元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

文字の大きさ
上 下
135 / 161
南国へ国外逃亡できたよ

新学期

しおりを挟む
 今日から新学期。私は今日から2年生に進級する。

 腹黒達も進級したかな?ミッシェルは、飛び級で卒業して隣国に留学したのかな?…ふと、友人達を思いだして、寂しくなる私。いや、彼女達の成功を異国の地で黙って祈ろう。

「…マリア、どうした?悲しそうな顔をして?具合でも悪いか?」

 うっ!馬車で登校中だが、隣からあの人の声がする。

「いえ、大丈夫ですわ、お兄様。」

 今日は仕事が休みらしく、送り迎えをしてくれるらしい。1人で大丈夫だからと断っても、全然聞いてくれない。

「今日から新入生が学園に来ると思うが、年下だからと侮るな。マリアに下心を持って近づく令息には気を付けるように。」

 侮るなって言った?刺客でも紛れているのかと思うわ。

「そんな心配はご無用ですわ。私には誰も近付いて来ませんよ。」

「マリアは何も分かってないから、心配なんだ。」

 あー、面倒くさいわ!テキトーに返事しておこう。

「分かりました。気をつけますわ。」

 朝から口煩いお兄様は、私を正門まで送ると帰って行った。

 今日から授業が始まる。また気合いを入れてやらないとね。休み明けで、友人達とは積もる話もあり、お喋りが止まらない。気付くと、あっという間に放課後になる。本当は、図書館でじっくり勉強したかったが、口煩いお兄様が迎えに来るから、さっさと帰らなくてはならない。ホームルームが終わり、急いで正門まで行く。うっ!口煩いお兄様は正門の所で、すでに待っていた。

「お兄様、お待たせ致しました。」

「いや、今来たところだ。」

 他の生徒たちにチラチラ見られている。そう、口煩いお兄様は、黙っていれば、かなりイケメンだからね。さっさと馬車に乗って帰ろう。このイケメンは目立つから、一緒にいる所を見られたくないのよ。

 馬車が走り出して、少しするといつもと違う道を走っている気がする。

「お兄様、道が違うような気がするのですが?」

「ああ。せっかくだから、マリアが好きなスイーツでも食べに行こうかと思っている。」

 えっ?この人と行くの?

「あの、2人で行くのでしょうか?」

「その予定だが。ダメか?」

「いえ。ただ、もしお兄様に恋人や婚約者の方がいらっしゃるなら、申し訳ないと思いまして。」

 あれ?何か顔が少し怖いような…。

「……そんなのはいない。」

「そうですか。お兄様は令嬢方にとても人気がありそうなので、意外でした。」

 お兄様が連れて行ってくれたカフェは、流行りのお店らしく、混んでいたが予約を入れてくれていたようで、すぐに席に案内してくれた。
 美味しいケーキとミルクティーに満足する私。
 ふと、自国の義兄を思い出してしまった。義兄も学校帰りにこうやって、カフェに連れて来てくれたよね…。

「マリア、口に合わないか?」

「えっ?すごく美味しいですが。連れて来てくれてありがとうございます。」

「…ならいいのだが、何だか悲しそうな顔に見えたから。」

 おっと、よく見てるわね。

「そんな表情をしていましたか?失礼しました。でも、ケーキは美味しいですわ。こんな素敵なお店に来れて嬉しいです。」

 微笑んで誤魔化す私。

「そうか、じゃあまた食べに来ようか。」

 その時、知らない声が掛かる。

「コリンズ卿?まあ!偶然ですわ!」

 どっかの令嬢らしき人が、わざとらしく声を掛けて来た。さすが、イケメンお兄様ね。令嬢を邪魔する気のない私は、空気になりきってケーキを食べている事にした。
 このお兄様も、恋人をつくれば、私に口煩く来なくなるかもしれないから、恋人候補がこうやって来るのは大歓迎よ!話を振られたら、挨拶すればいいよね。

 私は義兄と令嬢のやり取りは全く気にせずに、ケーキとミルクティーを堪能していた。だけど、気付いてしまった。お兄様は、とにかく令嬢に冷たい。もっと愛想良くしろよ!って、私が親なら注意しているかも。令嬢も、一生懸命に話題を振っているが、お兄様は素っ気ないし、令嬢を見てない気がする。
 気まずくなった令嬢は、ついに私に話しかけてくる。

「こちらの学生のご令嬢は、どなたでしょうか?可愛らしい方ね。」

 ああ、この令嬢は私より少し年上なのね。さり気なく、マウント取ってきた?小娘ごときが、コリンズ卿とお茶してるからって調子に乗るなよ!みたいな。
 でも、マウント取られても、全然戦う気になれないの。早く、この煩いお兄様を誰かに引き取って貰いたいからね。よし!可愛らしい妹大作戦よ!
 まずはお兄様の名誉の為に、礼儀正しくね。私は立ち上がって、カーテシーをする。そして、渾身の笑顔で

「マリア・コリンズと申します。義兄がいつもお世話になっております。」

 まさか、そこまで丁寧に挨拶をされるとは思っていなかったらしい。令嬢は驚いていた。

「えっ?妹さん?あっ!失礼しました。リナ・ビーツですわ。」

 令嬢も慌てて、大したことないカーテシーをする。恐らく、子爵か男爵あたりの令嬢だろう。

「マリア、そこまで気を遣わなくていい。そちらは、子爵家の令嬢で、私達はそこまで仲良くないからな。」

 この人、ここまで言うの?

「し、食事中に失礼しましたわ。ご機嫌よう。」

 令嬢は居づらくなったのか、去って行ってしまった。

「マリア、次は個室のある店を探しておく。ゆっくり食べれないからな。」

 はい?何言ってんの、この人?

「お兄様、お心遣いは嬉しいのですが、私はこんなお店も好きですよ。」

「…ならいいんだが、煩い女が来るのが嫌なんだ。」

 ああ、そう。さっきの令嬢みたいに、しつこく話しかけてくる人が苦手なのね。分かりました。

 新学期が始まっても、煩いお兄様に振り回されているような気がするわね。

 邸に帰ると、おば様が出迎えてくれた。

「お帰りなさい。いつもより遅かったわね。どこか行って来たの?」

「お母様、遅くなって申し訳ありませんでした。お兄様がカフェに連れて行ってくれたので、ケーキを頂いて来ましたわ。」

「……ええー!!マリア、それは本当なの?エルが?えー!明日は槍が降るかもしれないわね。」

「母上、私に失礼ですよ。槍なんて降りません。」

 お母様が驚いている。カフェくらい、誰だって行くじゃない?もしかして、お母様も行きたかったかしら?

「お母様も、次回は一緒に行きませんか?」

「マリア、母上は父上と2人じゃないと行かないから、気を遣わなくていいんだ。」

「でも、みんなで行くのも楽しいと思うのですが。」

「ああ、マリアは可愛いわ!マリア、お母様と今度は出掛けましょう。…エルは行かなくていいわ!」

「はいはい。どうぞ!」

 お兄様は部屋に戻って行った。その後、私はお母様に、令嬢がお兄様に話しかけて来たが、冷たく突き放していたことなどを報告しておいた。
 最近のお兄様は、何だか厄介になって来ているから、細かいことまでお母様にチクることに決めた私であった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

廃妃の再婚

束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの 父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。 ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。 それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。 身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。 あの時助けた青年は、国王になっていたのである。 「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは 結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。 帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。 カトルはイルサナを寵愛しはじめる。 王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。 ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。 引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。 ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。 だがユリシアスは何かを隠しているようだ。 それはカトルの抱える、真実だった──。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】 王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。 しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。 「君は俺と結婚したんだ」 「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」 目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。 どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った

冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。 「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。 ※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね

星里有乃
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』 悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。 地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……? * この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。 * 2025年2月1日、本編完結しました。予定より少し文字数多めです。番外編や後日談など、また改めて投稿出来たらと思います。ご覧いただきありがとうございました!

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

処理中です...