43 / 125
義弟、断罪する 3
しおりを挟む
泣きそうな顔のアブス子爵令嬢を、ギルは更に問い詰める。
「エイジャー伯爵家の給仕も調べさせてもらいましたが、給仕の中にアブス子爵令嬢から、ワインを頼まれた者がいたと聞きました。アブス子爵令嬢は、普段はワインは口にしないと聞きましたが、そのワインは誰かに飲ませようとしたのですかね?」
「……。」
「アブス子爵令嬢の購入された『野獣の愛』の副作用は、歩行困難や意識障害です。
あの日、伯爵様が気分が悪くなった時の症状と一緒ですね。歩くのも困難な状態で、記憶が曖昧で気づいたら朝になっていたと聞いておりますから。」
「……っ!」
「普通なら、夜会のワインに『野獣の愛』を入れて、伯爵様に飲ませたのだと考えるでしょうね…。
伯爵様の友人方が教えてくださったのですが…、ロジャース伯爵はお酒に強く、元々、女性が得意な方ではないので、酒に酔って不貞行為をするはずはないと話していました。」
「……。」
「そろそろ、アブス子爵令嬢から、本当のことをお話して頂けませんか…?
私達に話してくれないなら、騎士団で話されてもいいのです。夫婦でもない、赤の他人に同意なく媚薬を盛るのは立派な犯罪ですからね。」
「うちの娘が申し訳ありませんでした!!娘は犯罪行為を致しました。すぐに修道院に入れます。
本当に申し訳ありません!どうか、お許しください!」
空気だと思っていた子爵が謝り出した。
「あなた!修道院だなんて、そんな…。
ララのお腹には、伯爵様の子がいるのかもしれないのですわよ。」
やっぱりね…。
「なっ……!どういうことだ?私はあの日、君に避妊薬を飲むように勧めたはずだが?」
「始めから伯爵様との子を身籠るつもりで計画されていたのでしょうかね?
本当に非常識な母と娘ですこと…。」
「アブス子爵令嬢!君がそんな人間だったとは!
私に妻を裏切らせ、第二夫人になって、私の子供を産めば、全て手に入れられると思ったのか?
犯罪者である君の子供なんて認められないし、私の妻はエレノアだけだ!
君も、君が産むかもしれない子も、私は一生愛することはないだろう。
私は君が憎い!!」
言うよねーー。
あらら、アブスが涙を流している…。
「お願いです!娘は伯爵様のお子を身籠もっている可能性があるのです。そんな娘を修道院などあんまりです。
ロジャース伯爵と夫人の2人を支えられるようにさせますし、2人の邪魔は絶対にさせません。
ですから…、どうか娘を第二夫人にして下さいませ!
ほら、ララも泣いてないで頼みなさい!」
アブス子爵夫人が跪き始めた。
このババア、なかなかすごいわ。
「…っく。…うっ。わ、私は、ロジャース伯爵様がずっと好きで。
奥様と…、結婚したと聞いても、伯爵様はあまり奥様を愛してないと…っ、聞きましたので、お慰めしたいと……。ど、どうかお許しください…。」
「何だと?…私はエレノアを愛している!君はなんて醜い女なんだ!私達を引き離すつもりでこんなことをしたのか?
許せるわけがないだろう!」
心にもないことを言っているわ…。私ではなくて、私の金を愛しているんでしょ?
「アブス子爵令嬢。私の大切な義姉を侮辱するのですか?貴女のしたことを、ベネット家は許しませんから。」
ギルも怒っているわ!!
伯爵様はどうだっていいけど、怒ったギルはちょっと可愛いわね。
「ベネット卿、どうかお許しくださいませ!
娘はただ伯爵様をお慕いして、行動が行き過ぎてしまっただけなのです。」
キリが無いな…
「アブス子爵令嬢とうちの伯爵様が一夜を共にしたという噂話が立ってしまった以上、もし令嬢が妊娠してしまったら、令嬢のお腹の子の父は伯爵様だと誰もが思うことでしょう。
令嬢が修道院に入ったとしても、伯爵様が一夜を共にしたのに、責任を取らなかったと思う方が沢山いるでしょうし、伯爵様の評判に関わると思いますわ。
伯爵様、貴方は被害者かもしれませんが、夜会の夜に、みんなにバレるように関係を結ばされてしまった以上は、なかなか逃げるのは難しいですわよ。
この女狐にやられてしまいましたわね。」
「エレノア、私には君だけだ。私の妻はエレノアだけ…。」
「媚薬を盛ったことは犯罪ですから、いくらでも告訴は出来ると思いますし、犯罪者として罰してもらうことは可能だと思います。しかし、もし妊娠していたとしたら、産まれてくるかもしれない伯爵様のお子は、犯罪者との子供だと後ろ指をさす方は沢山いるでしょうね。
伯爵様、この女狐に本当にやられてしまいましたわね…。」
「よくも…、よくもこんな事をしてくれたな!」
伯爵様がアブスを目で殺す勢いだ。
アブスが震えているわ…。ふふっ!
この辺で、この優しい鬼嫁が妥協案を出して、助けてあげようか?
「アブス子爵と夫人。令嬢を告訴されたくないですよね?」
「許して下さるのですか?」
アブス子爵夫人が食いついてきたわ…。ふふっ!
「エイジャー伯爵家の給仕も調べさせてもらいましたが、給仕の中にアブス子爵令嬢から、ワインを頼まれた者がいたと聞きました。アブス子爵令嬢は、普段はワインは口にしないと聞きましたが、そのワインは誰かに飲ませようとしたのですかね?」
「……。」
「アブス子爵令嬢の購入された『野獣の愛』の副作用は、歩行困難や意識障害です。
あの日、伯爵様が気分が悪くなった時の症状と一緒ですね。歩くのも困難な状態で、記憶が曖昧で気づいたら朝になっていたと聞いておりますから。」
「……っ!」
「普通なら、夜会のワインに『野獣の愛』を入れて、伯爵様に飲ませたのだと考えるでしょうね…。
伯爵様の友人方が教えてくださったのですが…、ロジャース伯爵はお酒に強く、元々、女性が得意な方ではないので、酒に酔って不貞行為をするはずはないと話していました。」
「……。」
「そろそろ、アブス子爵令嬢から、本当のことをお話して頂けませんか…?
私達に話してくれないなら、騎士団で話されてもいいのです。夫婦でもない、赤の他人に同意なく媚薬を盛るのは立派な犯罪ですからね。」
「うちの娘が申し訳ありませんでした!!娘は犯罪行為を致しました。すぐに修道院に入れます。
本当に申し訳ありません!どうか、お許しください!」
空気だと思っていた子爵が謝り出した。
「あなた!修道院だなんて、そんな…。
ララのお腹には、伯爵様の子がいるのかもしれないのですわよ。」
やっぱりね…。
「なっ……!どういうことだ?私はあの日、君に避妊薬を飲むように勧めたはずだが?」
「始めから伯爵様との子を身籠るつもりで計画されていたのでしょうかね?
本当に非常識な母と娘ですこと…。」
「アブス子爵令嬢!君がそんな人間だったとは!
私に妻を裏切らせ、第二夫人になって、私の子供を産めば、全て手に入れられると思ったのか?
犯罪者である君の子供なんて認められないし、私の妻はエレノアだけだ!
君も、君が産むかもしれない子も、私は一生愛することはないだろう。
私は君が憎い!!」
言うよねーー。
あらら、アブスが涙を流している…。
「お願いです!娘は伯爵様のお子を身籠もっている可能性があるのです。そんな娘を修道院などあんまりです。
ロジャース伯爵と夫人の2人を支えられるようにさせますし、2人の邪魔は絶対にさせません。
ですから…、どうか娘を第二夫人にして下さいませ!
ほら、ララも泣いてないで頼みなさい!」
アブス子爵夫人が跪き始めた。
このババア、なかなかすごいわ。
「…っく。…うっ。わ、私は、ロジャース伯爵様がずっと好きで。
奥様と…、結婚したと聞いても、伯爵様はあまり奥様を愛してないと…っ、聞きましたので、お慰めしたいと……。ど、どうかお許しください…。」
「何だと?…私はエレノアを愛している!君はなんて醜い女なんだ!私達を引き離すつもりでこんなことをしたのか?
許せるわけがないだろう!」
心にもないことを言っているわ…。私ではなくて、私の金を愛しているんでしょ?
「アブス子爵令嬢。私の大切な義姉を侮辱するのですか?貴女のしたことを、ベネット家は許しませんから。」
ギルも怒っているわ!!
伯爵様はどうだっていいけど、怒ったギルはちょっと可愛いわね。
「ベネット卿、どうかお許しくださいませ!
娘はただ伯爵様をお慕いして、行動が行き過ぎてしまっただけなのです。」
キリが無いな…
「アブス子爵令嬢とうちの伯爵様が一夜を共にしたという噂話が立ってしまった以上、もし令嬢が妊娠してしまったら、令嬢のお腹の子の父は伯爵様だと誰もが思うことでしょう。
令嬢が修道院に入ったとしても、伯爵様が一夜を共にしたのに、責任を取らなかったと思う方が沢山いるでしょうし、伯爵様の評判に関わると思いますわ。
伯爵様、貴方は被害者かもしれませんが、夜会の夜に、みんなにバレるように関係を結ばされてしまった以上は、なかなか逃げるのは難しいですわよ。
この女狐にやられてしまいましたわね。」
「エレノア、私には君だけだ。私の妻はエレノアだけ…。」
「媚薬を盛ったことは犯罪ですから、いくらでも告訴は出来ると思いますし、犯罪者として罰してもらうことは可能だと思います。しかし、もし妊娠していたとしたら、産まれてくるかもしれない伯爵様のお子は、犯罪者との子供だと後ろ指をさす方は沢山いるでしょうね。
伯爵様、この女狐に本当にやられてしまいましたわね…。」
「よくも…、よくもこんな事をしてくれたな!」
伯爵様がアブスを目で殺す勢いだ。
アブスが震えているわ…。ふふっ!
この辺で、この優しい鬼嫁が妥協案を出して、助けてあげようか?
「アブス子爵と夫人。令嬢を告訴されたくないですよね?」
「許して下さるのですか?」
アブス子爵夫人が食いついてきたわ…。ふふっ!
141
お気に入りに追加
6,607
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜
みおな
恋愛
大好きだった人。
一目惚れだった。だから、あの人が婚約者になって、本当に嬉しかった。
なのに、私の友人と愛を交わしていたなんて。
もう誰も信じられない。
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい
高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。
だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。
クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。
ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。
【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる