嬢だったと知り、事の重大さに気付いたのだろう。しかもクラーク侯爵家は、私達王族ですら無視できないくらいの力を持つ家門だ。
何も知らない相手だからこそ、もっと慎重に対応すべきであったのだ。それを大して調べもせず、ごく一部のバカな使用人の言葉だけを信用して、勝手に愛人呼ばわりして追い出した。
今までかわいがってきた弟が、ここまで浅はかな行動をするとは。
弟には本当に失望した…。
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