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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私

悪役令嬢さん、ごめんよー

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 パーティーの後の話。義兄がパーティー会場に戻って来ない私をかなり心配していたらしい。そして、会場に戻って来たと思ったら、王太子殿下の側近にエスコートされて戻って来たので、驚いたと話していた。なので、通路で転びそうになったところを助けてもらったことにしておいた。余計な事を言うと怒られそうだしね。義兄は他にも何か言いたそうにしていたが、その話の後は煩くは言われなかった。
 悪役令嬢は、やっぱり義兄が好きなのね。パーティーでも、義兄の見えるところや、近くに必ずいるもの。あんなに大嫌いオーラ全開の義兄にめげずに思いを寄せるなんて、好きを通り越して執着なのかもね。

 入学パーティーが終わり、日常が戻る。今日は登校して来たら、ノートが破られていた。
 おっ!久しぶりにきたわね!ニヤけたいのを堪える私。とりあえず、被害者らしくしないと。悲しそうにノートを見つめる私に、大丈夫?酷いわ!私達がついてるわよ!と心にも無いセリフを吐く聖女子メンバーたち。演技も上手になってきたじゃない。後で褒めてあげようかしら。
 その時、気のせいかな?クラスメイトの聖女子メンバー以外の女の子、初等部から貴族学園に在籍している、男爵令嬢と目が合ったような。慌てて目を逸らす彼女。彼女を見た後に、何か言いた気な視線をくれるユーリア。ふーん!何か彼女のことで掴んだのね。楽しくなりそうだわ。で、この破られたノートは大切にカバンにしまって……えっ?

「マリー、それは私が預かるよ。そんな物、君が持っている必要はない。」

 義兄に、さっとノートを取りあげられる!大切な証拠で保管したいのに。やはり、義兄とはこの嫌がらせの対応について、ちゃんと話し合いをしたほうがいいわね。怖いから、私が話し合いを出来るか分からないけど。

「お兄様、私のノートですから。」

 返せ!とは言えないので、私の物アピールをする。

「マリーのノートは、うちの侯爵家の物でもあるんだ。侯爵家の物を壊すなんて、家に対する戦線布告でもあるんだよ。」

 恐ろしい笑顔で話す義兄は、今日も怖すぎる。ビビりな私は強く出れない。悲しそうな表情をするので、精一杯な私。情けないっス。

「マリーは私が守るから大丈夫だ。そんな悲しそうな顔はしないでくれ。」

 そう言って私を抱き寄せる義兄。それを見て、面白がる友人達。おい!笑いのネタにするなよな!シスコン義兄と、死んだ目の義妹の構図がウケるって言ってたの覚えてんだぞ!

 ふっと、さっきの男爵令嬢を見ると、一瞬だがすごい目でこっちを見ていた。もしかして、アナタも義兄のこと……?

 放課後、寮の私の部屋にみんな集合。ユーリアからの報告だと、クラスに影を置いて見張らせたら、その男爵令嬢がノートを破いていたらしい。うん!予想通りね。でも、あの悪役令嬢はその男爵令嬢とは関わりはなさそうだと言うのだ。えっ?悪役令嬢が怪しいかと思って、悪役令嬢も影が見張っていたのに、2人の接点はないらしい。えー?じゃあ、男爵令嬢は誰の指示でやっているの?って言う疑問が浮かんだので、今度はクラスメイトの男爵令嬢を見張らせることになったのだ。

 そして、後日。ユーリアの影の話だと、クラスを見張る影の数が2人増えたらしい。私達以外の誰かも、影に見張らせているようだ。
 更に数日後、私の机にメッセージ(落書き)が!おっ!待っていました。学園辞めろ、死ね、いなくなれって書いてあるわ!目が輝いてしまいそうになったので、下を向いて誤魔化す。するとお約束のあの方が…

「マリー、悲しい思いをさせてすまない。もうすぐ片付くから、あと少し我慢して欲しい。マリーが元気になるように、今日は放課後、カフェに美味しいものでも食べに行こうか。」

 そう言って私を抱き寄せる義兄。すごく優しい人だと思うの。私を元気付けようとしてくれるし、守ろうとしてくれるし。ただね、その恐ろしい殺気を漂わせて、目が笑ってないのが怖すぎなのよね、お兄様は。

 昼休み、私・レジーナ・ユーリアでとりあえず、裏庭の茂みに隠れて話をした。今日の放課後は、義兄と急遽、お出かけになったからね。
 ユーリアの影以外にも見張ってる影がいるけど、もしかしてその影は、義兄の影じゃないかと。もうすぐ片付くって言ってたのが気になるし、あの義兄の感じからすると、犯人を特定してる?でも、影の1人は義兄として、あと1人は誰の影かしらね?
 レジーナとユーリアは、義兄が解決してくれるなら、それはそれで面白いから、解決してもらってもいいよねと言い出した。誰が解決しても、マリーは被害者だから大丈夫だと。とりあえず、今日は義兄とデート楽しんで来てねーと言っていた。他人事だね、アナタ達。

 放課後、義兄はステキなカフェに連れて行ってくれた。かわいいケーキやサンドイッチが沢山のアフタヌーンティーセットは美味しくて、モリモリ食べちゃった。私が食べる様子を、優しく見つめる義兄。過保護でベタベタするシスコン兄だけど、いい人ではあるのよね。怒ると怖いけど。このお店、気に入ったから、みんなと来たいなぁ。

「お兄様、ありがとうございました。こんなステキなお店に連れて来てもらえて、嬉しかったです。」

「マリーが喜んでくれるなら、また来よう。」


 次の日、今度は教科書がボロボロになっていた。これは…相当な怒りが込められているわね。今までで、1番ぐちゃぐちゃになっているもの。昨日、義兄と2人で出かけたから嫉妬かしら。しかし、そろそろ犯人が特定されそうね。ユーリアがまた何か言いたそうだ。よし!今日も集合ね。

 放課後、みんなが集まったところで、ユーリアの影の報告を聞く。今回も、教科書をボロボロにしていたのはあの男爵令嬢らしい。しかも、他の誰とも接触してないし、元々、一匹狼タイプで誰とも関わってきたことがない令嬢だというのだ。
 マジかー!あの悪役令嬢さんは、冤罪をかけられそうになったのか。ごめんよー。
 じゃあ、あの男爵令嬢が犯人で実行犯なの?じゃあ、どうするー?わかった!メッセージを残して反応を見てみようか?

 後日…。
 男爵令嬢が登校して来た。割とのんびり登校して来る子なのよね。机の中に小さなメモを見つける。メモを手で握りしめて潰したわね。何事もなかったかのようにしているけど、周りをチラチラ見ているわ。あれは黒ね。聖女子メンバーも、面白い物を見つけたみたいな顔をやめようね。
 ちなみに、メモには『犯人』とだけ書いてある。もし誰かに見られても、どうにでもなるからね。

 じゃあ、あの男爵令嬢をどうしようか?とみんなでワクワクしている間に、私達の知らない所で、大きく動きがあるのであった。
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