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閑話 マーティン侯爵 5
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パラパラとページをめくって行くと、始めは結婚生活を何とかやろうとするソフィア嬢の心情が伝わる内容であった。結婚式が出来なかったことを怒っていたのでは無く、我慢しようとしていたんだな。やはり彼女は心優しい人だったようだ。
……?メイド長がさっき言ってたことや、メイド長がくれた手紙の内容の彼女と違う?
ソフィア嬢の専属メイドを勝手に追い出した?
体調が悪くて帰還パーティーに出られなかった?
…メイド長の手紙だと、パーティーには行きたくないと言っていたと書いてあったが。
私が邸に来てくれなかった?離縁の話し合いがしたかった?
…彼女は私が邸に来るのを待っていたってことか?しかし、離縁の話し合いって。
邸に閉じ込められている?メイド長が会いに来た彼女の両親を帰してしまった?彼女は手紙を出してくれていたのに、返事が来ない?
…彼女からの手紙は私には届いてないが。
『こんなに寂しい結婚生活になるなんて。』
………私は何てことを。
美味しい食事が食べたい?母親である侯爵夫人に、会いたいのに会えなかった?宝石が無くなった?メイドより下だった?
『死にたい。』
………………。
私は取り返しのつかない事をしてしまった…。
「メイド長を拘束して、部屋の中を全部調べろ!部屋の隅々までだ!」
この邸の使用人は信用出来ないから、自分の部下の騎士や従者に動いてもらうしかない!
「おい!執事のリチャードだったよな?セバスチャンの後任の!お前は何をしてた?ソフィア嬢のことで知っている事を全部話してもらおうか?」
「……はい。」
「将軍閣下、何ですの?この日記を読む限り、ソフィーは貴方とこの邸の使用人から、随分と酷い扱いを受けていたようね…。ソフィーを返して!今すぐ、ここに連れて来て!ソフィーは何処に行ってしまったの?…もしかして、閣下が殺した?それともメイド長、貴女がソフィーを殺したの?どうして、ソフィーは居なくなったの!教えなさい!私は貴方達を絶対に許さない!」
返す言葉が見つからなかった…。
「…何も言えないのね。本当に信用出来ない人…。」
「ロン!メイド長は私達が連れて行きましょう。この女は、クラーク侯爵家の令嬢に危害を加えたようなものです。手紙や宝石もこの女が盗んだのかも知れないわ。うちを怒らせるとどういうことになるのか、分かってもらう必要があるわね。日記にはベイカー子爵がバックに付いていると書いてあったけど、ベイカー子爵ごとき、簡単に潰せるわ。あんな狸でも、一応は将軍閣下の叔父にあたる人だからと、大目に見てきたけど、今後は遠慮なく潰させて頂きましょう。ベイカー夫人も令嬢もセットでね。さて、メイド長!覚悟はできて?うちで、拷問をたくさん受けてもらいますからね。さあ、行きましょう!」
メイド長は、真っ青になって震えているところを、クラーク侯爵家の騎士に連行されて行った。
「将軍閣下。義母は言い出したら聞かないので、お許しください。うちの護衛騎士を2人置いて行きますから、メイド長の部屋の調査や、執事の取調べに立ち合わせて下さいね。貴方達は信用出来ないので、頼みましたよ。」
刺すような視線で私を見て、クラーク卿は去って行った。
そしてメイド長の部屋からは、盗んだ宝石を売って得たと思われる大金と、得体の知れない液体の入った小瓶が出てきた。恐らく毒だろう。中身が少量なのが気になる。…もしかして、これをソフィア嬢に使った?
それを見たクラーク家の騎士が、恐ろしい笑顔で、「メイド長の拷問に使いたい。」と言い出した。私は止められなかった…。
他には、私がソフィア嬢に送ったはずの、恥ずかしい手紙が一通だけ出て来た。他の手紙は証拠を隠す為に処分して、たまたま一通だけ、処分し忘れたのかも知れない。
ソフィア嬢はこの邸で、届かない手紙をずっと待っていたのだろう。独りぼっちで、孤独に耐えながら。
私が直接会いに来ていれば…、邸に帰って来てれば、こんなことはなかった。
今更だが、私が全て悪いのだ。
ソフィア嬢は何処に行ったのだろう。居なくなったのではなく、ベイカー子爵の手の者に誘拐されたとか?
あの欲深い、ベイカー子爵なら自分の手先を邸に忍び込ませることくらいはやるだろう。そんなこと、少し考えれば気付くのに。あの時の私は、戦争のことしか考えてなかった。そして結果的に、か弱いソフィア嬢が狙われた。
体が弱い彼女が心配でならない。無事でいて欲しい。
彼女に会いたい。償いをしたい。私はどうすれば……
……?メイド長がさっき言ってたことや、メイド長がくれた手紙の内容の彼女と違う?
ソフィア嬢の専属メイドを勝手に追い出した?
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…彼女は私が邸に来るのを待っていたってことか?しかし、離縁の話し合いって。
邸に閉じ込められている?メイド長が会いに来た彼女の両親を帰してしまった?彼女は手紙を出してくれていたのに、返事が来ない?
…彼女からの手紙は私には届いてないが。
『こんなに寂しい結婚生活になるなんて。』
………私は何てことを。
美味しい食事が食べたい?母親である侯爵夫人に、会いたいのに会えなかった?宝石が無くなった?メイドより下だった?
『死にたい。』
………………。
私は取り返しのつかない事をしてしまった…。
「メイド長を拘束して、部屋の中を全部調べろ!部屋の隅々までだ!」
この邸の使用人は信用出来ないから、自分の部下の騎士や従者に動いてもらうしかない!
「おい!執事のリチャードだったよな?セバスチャンの後任の!お前は何をしてた?ソフィア嬢のことで知っている事を全部話してもらおうか?」
「……はい。」
「将軍閣下、何ですの?この日記を読む限り、ソフィーは貴方とこの邸の使用人から、随分と酷い扱いを受けていたようね…。ソフィーを返して!今すぐ、ここに連れて来て!ソフィーは何処に行ってしまったの?…もしかして、閣下が殺した?それともメイド長、貴女がソフィーを殺したの?どうして、ソフィーは居なくなったの!教えなさい!私は貴方達を絶対に許さない!」
返す言葉が見つからなかった…。
「…何も言えないのね。本当に信用出来ない人…。」
「ロン!メイド長は私達が連れて行きましょう。この女は、クラーク侯爵家の令嬢に危害を加えたようなものです。手紙や宝石もこの女が盗んだのかも知れないわ。うちを怒らせるとどういうことになるのか、分かってもらう必要があるわね。日記にはベイカー子爵がバックに付いていると書いてあったけど、ベイカー子爵ごとき、簡単に潰せるわ。あんな狸でも、一応は将軍閣下の叔父にあたる人だからと、大目に見てきたけど、今後は遠慮なく潰させて頂きましょう。ベイカー夫人も令嬢もセットでね。さて、メイド長!覚悟はできて?うちで、拷問をたくさん受けてもらいますからね。さあ、行きましょう!」
メイド長は、真っ青になって震えているところを、クラーク侯爵家の騎士に連行されて行った。
「将軍閣下。義母は言い出したら聞かないので、お許しください。うちの護衛騎士を2人置いて行きますから、メイド長の部屋の調査や、執事の取調べに立ち合わせて下さいね。貴方達は信用出来ないので、頼みましたよ。」
刺すような視線で私を見て、クラーク卿は去って行った。
そしてメイド長の部屋からは、盗んだ宝石を売って得たと思われる大金と、得体の知れない液体の入った小瓶が出てきた。恐らく毒だろう。中身が少量なのが気になる。…もしかして、これをソフィア嬢に使った?
それを見たクラーク家の騎士が、恐ろしい笑顔で、「メイド長の拷問に使いたい。」と言い出した。私は止められなかった…。
他には、私がソフィア嬢に送ったはずの、恥ずかしい手紙が一通だけ出て来た。他の手紙は証拠を隠す為に処分して、たまたま一通だけ、処分し忘れたのかも知れない。
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私が直接会いに来ていれば…、邸に帰って来てれば、こんなことはなかった。
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体が弱い彼女が心配でならない。無事でいて欲しい。
彼女に会いたい。償いをしたい。私はどうすれば……
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