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南国へ国外逃亡できたよ
新しい友人と婚約パーティー
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名前を呼ばれたので、返事をして顔を上げる私。そこにいたのは、いつも感じの悪い宰相子息だった。
何だ?1人寂しく勉強する私に、嫌味でも言いに来たか?思わず、警戒してしまう私。
「あの?何か御用でしょうか?」
「あ、いや。邪魔をしに来た訳ではないのだが。…いつも、頑張っているみたいだが、あまり無理をし過ぎるのは良くないと思う。何というか、その…。とにかく、君は今のままで十分凄いってことだ。」
「…それはありがとうございます。」
何が言いたいのだろう?まともに話したことがない人に、いきなり話しかけられてもねぇ。
「…ああ。悪いな。邪魔をしたみたいだ。」
「いえ、気になさらず。ただレポートを書いているだけですので。」
「レポート?そんな課題あったか?」
「課題ではないのですが、早く卒業したいので、レポートをまとめているのです。」
「早く卒業したい?どうして?」
「早く自立したいのですわ。1人で生きていけるようになりたいのです。」
「……そこまで?そこまで追い込むなんて。」
「えっ?」
なぜが深刻な表情をする宰相子息。
「…君が結果を出す為に、誰よりも努力しているのは分かっている。でも、体は大事にして欲しい。…失礼する。」
言いたいことだけを言って、去って行ってしまった。意味が分からない。
宰相子息は、その日を境に図書室で勉強していると、ちょくちょく話しかけて来るようになった。気付いたら、ヤツも近くの席で勉強していることが多くなり、図書室友達みたいになっていた。慣れてみて気付くが、話してみたら悪い人ではなかった。
実は彼の名前を知らなかった私。今更名前を聞いてみた。
「カーティス・ベイリーだ。」
恥ずかしそうに教えてくれた。この人、よく見ると綺麗な顔をしている。髪も深緑のサラサラした髪で綺麗だし、もっと感じよくすればいいのにね。本人には言えないけど。まぁ、前みたいに睨まれたりすることもないから、いいか。
そして、かわいい後輩のクラーク様も、そこに来て勉強をする事が多くなった。何とも言えない雰囲気だが、さっさとレポートを仕上げたい私は、気にしないことにした。
それなりに、充実した日を送っていたある日。お母様から、マーフィー侯爵家の婚約パーティーに参加して欲しいと言われる。えー!
お母様の話だと、侯爵家の伯母様の強い希望らしい。参加する事で、婚約した2人を祝福していると好意的に見られるからだと言う。コリンズ伯爵家は、親族になるから家族全員で招待されているらしい。要するに断れないヤツね。しかも、ドレスやアクセサリーなどは伯母様がプレゼントしてくれると言うのだ。今回のお詫びもあるらしいから、お母様は受け取ったわよと言っていた。
そしてパーティー当日。1週間くらい前から、ブライダルエステばりに磨かれた私。伯母様からプレゼントされた、品の良いラベンダー色のドレスは、何と今流行りのデザイナーのドレスで、かなりお高いらしい。確かに宝石や刺繍が細かくて、デザインが凝っている。お母様は、仕上がった私を見てニヤリと笑う。
「ふふっ!今日の主役はマリアね!」
実は、私は今日は家族とは別行動の予定になっている。あの宰相子息のベイリー様が、なぜかエスコートをしてくれると言ってくれたからだ。
パーティーの少し前に、ベイリー様が聞きにくそうに、私はパーティーに参加するのかと聞いて来たので、参加すると答えた私。すると、ベイリー様が友人としてエスコートさせて欲しいと言ってくれたのだ。知らなかったのだが、彼は公爵家の嫡男らしく、悪意を持って近づいてくる者がいたら、追い払うくらいは出来るからと言ってくれた。更に、家族とパーティーに行くよりも、誰か令息と行った方が、可哀想な人に見えないだろう?とまで言ってくれたのだ。えー、この人、実はいい人?と私はビックリしてしまった。
しかも、お父様とお母様に手紙で許可まで取ってくれた。それで今日はベイリー様のエスコートで行くことになったのだ。そして、お母様がなぜか大喜びしていた。お兄様は微妙な反応だった。
時間ピッタリに迎えに来たベイリー様。スラっとした体格に、綺麗な顔なので、フロックコートをカッコよく着こなしている。多分、私が知らなかっただけで、彼のファンも沢山いるのだろうね。公爵子息だし。ベイリー様は、私を見て恥ずかしそうに
「マリア嬢、綺麗だな。…今日は君をエスコート出来ることを嬉しく思う。」
「ベイリー様も、とても素敵ですわ。今日はよろしくお願いします。」
「まあまあ、2人とも、仲が良くて何よりね。私達は先に出発するから、2人はゆっくり来なさいね。」
ニコニコのお母様に、苦笑いのお父様、無表情のお兄様は先に出発して行った。
「マリア嬢、今更なのだが…、私のことはカーティスと呼んで欲しい。」
確かに、夜会にエスコートしてもらうのに、家名で呼ぶのもね…。
「分かりました。カーティス様とお呼び致しますわ。」
「ああ。じゃあ、行こうか!」
公爵家のリッチな馬車に乗せられて、懐かしの?マーフィー侯爵家へ。いつもの玄関ではなく、敷地内のパーティーホールの入口前に馬車が止まる。カーティス様のエスコートで馬車を降りると、入口の所に伯母様やオスカー様、じゃなくてマーフィー卿と婚約者のガザフィー男爵令嬢がいて、招待客を出迎えていた。
「マリア嬢、ここからは私が盾になるから、君は何も心配しなくていい。」
えー!そこまで、いい人だったのー?
「ありがとうございます。頼りにしてますわ。」
思わず、笑顔になる私。カーティス様も、優しく微笑んでいた。なんだ、笑顔も出来るのね。
前にいた招待客の挨拶が終わり、私達が伯母様達の正面に移動する。
「まあ!マリア、よく来てくれたわね。ドレスも素敵だわ。貴女に良く似合っているわね。とっても綺麗よ。」
伯母様は、普通に私に会えた事を喜んでいるようだった。
「伯母様、今日はお招きありがとうございます。そして、素敵なドレスをありがとうございました。嬉しかったですわ。」
「元気そうで良かったわ。マリア、そちらは?」
すると、カーティス様が綺麗な所作で礼をする。流石だわね。
「カーティス・ベイリーと申します。マリア嬢とは、いつも一緒に勉強させて頂いております。本日は招待して頂き、ありがとうございます。」
「まあ、ベイリー公爵家の!宰相様の子息ね!よく来て下さったわ。楽しんでらしてね。」
伯母様に挨拶したので、今日の主役な2人にも挨拶しないとね。気不味いけどさ。
「本日はおめでとうございます。ご招待ありがとうございます。」
最高の笑顔でお祝いを伝える私。そして、
「ベイリー公爵家、長男のカーティスと申します。本日は、おめでとうございます。」
カーティス様も、今まで見たことがないような笑顔で挨拶している。公爵令息はすげーな!
「…ありがとうございます。楽しんで行って下さい。」
「…ありがとうございます。」
「お似合いの素敵なカップルですね。きっとみんなが祝福するでしょう。後ろが来ているから、私達はこれで…。マリア嬢、うちの両親が中にいるはずなんだ。君に会いたがっていたから早く行こうか。」
は?いつもとキャラが違いすぎなんですけど。
でも、私が無理に喋らずに済むように、この人が喋ってくれているのだろう。多分、この人なりの優しさと気遣いね。
しかし、あのマーフィー卿とガザフィー男爵令嬢の2人、予想はしていたけど…、微妙ね。
何だ?1人寂しく勉強する私に、嫌味でも言いに来たか?思わず、警戒してしまう私。
「あの?何か御用でしょうか?」
「あ、いや。邪魔をしに来た訳ではないのだが。…いつも、頑張っているみたいだが、あまり無理をし過ぎるのは良くないと思う。何というか、その…。とにかく、君は今のままで十分凄いってことだ。」
「…それはありがとうございます。」
何が言いたいのだろう?まともに話したことがない人に、いきなり話しかけられてもねぇ。
「…ああ。悪いな。邪魔をしたみたいだ。」
「いえ、気になさらず。ただレポートを書いているだけですので。」
「レポート?そんな課題あったか?」
「課題ではないのですが、早く卒業したいので、レポートをまとめているのです。」
「早く卒業したい?どうして?」
「早く自立したいのですわ。1人で生きていけるようになりたいのです。」
「……そこまで?そこまで追い込むなんて。」
「えっ?」
なぜが深刻な表情をする宰相子息。
「…君が結果を出す為に、誰よりも努力しているのは分かっている。でも、体は大事にして欲しい。…失礼する。」
言いたいことだけを言って、去って行ってしまった。意味が分からない。
宰相子息は、その日を境に図書室で勉強していると、ちょくちょく話しかけて来るようになった。気付いたら、ヤツも近くの席で勉強していることが多くなり、図書室友達みたいになっていた。慣れてみて気付くが、話してみたら悪い人ではなかった。
実は彼の名前を知らなかった私。今更名前を聞いてみた。
「カーティス・ベイリーだ。」
恥ずかしそうに教えてくれた。この人、よく見ると綺麗な顔をしている。髪も深緑のサラサラした髪で綺麗だし、もっと感じよくすればいいのにね。本人には言えないけど。まぁ、前みたいに睨まれたりすることもないから、いいか。
そして、かわいい後輩のクラーク様も、そこに来て勉強をする事が多くなった。何とも言えない雰囲気だが、さっさとレポートを仕上げたい私は、気にしないことにした。
それなりに、充実した日を送っていたある日。お母様から、マーフィー侯爵家の婚約パーティーに参加して欲しいと言われる。えー!
お母様の話だと、侯爵家の伯母様の強い希望らしい。参加する事で、婚約した2人を祝福していると好意的に見られるからだと言う。コリンズ伯爵家は、親族になるから家族全員で招待されているらしい。要するに断れないヤツね。しかも、ドレスやアクセサリーなどは伯母様がプレゼントしてくれると言うのだ。今回のお詫びもあるらしいから、お母様は受け取ったわよと言っていた。
そしてパーティー当日。1週間くらい前から、ブライダルエステばりに磨かれた私。伯母様からプレゼントされた、品の良いラベンダー色のドレスは、何と今流行りのデザイナーのドレスで、かなりお高いらしい。確かに宝石や刺繍が細かくて、デザインが凝っている。お母様は、仕上がった私を見てニヤリと笑う。
「ふふっ!今日の主役はマリアね!」
実は、私は今日は家族とは別行動の予定になっている。あの宰相子息のベイリー様が、なぜかエスコートをしてくれると言ってくれたからだ。
パーティーの少し前に、ベイリー様が聞きにくそうに、私はパーティーに参加するのかと聞いて来たので、参加すると答えた私。すると、ベイリー様が友人としてエスコートさせて欲しいと言ってくれたのだ。知らなかったのだが、彼は公爵家の嫡男らしく、悪意を持って近づいてくる者がいたら、追い払うくらいは出来るからと言ってくれた。更に、家族とパーティーに行くよりも、誰か令息と行った方が、可哀想な人に見えないだろう?とまで言ってくれたのだ。えー、この人、実はいい人?と私はビックリしてしまった。
しかも、お父様とお母様に手紙で許可まで取ってくれた。それで今日はベイリー様のエスコートで行くことになったのだ。そして、お母様がなぜか大喜びしていた。お兄様は微妙な反応だった。
時間ピッタリに迎えに来たベイリー様。スラっとした体格に、綺麗な顔なので、フロックコートをカッコよく着こなしている。多分、私が知らなかっただけで、彼のファンも沢山いるのだろうね。公爵子息だし。ベイリー様は、私を見て恥ずかしそうに
「マリア嬢、綺麗だな。…今日は君をエスコート出来ることを嬉しく思う。」
「ベイリー様も、とても素敵ですわ。今日はよろしくお願いします。」
「まあまあ、2人とも、仲が良くて何よりね。私達は先に出発するから、2人はゆっくり来なさいね。」
ニコニコのお母様に、苦笑いのお父様、無表情のお兄様は先に出発して行った。
「マリア嬢、今更なのだが…、私のことはカーティスと呼んで欲しい。」
確かに、夜会にエスコートしてもらうのに、家名で呼ぶのもね…。
「分かりました。カーティス様とお呼び致しますわ。」
「ああ。じゃあ、行こうか!」
公爵家のリッチな馬車に乗せられて、懐かしの?マーフィー侯爵家へ。いつもの玄関ではなく、敷地内のパーティーホールの入口前に馬車が止まる。カーティス様のエスコートで馬車を降りると、入口の所に伯母様やオスカー様、じゃなくてマーフィー卿と婚約者のガザフィー男爵令嬢がいて、招待客を出迎えていた。
「マリア嬢、ここからは私が盾になるから、君は何も心配しなくていい。」
えー!そこまで、いい人だったのー?
「ありがとうございます。頼りにしてますわ。」
思わず、笑顔になる私。カーティス様も、優しく微笑んでいた。なんだ、笑顔も出来るのね。
前にいた招待客の挨拶が終わり、私達が伯母様達の正面に移動する。
「まあ!マリア、よく来てくれたわね。ドレスも素敵だわ。貴女に良く似合っているわね。とっても綺麗よ。」
伯母様は、普通に私に会えた事を喜んでいるようだった。
「伯母様、今日はお招きありがとうございます。そして、素敵なドレスをありがとうございました。嬉しかったですわ。」
「元気そうで良かったわ。マリア、そちらは?」
すると、カーティス様が綺麗な所作で礼をする。流石だわね。
「カーティス・ベイリーと申します。マリア嬢とは、いつも一緒に勉強させて頂いております。本日は招待して頂き、ありがとうございます。」
「まあ、ベイリー公爵家の!宰相様の子息ね!よく来て下さったわ。楽しんでらしてね。」
伯母様に挨拶したので、今日の主役な2人にも挨拶しないとね。気不味いけどさ。
「本日はおめでとうございます。ご招待ありがとうございます。」
最高の笑顔でお祝いを伝える私。そして、
「ベイリー公爵家、長男のカーティスと申します。本日は、おめでとうございます。」
カーティス様も、今まで見たことがないような笑顔で挨拶している。公爵令息はすげーな!
「…ありがとうございます。楽しんで行って下さい。」
「…ありがとうございます。」
「お似合いの素敵なカップルですね。きっとみんなが祝福するでしょう。後ろが来ているから、私達はこれで…。マリア嬢、うちの両親が中にいるはずなんだ。君に会いたがっていたから早く行こうか。」
は?いつもとキャラが違いすぎなんですけど。
でも、私が無理に喋らずに済むように、この人が喋ってくれているのだろう。多分、この人なりの優しさと気遣いね。
しかし、あのマーフィー卿とガザフィー男爵令嬢の2人、予想はしていたけど…、微妙ね。
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