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閑話 アブス子爵令嬢
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ロジャース伯爵様を奪ってやりたいと思っても、自分が魅力的でないことはよく知っているから、難しいことは分かっていた。
だから夜会などの噂話で聞いていた、あの薬に頼ろうかと考えた。
下品なマダム達が女性同士で閨の話をしているのをよく耳にしていたのだが、その会話によく出ていたあの媚薬……
『ベネット家の店で売っている媚薬はよく効くわね。凄かったもの…。』
『ベネット家の媚薬は高いけど安心だし、依存性もないみたいだからいいわよ。』
『うちの旦那様ったら燃えちゃって…、もう大変だったわ。でも、オススメね!』
『他の店のものは、粗悪品だから恐くて使用出来ないわ。』
ちょうどいいわね。あの女の実家の店の薬を使ってやるわ!
自分のメイドに頼んで媚薬を買って来てもらおうとしたが、
「お嬢様。店に行ったのですが、身分のしっかりした人でないとお売り出来ないと断られてしまいました。購入するのに身分証明書が必要みたいです。」
うちの使用人達は平民だから買えないってこと?
仕方がないわ。私が直接買いに行くしかないのね。
客を選ぶ店なんて、潰れてしまえばいいのに…。
店に行き、身分証明書を見せた後に男性用の強い媚薬が欲しいと言うと、すぐに媚薬を出してくれた。
「お客様、こちらの商品の説明をさせて頂いた後に、こちらにサインをお願いしております。
こちらの薬は………」
「時間がないの!!サインなら今すぐするわ!
……これでいいわよね。お釣りは要らないわ。失礼します!」
他にも客が沢山いたこともあり、媚薬を買っている姿を誰にも見られたくない私は、説明も聞かずに急いで店を離れた。
後でそのことを悔やむとも知らずに…。
ロジャース伯爵様が1人で参加している夜会でこれを使ってやる!
ワインを沢山飲む方だから、こっそりワインに入れてロジャース伯爵様に運んでもらえばいいわ。
媚薬が効いてきたように見えたら、酔いを覚ますのに座れる場所に行きましょうとか言って誘い出せばいいし、伯爵様が1人でどこかに行くようなら、後をつければいい。
まぐわってしまえば、ロジャース伯爵様は酒に酔ってやってしまったと考えるだろう。
優しい人だから責任は取ってくれると思うし、あの方は罪悪感から私を蔑ろには出来ないわ。
夜会での出来事は誰かに見られているだろうから、ロジャース伯爵様も隠すことは出来ないだろうし、伯爵夫人は面白くないだろうが、夫の為に我慢して私を第二夫人として受け入れるはずよ。
結婚した後、私はいつも彼の側にいて彼を癒やしてあげるの。
始めは正妻に気を遣ってしまい、愛を育むことは難しいかもしれないけれど、仕事で一緒に過ごせない正妻よりも、いつも近くにいる私が彼の愛を奪ってやるわ。
子供ができたら大成功ね!
しかし、予定は全て狂ってしまうのである。
媚薬入りのワインを飲んでくれたのは良かったが、明らかに具合が悪くなってしまったロジャース伯爵様は、友人達に支えられて客室に運ばれて行ってしまった。
強い媚薬と聞いて買ってきたけど、どうして?
私はこの時にやめておけば良かったのだ。
でもここまできて、計画を中止にするという考えにはならなかった。
バレないように客室を突き止めた後、伯爵様の寝ているベッドに入るが、なかなか目覚めてくれず、目覚めても目が虚で反応が鈍い。伯爵様の体は反応してくれていたから、抱きついたりして刺激を与えていたら、やっとしてくれた。
分かってはいたことだが、私は初めてだったのに、全然ロマンチックではなかった。
とにかく痛いし、伯爵様は意識がはっきりしてないからか、動物のような行為だった。
1番辛かったのは、『エレノア』と何度も夫人の名前を呼んでいたこと…。
媚薬を使ったとはいえ、私と愛し合っているのに、他の女の名前を呼ばれるのは惨めな気分だった。
目覚めた伯爵様は、絶望するような表情をして、避妊薬を飲むように言ってきた。
私をそこまで拒否するの…?
正直、面白くなかった。
だから夜会などの噂話で聞いていた、あの薬に頼ろうかと考えた。
下品なマダム達が女性同士で閨の話をしているのをよく耳にしていたのだが、その会話によく出ていたあの媚薬……
『ベネット家の店で売っている媚薬はよく効くわね。凄かったもの…。』
『ベネット家の媚薬は高いけど安心だし、依存性もないみたいだからいいわよ。』
『うちの旦那様ったら燃えちゃって…、もう大変だったわ。でも、オススメね!』
『他の店のものは、粗悪品だから恐くて使用出来ないわ。』
ちょうどいいわね。あの女の実家の店の薬を使ってやるわ!
自分のメイドに頼んで媚薬を買って来てもらおうとしたが、
「お嬢様。店に行ったのですが、身分のしっかりした人でないとお売り出来ないと断られてしまいました。購入するのに身分証明書が必要みたいです。」
うちの使用人達は平民だから買えないってこと?
仕方がないわ。私が直接買いに行くしかないのね。
客を選ぶ店なんて、潰れてしまえばいいのに…。
店に行き、身分証明書を見せた後に男性用の強い媚薬が欲しいと言うと、すぐに媚薬を出してくれた。
「お客様、こちらの商品の説明をさせて頂いた後に、こちらにサインをお願いしております。
こちらの薬は………」
「時間がないの!!サインなら今すぐするわ!
……これでいいわよね。お釣りは要らないわ。失礼します!」
他にも客が沢山いたこともあり、媚薬を買っている姿を誰にも見られたくない私は、説明も聞かずに急いで店を離れた。
後でそのことを悔やむとも知らずに…。
ロジャース伯爵様が1人で参加している夜会でこれを使ってやる!
ワインを沢山飲む方だから、こっそりワインに入れてロジャース伯爵様に運んでもらえばいいわ。
媚薬が効いてきたように見えたら、酔いを覚ますのに座れる場所に行きましょうとか言って誘い出せばいいし、伯爵様が1人でどこかに行くようなら、後をつければいい。
まぐわってしまえば、ロジャース伯爵様は酒に酔ってやってしまったと考えるだろう。
優しい人だから責任は取ってくれると思うし、あの方は罪悪感から私を蔑ろには出来ないわ。
夜会での出来事は誰かに見られているだろうから、ロジャース伯爵様も隠すことは出来ないだろうし、伯爵夫人は面白くないだろうが、夫の為に我慢して私を第二夫人として受け入れるはずよ。
結婚した後、私はいつも彼の側にいて彼を癒やしてあげるの。
始めは正妻に気を遣ってしまい、愛を育むことは難しいかもしれないけれど、仕事で一緒に過ごせない正妻よりも、いつも近くにいる私が彼の愛を奪ってやるわ。
子供ができたら大成功ね!
しかし、予定は全て狂ってしまうのである。
媚薬入りのワインを飲んでくれたのは良かったが、明らかに具合が悪くなってしまったロジャース伯爵様は、友人達に支えられて客室に運ばれて行ってしまった。
強い媚薬と聞いて買ってきたけど、どうして?
私はこの時にやめておけば良かったのだ。
でもここまできて、計画を中止にするという考えにはならなかった。
バレないように客室を突き止めた後、伯爵様の寝ているベッドに入るが、なかなか目覚めてくれず、目覚めても目が虚で反応が鈍い。伯爵様の体は反応してくれていたから、抱きついたりして刺激を与えていたら、やっとしてくれた。
分かってはいたことだが、私は初めてだったのに、全然ロマンチックではなかった。
とにかく痛いし、伯爵様は意識がはっきりしてないからか、動物のような行為だった。
1番辛かったのは、『エレノア』と何度も夫人の名前を呼んでいたこと…。
媚薬を使ったとはいえ、私と愛し合っているのに、他の女の名前を呼ばれるのは惨めな気分だった。
目覚めた伯爵様は、絶望するような表情をして、避妊薬を飲むように言ってきた。
私をそこまで拒否するの…?
正直、面白くなかった。
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