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ただの噂話
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ロジャース伯爵から、ナイトレイ公爵様と婚約するのかと聞かれるとはね。
「すまない…。こんなことを私が聞いていいことではなかったな。」
この伯爵様も、何か大きな勘違いをしているようだ。
「伯爵様。誰に何を聞いたのか分かりませんが、婚約の話も予定もありませんわ。
前にもお話したと思います。ナイトレイ公爵様がまだ王子殿下と呼ばれていた時に、殿下と私は学生時代からの友人だったと。
公爵様も私を友人だと言ってくださってますわ。」
…え?何なの、その表情は。
「私にはそうは見えなかったが。
この前のパーティーで、君が着ていたドレスやネックレスはナイトレイ公爵閣下が贈ったものだと聞いたし、公爵閣下が君を見る目はどう見ても……、いや、何でもない。
ただ私は、君には幸せになって欲しいと思っている。」
あのパーティーで伯爵様に会わないなぁとは思っていたけど、伯爵様からは私が見えていたか。
ナイトレイ公爵様は王弟だから目立つからなぁ。
「ありがとうございます。
しかし、今はそんな気にはなれないので、しばらくは仕事を頑張ろうかと思っていますわ。
伯爵様こそ、どうか幸せになってくださいね。」
…んっ?何なのよ?その険しい顔は。
「私は…、エレノア…、失礼。ベネット伯爵令嬢が邸を出て行った後、寂しくて悲しくて…、君を思い出しては後悔ばかりしている。
両親が死んだ時ですら、ここまで悲しく感じなかったのに。
私は、君がいないとダメなようだ…。」
私がいてもダメ亭主だっただろうが!!
「伯爵様、お互い執着はやめましょうね。
私達は事業の良きパートナーになろうという約束をしたのですから。」
「分かっている…。
友人達からも、君との復縁は無理だろうとはっきり言われたし、こんな酷い夫だった私に、事業の提案をしてくれているだけ有難いと思えとまで言われてきたよ。」
伯爵様の友人達、グッジョブよ!
「寂しがりやで不器用な伯爵様を理解してくれるような、素敵な女性との出会いがあればいいですわね。」
「そうだな…。
でも、私もしばらくは結婚とか恋愛とか、そんな気にはなれないな。」
そんな遠い目をしなくても…。
「では、領民のためにも仕事を頑張って下さいね。」
「そのつもりだ。君に返金する持参金も稼がなくてはいけないからな。
実は、苺以外の果物も挑戦しようかとカイルと話をしているんだ。」
「それは楽しみですわ。苺ジャムだけでは飽きられてしまうと思いますので、苺みたいに希少価値があって、美味しいジャムに加工できそうな果物をお願いします。他国に高く売りつけるので。」
「分かった。カイルにも伝えておくよ。
ベネット伯爵令嬢、君に出会えたことに感謝する。
これからもよろしく頼む。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
有能なパーカー様なら大丈夫そうね。
この伯爵様はダメな夫だったけど、友人達や使用人達には恵まれているから、この先も何とかやっていけるだろう。
かなり先の後日談になるが、ロジャース伯爵様はその後、苺以外にも色々なフルーツで成功し、フルーツと言ったらロジャース伯爵領とまで言われるようになり、数年で借金を返し終える。
借金を返し終えたから、そろそろ結婚でもするのだろうと思っていたのだが、本人は結婚するつもりはないらしく、遠縁から養子を迎え、不器用なりに可愛がって育てているようだ。
そんな伯爵様とは、時々顔を合わせる機会があるのだが、養子に迎えた子の話を嬉しそうに報告してくれるようになる。
本当の家族ができて、伯爵様も少し変わってきたかな。あの伯爵様が子供を可愛がる日が来るなんてね。
ふふ…。ダメ夫だったけど、ステキなお義父上になってちょうだい。
「すまない…。こんなことを私が聞いていいことではなかったな。」
この伯爵様も、何か大きな勘違いをしているようだ。
「伯爵様。誰に何を聞いたのか分かりませんが、婚約の話も予定もありませんわ。
前にもお話したと思います。ナイトレイ公爵様がまだ王子殿下と呼ばれていた時に、殿下と私は学生時代からの友人だったと。
公爵様も私を友人だと言ってくださってますわ。」
…え?何なの、その表情は。
「私にはそうは見えなかったが。
この前のパーティーで、君が着ていたドレスやネックレスはナイトレイ公爵閣下が贈ったものだと聞いたし、公爵閣下が君を見る目はどう見ても……、いや、何でもない。
ただ私は、君には幸せになって欲しいと思っている。」
あのパーティーで伯爵様に会わないなぁとは思っていたけど、伯爵様からは私が見えていたか。
ナイトレイ公爵様は王弟だから目立つからなぁ。
「ありがとうございます。
しかし、今はそんな気にはなれないので、しばらくは仕事を頑張ろうかと思っていますわ。
伯爵様こそ、どうか幸せになってくださいね。」
…んっ?何なのよ?その険しい顔は。
「私は…、エレノア…、失礼。ベネット伯爵令嬢が邸を出て行った後、寂しくて悲しくて…、君を思い出しては後悔ばかりしている。
両親が死んだ時ですら、ここまで悲しく感じなかったのに。
私は、君がいないとダメなようだ…。」
私がいてもダメ亭主だっただろうが!!
「伯爵様、お互い執着はやめましょうね。
私達は事業の良きパートナーになろうという約束をしたのですから。」
「分かっている…。
友人達からも、君との復縁は無理だろうとはっきり言われたし、こんな酷い夫だった私に、事業の提案をしてくれているだけ有難いと思えとまで言われてきたよ。」
伯爵様の友人達、グッジョブよ!
「寂しがりやで不器用な伯爵様を理解してくれるような、素敵な女性との出会いがあればいいですわね。」
「そうだな…。
でも、私もしばらくは結婚とか恋愛とか、そんな気にはなれないな。」
そんな遠い目をしなくても…。
「では、領民のためにも仕事を頑張って下さいね。」
「そのつもりだ。君に返金する持参金も稼がなくてはいけないからな。
実は、苺以外の果物も挑戦しようかとカイルと話をしているんだ。」
「それは楽しみですわ。苺ジャムだけでは飽きられてしまうと思いますので、苺みたいに希少価値があって、美味しいジャムに加工できそうな果物をお願いします。他国に高く売りつけるので。」
「分かった。カイルにも伝えておくよ。
ベネット伯爵令嬢、君に出会えたことに感謝する。
これからもよろしく頼む。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
有能なパーカー様なら大丈夫そうね。
この伯爵様はダメな夫だったけど、友人達や使用人達には恵まれているから、この先も何とかやっていけるだろう。
かなり先の後日談になるが、ロジャース伯爵様はその後、苺以外にも色々なフルーツで成功し、フルーツと言ったらロジャース伯爵領とまで言われるようになり、数年で借金を返し終える。
借金を返し終えたから、そろそろ結婚でもするのだろうと思っていたのだが、本人は結婚するつもりはないらしく、遠縁から養子を迎え、不器用なりに可愛がって育てているようだ。
そんな伯爵様とは、時々顔を合わせる機会があるのだが、養子に迎えた子の話を嬉しそうに報告してくれるようになる。
本当の家族ができて、伯爵様も少し変わってきたかな。あの伯爵様が子供を可愛がる日が来るなんてね。
ふふ…。ダメ夫だったけど、ステキなお義父上になってちょうだい。
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