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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私
閑話 断罪 1
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「私をずっと側で守ってくれると、おっしゃっていたではありませんか!どうして…。」
普段人前で全く感情を出さず、完璧な淑女で、人形の様だと言われていた、エベスト公爵令嬢が取り乱している。
なんて醜い女だ!今までこんな女の為に自分を押し殺して、令嬢方が大好きな騎士を演じてきた自分を褒めてやりたい。
あの後、無事に隣国入りし、隣国王太子殿下の護衛騎士の1人として毎日を過ごしていた。アンネマリーの暗殺に関わっていると見られる、エベスト公爵令嬢とは、すぐに顔を合わせる事になる。
彼女は一応、王太子殿下の婚約者候補の一人ではあった。表向きだが。しかし、王家も王太子殿下もバカではない。真っ黒な公爵家の令嬢を婚約者にするつもりはないが、他に婚約者を決めてしまうと、その令嬢が危険なので、まだ誰も指名せずに、エベスト公爵令嬢と他に数人、婚約者候補を置いていたようだ。なかなか、婚約者を決めない事にヤキモキしているのか、婚約者候補のお茶会以外の日にも、公爵家の力を使って、強引に殿下に会いにくるのだ。
王太子殿下もあんな女に付き纏われて大変だ。あんな女と比べたら、アンネマリーは天使だ。もし彼女がこの国に来て、こっちで社交したらと考えると、それはそれで怖かったな。今となっては叶わないが…。
殿下もかなり嫌になっているらしく、かなり冷たい。しかし、さすが自国の王太子殿下の従兄弟とあって、腹黒い計画を立てるのであった。
定期的に開かれる婚約者候補のお茶会にて。
あの女は、公爵令嬢という高い身分を利用して、他の令嬢にお茶会でも、姑息な嫌がらせをする。それはいつもの事なので、今日はどのタイミングで嫌がらせをするか、殿下は密かに目を光らせていた。
そして、早く帰ってほしい他の令嬢のドレスに、意図的に紅茶をかけた瞬間を見逃さなかった。言い逃れ出来ないくらい、しっかりと目撃されていたことを知ったあの女は、流石に何も言えない。そこで、殿下は公爵令嬢のプライドをへし折るように、他の令嬢の前で諭すのであった。
「君は本当にエベスト公爵家の令嬢か?公爵家では、紅茶はドレスに飲ませる物と教えているのか?それで国母になろうとは、恥を知れ!顔も見たくない。今すぐここを去る様に。」
今まで殿下は、人前であからさまな拒絶をしたことが無かったので、ショックを受けたようだ。しかし、さすが表向きは、完璧な淑女と言われる令嬢だ。表情を変えずに、失礼しますと言って退出していく。
そのタイミングで殿下は、護衛騎士の中で一番下っ端の私に、令嬢を馬車まで送る様に、皆の前で指示をだす。そして、始めは顔を覚えてもらう事から始まった。
その様な事が徐々に増え、お茶会では、エベスト公爵令嬢のアラを探し、そこを他の令嬢達の前で攻撃するのが、恒例となっていった。殿下は今までの恨みが溜まっているのか、恐らく楽しんでいる。それとは対象的に、エベスト公爵令嬢は追い詰められているのが、何となく雰囲気でわかる様になってきた。
そして、顔を覚えて貰った私は、落ち込んでいるであろうエベスト公爵令嬢に、令嬢を肯定するような言葉を掛け、少しずつ距離を縮めていく。エベスト公爵令嬢は美しく聡明で完璧だから、殿下も求めるものが厳しくなっているのでしょう、あなたなら大丈夫、あなたは素晴らしい、あなたは国母に相応しい、みんなあなたに期待している、など心にもない事を伝え、始めは私のことなど、あまり気にしていないようであったのが、段々、私に声を掛けてくれるようになってきたのだ。
更に殿下は仕掛ける。恒例のお茶会でのことだ。アンネマリーが亡くなって1年になる位の時に、かわいい従姉妹の令嬢が、亡くなって1年が経つ事、ずっと会えるのを楽しみにしていたのに、急に亡くなってしまったことなどを、令嬢達に語り始めたのだ。エベスト公爵令嬢がどのような反応をするのかを見るために。
完璧な淑女と言われる彼女は、表情は変えなかったが、聞いてしまった。衰弱死ですか…と口にしていたところを。あれは真実を知っている口ぶりだ。あの女は暗殺に関わっている。
私は怒りを顔に出さないように、感情を押し殺す。こんなに辛いとは。
その頃になると、あの女が王太子殿下に否定され続け、憔悴して帰る時に馬車に送るのが、わたしの固定の仕事になり、彼女との距離を詰めつつあった。
私は、アンネマリーの好きな本の騎士の言葉を借りることにした。あなたが本当に辛い時に支え、お守りすることをどうかお許しくださいと。あの女にこんな事を言うなんて、心が折れそうになるのを堪えて。違う日には、王太子妃になったあなたを支えたい、こんなに守りたいと思った人はあなたが初めてだと。
言っていて気分が悪くなりそうなのを我慢した。
そして、あの女が私を見る目が変わった。そろそろ、動こうかと考えている時にマディソンの影から、手紙をもらった。
マディソンからの手紙には、高等学園で薬学の研究をしている博士が、研究費としてエベスト公爵家から個人的に多額の援助を受けているようだと言うこと。エベスト公爵家の使用人が、人目を避けるように、時々出入りしている。アンネマリーに使おうとした、毒の出所として調べる価値があると。更に、その博士の日常の動きが事細かく書いてある。研究室に深夜まで一人でこもっていることや、研究室の場所と人気のない経路まで。
また、エベスト公爵家の分家筋にあたる令息が、最近、本家から、手練れの騎士や傭兵がいたら紹介してほしいと言われていると話していたのを、偶然耳にしたと。そろそろ向こうも仕掛けてきそうだから、気を付けるようにと。
マディソンは味方だと最高なんだと今更気付く。
早速、私は魔導師と影を伴って、深夜の研究室に忍び込むことにした。
前の暗殺者の時のように、背後から遅い、体を拘束して自白剤を飲ませる。結果的にアンネマリーに使用する毒を作ったのはその博士であった。研究バカで人に興味がないので、研究費欲しさに、裏でエベスト公爵家お抱えの薬師として、毒物を作っていたようだ。本当は今すぐ始末したいが、後を考えて、まだ生かしておく必要がある。作った毒物の在処や、証拠の資料の場所を聞いておき、魔導師に自白剤と私達の記憶を消してもらい、ソファーで眠らせ、研究室でうっかり眠ってしまったようにして、退散した。
次のターゲットは…
普段人前で全く感情を出さず、完璧な淑女で、人形の様だと言われていた、エベスト公爵令嬢が取り乱している。
なんて醜い女だ!今までこんな女の為に自分を押し殺して、令嬢方が大好きな騎士を演じてきた自分を褒めてやりたい。
あの後、無事に隣国入りし、隣国王太子殿下の護衛騎士の1人として毎日を過ごしていた。アンネマリーの暗殺に関わっていると見られる、エベスト公爵令嬢とは、すぐに顔を合わせる事になる。
彼女は一応、王太子殿下の婚約者候補の一人ではあった。表向きだが。しかし、王家も王太子殿下もバカではない。真っ黒な公爵家の令嬢を婚約者にするつもりはないが、他に婚約者を決めてしまうと、その令嬢が危険なので、まだ誰も指名せずに、エベスト公爵令嬢と他に数人、婚約者候補を置いていたようだ。なかなか、婚約者を決めない事にヤキモキしているのか、婚約者候補のお茶会以外の日にも、公爵家の力を使って、強引に殿下に会いにくるのだ。
王太子殿下もあんな女に付き纏われて大変だ。あんな女と比べたら、アンネマリーは天使だ。もし彼女がこの国に来て、こっちで社交したらと考えると、それはそれで怖かったな。今となっては叶わないが…。
殿下もかなり嫌になっているらしく、かなり冷たい。しかし、さすが自国の王太子殿下の従兄弟とあって、腹黒い計画を立てるのであった。
定期的に開かれる婚約者候補のお茶会にて。
あの女は、公爵令嬢という高い身分を利用して、他の令嬢にお茶会でも、姑息な嫌がらせをする。それはいつもの事なので、今日はどのタイミングで嫌がらせをするか、殿下は密かに目を光らせていた。
そして、早く帰ってほしい他の令嬢のドレスに、意図的に紅茶をかけた瞬間を見逃さなかった。言い逃れ出来ないくらい、しっかりと目撃されていたことを知ったあの女は、流石に何も言えない。そこで、殿下は公爵令嬢のプライドをへし折るように、他の令嬢の前で諭すのであった。
「君は本当にエベスト公爵家の令嬢か?公爵家では、紅茶はドレスに飲ませる物と教えているのか?それで国母になろうとは、恥を知れ!顔も見たくない。今すぐここを去る様に。」
今まで殿下は、人前であからさまな拒絶をしたことが無かったので、ショックを受けたようだ。しかし、さすが表向きは、完璧な淑女と言われる令嬢だ。表情を変えずに、失礼しますと言って退出していく。
そのタイミングで殿下は、護衛騎士の中で一番下っ端の私に、令嬢を馬車まで送る様に、皆の前で指示をだす。そして、始めは顔を覚えてもらう事から始まった。
その様な事が徐々に増え、お茶会では、エベスト公爵令嬢のアラを探し、そこを他の令嬢達の前で攻撃するのが、恒例となっていった。殿下は今までの恨みが溜まっているのか、恐らく楽しんでいる。それとは対象的に、エベスト公爵令嬢は追い詰められているのが、何となく雰囲気でわかる様になってきた。
そして、顔を覚えて貰った私は、落ち込んでいるであろうエベスト公爵令嬢に、令嬢を肯定するような言葉を掛け、少しずつ距離を縮めていく。エベスト公爵令嬢は美しく聡明で完璧だから、殿下も求めるものが厳しくなっているのでしょう、あなたなら大丈夫、あなたは素晴らしい、あなたは国母に相応しい、みんなあなたに期待している、など心にもない事を伝え、始めは私のことなど、あまり気にしていないようであったのが、段々、私に声を掛けてくれるようになってきたのだ。
更に殿下は仕掛ける。恒例のお茶会でのことだ。アンネマリーが亡くなって1年になる位の時に、かわいい従姉妹の令嬢が、亡くなって1年が経つ事、ずっと会えるのを楽しみにしていたのに、急に亡くなってしまったことなどを、令嬢達に語り始めたのだ。エベスト公爵令嬢がどのような反応をするのかを見るために。
完璧な淑女と言われる彼女は、表情は変えなかったが、聞いてしまった。衰弱死ですか…と口にしていたところを。あれは真実を知っている口ぶりだ。あの女は暗殺に関わっている。
私は怒りを顔に出さないように、感情を押し殺す。こんなに辛いとは。
その頃になると、あの女が王太子殿下に否定され続け、憔悴して帰る時に馬車に送るのが、わたしの固定の仕事になり、彼女との距離を詰めつつあった。
私は、アンネマリーの好きな本の騎士の言葉を借りることにした。あなたが本当に辛い時に支え、お守りすることをどうかお許しくださいと。あの女にこんな事を言うなんて、心が折れそうになるのを堪えて。違う日には、王太子妃になったあなたを支えたい、こんなに守りたいと思った人はあなたが初めてだと。
言っていて気分が悪くなりそうなのを我慢した。
そして、あの女が私を見る目が変わった。そろそろ、動こうかと考えている時にマディソンの影から、手紙をもらった。
マディソンからの手紙には、高等学園で薬学の研究をしている博士が、研究費としてエベスト公爵家から個人的に多額の援助を受けているようだと言うこと。エベスト公爵家の使用人が、人目を避けるように、時々出入りしている。アンネマリーに使おうとした、毒の出所として調べる価値があると。更に、その博士の日常の動きが事細かく書いてある。研究室に深夜まで一人でこもっていることや、研究室の場所と人気のない経路まで。
また、エベスト公爵家の分家筋にあたる令息が、最近、本家から、手練れの騎士や傭兵がいたら紹介してほしいと言われていると話していたのを、偶然耳にしたと。そろそろ向こうも仕掛けてきそうだから、気を付けるようにと。
マディソンは味方だと最高なんだと今更気付く。
早速、私は魔導師と影を伴って、深夜の研究室に忍び込むことにした。
前の暗殺者の時のように、背後から遅い、体を拘束して自白剤を飲ませる。結果的にアンネマリーに使用する毒を作ったのはその博士であった。研究バカで人に興味がないので、研究費欲しさに、裏でエベスト公爵家お抱えの薬師として、毒物を作っていたようだ。本当は今すぐ始末したいが、後を考えて、まだ生かしておく必要がある。作った毒物の在処や、証拠の資料の場所を聞いておき、魔導師に自白剤と私達の記憶を消してもらい、ソファーで眠らせ、研究室でうっかり眠ってしまったようにして、退散した。
次のターゲットは…
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