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辛口
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王子殿下からはすぐに返事が届いた。あんな礼状に返事なんて要らないのに。あの王子殿下は割とマメな男のようだ。
どれどれ…
〝先日は突然訪問して悪かった。エレノアが新しく住んでいる邸が素敵だと社交界で噂になっていたから、偶然時間があったので、つい遊びに行ってしまった。本当にすまなかった。
エレノアが焼き立てのアップルパイが好きなら、また届けに行きたいと思うから待っていてくれ。
近いうちに、母上が贔屓にしているデザイナーがドレスの採寸に行くはずだからよろしくな!
パーティーの当日なのだが、パートナーである私がエレノアを迎えに行くことを許して欲しい。エレノアと一緒にパーティーに参加することを、今から楽しみにしているよ。 マテオ〟
わざわざ王妃殿下のデザイナーが来るの?
どんだけ高級なドレスを贈ってくれるのよ?悪かったかな…。
その時、ドアがノックされる。
「どうぞー!」
ガチャっとドアが開いて、入って来たのは義弟のギルだった。
私がここに住み始めると同時に、ギルまでここで生活するようになってしまったのだ。実家よりも便がよくて楽なんだって。
「義姉さん、王子殿下から手紙が届いたって本当?」
「ギル、おかえりなさい。
殿下から手紙は来たけど、特別な手紙ではないわよ。業務連絡の延長みたいな手紙ね。」
どうせ家令にでも聞いたのだろうね。
この前の沢山のプレゼントを見た使用人達は、目をキラキラさせて何かを大きく勘違いしているようだから。
「ふーん…。手紙のやり取りをするくらい仲良くなったんだ。」
「今更、仲良しとか関係ないわよ。学生時代からの付き合いなんだから。」
「…そう思っているのは義姉さんだけだと思うけど。
引っ越し祝いだなんて言って、普通はあんなに沢山プレゼントなんて持ってこないし、わざわざパーティーのパートナーの申し込みに来て、ドレスやアクセサリーまで用意してくれるなんて、友人以上の待遇だと思うよ。
他の貴族達も、義姉さんと王子殿下は特別な関係だって思うだろうね。」
「そうなのかしら?王族は金持ちだから羽振りがいいのかと思っていたわよ。それに友人同士のパートナーだって珍しくはないじゃない。
パーティーのパートナーは、出戻りの私が恥をかかないようにと、友人である王子殿下が気を遣ってくれたみたい。
少し前までは子供っぽくて苦手だったけど、最近は少し心を入れ替えたみたいで、前よりはマシな人になったようだわ。」
ギルはなぜかため息をつく。
「前よりはマシな人になった…?王子殿下にそんなことを言えるのは義姉さんくらいだよ。
白い結婚は、婚姻そのものがなかったことになるから、義姉さんは出戻りとは言えないから大丈夫。
だけど独身の義姉さんを狙って、また色々な男達が群がってくると思う。王子殿下が一緒なら最強のボディーガードにはなると思うけど、なんか面白くない…。」
面白くないって言った?やっぱりギルはシスコン?
義弟が可愛い義姉さんとしては嬉しいけれど、ちょっと複雑だわー。
「最近のパーティーはギルにお世話になってばかりで、ギルのステキな出会いを義姉さんが邪魔してしまっていたでしょ?
だから今度のパーティーは、私の心配はしなくていいから、ギルも誰かご令嬢と楽しんでくれたら嬉しいわ。
ギルにはステキな方と幸せになって欲しいのよ。」
私と両親に害のない令嬢でお願いしたいが、それは口にだすのはやめておこう。
「ステキな出会いだって?義姉さんに言われたくはないんだけど。
それよりも、義姉さんこそ気を付けてよ!義姉さんの男の趣味はあまり良くないんだから。」
アレ…?何だか前の辛口のギルに戻ってない?
でもなぁ、結婚を失敗した私としては、男を見る目がなかったことは否定できないよねぇ。
「それは分かっているわよ。気をつけるようにするわ。」
もう結婚で失敗したくはない中身アラフォー女の私は、義弟の言うことを素直に聞くようにした。
どれどれ…
〝先日は突然訪問して悪かった。エレノアが新しく住んでいる邸が素敵だと社交界で噂になっていたから、偶然時間があったので、つい遊びに行ってしまった。本当にすまなかった。
エレノアが焼き立てのアップルパイが好きなら、また届けに行きたいと思うから待っていてくれ。
近いうちに、母上が贔屓にしているデザイナーがドレスの採寸に行くはずだからよろしくな!
パーティーの当日なのだが、パートナーである私がエレノアを迎えに行くことを許して欲しい。エレノアと一緒にパーティーに参加することを、今から楽しみにしているよ。 マテオ〟
わざわざ王妃殿下のデザイナーが来るの?
どんだけ高級なドレスを贈ってくれるのよ?悪かったかな…。
その時、ドアがノックされる。
「どうぞー!」
ガチャっとドアが開いて、入って来たのは義弟のギルだった。
私がここに住み始めると同時に、ギルまでここで生活するようになってしまったのだ。実家よりも便がよくて楽なんだって。
「義姉さん、王子殿下から手紙が届いたって本当?」
「ギル、おかえりなさい。
殿下から手紙は来たけど、特別な手紙ではないわよ。業務連絡の延長みたいな手紙ね。」
どうせ家令にでも聞いたのだろうね。
この前の沢山のプレゼントを見た使用人達は、目をキラキラさせて何かを大きく勘違いしているようだから。
「ふーん…。手紙のやり取りをするくらい仲良くなったんだ。」
「今更、仲良しとか関係ないわよ。学生時代からの付き合いなんだから。」
「…そう思っているのは義姉さんだけだと思うけど。
引っ越し祝いだなんて言って、普通はあんなに沢山プレゼントなんて持ってこないし、わざわざパーティーのパートナーの申し込みに来て、ドレスやアクセサリーまで用意してくれるなんて、友人以上の待遇だと思うよ。
他の貴族達も、義姉さんと王子殿下は特別な関係だって思うだろうね。」
「そうなのかしら?王族は金持ちだから羽振りがいいのかと思っていたわよ。それに友人同士のパートナーだって珍しくはないじゃない。
パーティーのパートナーは、出戻りの私が恥をかかないようにと、友人である王子殿下が気を遣ってくれたみたい。
少し前までは子供っぽくて苦手だったけど、最近は少し心を入れ替えたみたいで、前よりはマシな人になったようだわ。」
ギルはなぜかため息をつく。
「前よりはマシな人になった…?王子殿下にそんなことを言えるのは義姉さんくらいだよ。
白い結婚は、婚姻そのものがなかったことになるから、義姉さんは出戻りとは言えないから大丈夫。
だけど独身の義姉さんを狙って、また色々な男達が群がってくると思う。王子殿下が一緒なら最強のボディーガードにはなると思うけど、なんか面白くない…。」
面白くないって言った?やっぱりギルはシスコン?
義弟が可愛い義姉さんとしては嬉しいけれど、ちょっと複雑だわー。
「最近のパーティーはギルにお世話になってばかりで、ギルのステキな出会いを義姉さんが邪魔してしまっていたでしょ?
だから今度のパーティーは、私の心配はしなくていいから、ギルも誰かご令嬢と楽しんでくれたら嬉しいわ。
ギルにはステキな方と幸せになって欲しいのよ。」
私と両親に害のない令嬢でお願いしたいが、それは口にだすのはやめておこう。
「ステキな出会いだって?義姉さんに言われたくはないんだけど。
それよりも、義姉さんこそ気を付けてよ!義姉さんの男の趣味はあまり良くないんだから。」
アレ…?何だか前の辛口のギルに戻ってない?
でもなぁ、結婚を失敗した私としては、男を見る目がなかったことは否定できないよねぇ。
「それは分かっているわよ。気をつけるようにするわ。」
もう結婚で失敗したくはない中身アラフォー女の私は、義弟の言うことを素直に聞くようにした。
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