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アンネマリー編〜転生に気付いたのでやり直します
閑話 ある公爵令息の話 4
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あの日から、学園でアンネマリーの姿を見る事が無くなった。
会ったら自分の正直な気持ちを伝えて謝ろうと思っていたが、全く会えないのだ。
そんな悩みを抱えながらも、日々は過ぎていく。気付くと、もうすぐ王家主催の剣術大会であった。
18歳で参加する今年からは、青年の部での出場である。
青年の部で優勝することが子供の頃からの夢。その為に今は剣術に集中し、気持ちを奮い立たせねば。
大会当日、アンネマリーは来てくれているのか気になっていたが、毎年必ず来てくれていたので、恐らく今年も来てくれるだろうと言う安易な考えが、後に愚かであった事に気づくのは、まだ先の事であった。
騎士団の中で有名な者や、手練れの冒険者が出場する中、何とか勝ち進む。子供の頃からの夢、アンネマリーの為と。
そしてやっとたどり着いた、優勝…。国王陛下よりあの特別なブローチを賜る。
これをアンネマリーに渡して、自分の気持ちを伝えて、謝ろう。周りの令嬢たちが騒ぐのを無視し、ブローチを手に、毎年アンネマリーが観戦していた上位貴族専用の席へ。
そこには両親がいて、
「よくやった!」
「良かったわ!おめでとう!今日はお祝いね。」
とても喜んでいた。それを見て、自分も嬉しくなるが…。彼女の姿がない。いつもなら、うちの両親と一緒に観戦していたのだが。
「アンネマリーはどこですか?」
「アンネマリーちゃんは来てないわよ。」
来てない?いつもなら、クッキーを持って待っていてくれるのに。来てないなんて、初めての事だと思う。もしかして、来る途中で何かあったのか?それとも、また病気で寝込んでいるのか?不安が襲ってくる。
従者に何か侯爵家から連絡が来てないか聞くが、何もないと言う。どうして…。
その数日後、両親から、彼女との婚約が白紙になる事を伝えられたのであった。
「どう言うことですか?納得できません。」
「お互い思い合ってないようだから、白紙になったのだ。お前もそれを望んでいたのだろう?」
「私にはアンネマリーだけです。仮の婚約だからと、こんなのはあんまりです。」
感情的になる私に、母上が口を開く。
「アンネマリーちゃんに、きちんと好意を伝えた事があったのかしら?」
「しかも、アンネマリーちゃんは仮の婚約だって知らなかったみたいよ。この婚約が解消されたら、修道院行きか、絶縁で平民落ちかって聞いて来たみたいだし。」
アンネマリーは仮の婚約だと知らなかった?どうして?
「仮の婚約と言っても、誠実に婚約者に向き合って欲しいと、侯爵はあえて教えなかったようだ。」
「それに、これは何なのかしらね?」
母上が私に見せて来た紙には…
『親同士の決めた愛のない結婚はかわいそうだし、彼も嫌がっているようだから、解放してあげてください。 エイミー・ケール』
『エイミー・ケール男爵令嬢に上記のように言われた事を証明致します。 アンネマリー・スペンサー』
『エイミー・ケール男爵令嬢が上記のように発言していたことを、目撃した第三者として証明致します。 シリル・マディソン』
そこには、あの迷惑女とアンネマリーのサイン入りの文書が。しかも、マディソンまで…。
あの迷惑女、こんなことをアンネマリーに言ってたのか。殺意が湧いてくる…が。
「随分とバカな羽虫達を放置していたようね?」
「あなたが、アンネマリーちゃんとの婚約は嫌がっているように世間的には見えていたみたいよ。だから、アンネマリーちゃんは修道院行きか、平民落ちになってもいいから、婚約は白紙にしたかったみたいね。」
修道院行きか平民落ちしてもいいくらい、私との婚約を白紙にしたかった?私がアンネマリーを嫌がっているように見えたから?違う!!
「宰相令息が王太子殿下と一緒に、私の執務室までこのサイン入りの紙を持って来た時は驚いた。書面に残す事で、ケール男爵に抗議しやすいようにしてくれたようだ。殿下には、あのバカな男爵令嬢ごときにここまで言われたアンネマリー嬢が可哀想だと…。お前は、同じ学園にいて一体何をしていたのだ?」
正論過ぎて、何も言えなかった。
アンネマリーが迷惑女だけでなく、私に勝手に纏わりついてくる令嬢達からも、ぞんざいに扱われていたことを知っていた。それなのに何もしなかったのは、私なのだから。
「アンネマリー嬢は諦めろ。近いうちに、新しい婚約者を決めるために、私たちが何人か候補を決めておく。アンネマリー嬢ほどの令嬢はいないと思うが、お前の自業自得だと思って受け入れなさい。」
自分が悪いのは分かっているが、彼女以外は考えられない。こんなに辛いのに、彼女じゃないと駄目なのだ。
「アンネマリーしか考えられません。」
「情け無い!いい加減にアンネマリーちゃんを解放してあげなさい。」
「…だったら、結婚なんてしません。後継は弟達がいます。」
「ハァー。……卒業までだ。お前の卒業までは待ってやる。自分で何とかするんだな。」
卒業までの残り少ない期間で何とかしなければ…
今更、何をしても遅いことに、この時の私は気付いていなかった。
会ったら自分の正直な気持ちを伝えて謝ろうと思っていたが、全く会えないのだ。
そんな悩みを抱えながらも、日々は過ぎていく。気付くと、もうすぐ王家主催の剣術大会であった。
18歳で参加する今年からは、青年の部での出場である。
青年の部で優勝することが子供の頃からの夢。その為に今は剣術に集中し、気持ちを奮い立たせねば。
大会当日、アンネマリーは来てくれているのか気になっていたが、毎年必ず来てくれていたので、恐らく今年も来てくれるだろうと言う安易な考えが、後に愚かであった事に気づくのは、まだ先の事であった。
騎士団の中で有名な者や、手練れの冒険者が出場する中、何とか勝ち進む。子供の頃からの夢、アンネマリーの為と。
そしてやっとたどり着いた、優勝…。国王陛下よりあの特別なブローチを賜る。
これをアンネマリーに渡して、自分の気持ちを伝えて、謝ろう。周りの令嬢たちが騒ぐのを無視し、ブローチを手に、毎年アンネマリーが観戦していた上位貴族専用の席へ。
そこには両親がいて、
「よくやった!」
「良かったわ!おめでとう!今日はお祝いね。」
とても喜んでいた。それを見て、自分も嬉しくなるが…。彼女の姿がない。いつもなら、うちの両親と一緒に観戦していたのだが。
「アンネマリーはどこですか?」
「アンネマリーちゃんは来てないわよ。」
来てない?いつもなら、クッキーを持って待っていてくれるのに。来てないなんて、初めての事だと思う。もしかして、来る途中で何かあったのか?それとも、また病気で寝込んでいるのか?不安が襲ってくる。
従者に何か侯爵家から連絡が来てないか聞くが、何もないと言う。どうして…。
その数日後、両親から、彼女との婚約が白紙になる事を伝えられたのであった。
「どう言うことですか?納得できません。」
「お互い思い合ってないようだから、白紙になったのだ。お前もそれを望んでいたのだろう?」
「私にはアンネマリーだけです。仮の婚約だからと、こんなのはあんまりです。」
感情的になる私に、母上が口を開く。
「アンネマリーちゃんに、きちんと好意を伝えた事があったのかしら?」
「しかも、アンネマリーちゃんは仮の婚約だって知らなかったみたいよ。この婚約が解消されたら、修道院行きか、絶縁で平民落ちかって聞いて来たみたいだし。」
アンネマリーは仮の婚約だと知らなかった?どうして?
「仮の婚約と言っても、誠実に婚約者に向き合って欲しいと、侯爵はあえて教えなかったようだ。」
「それに、これは何なのかしらね?」
母上が私に見せて来た紙には…
『親同士の決めた愛のない結婚はかわいそうだし、彼も嫌がっているようだから、解放してあげてください。 エイミー・ケール』
『エイミー・ケール男爵令嬢に上記のように言われた事を証明致します。 アンネマリー・スペンサー』
『エイミー・ケール男爵令嬢が上記のように発言していたことを、目撃した第三者として証明致します。 シリル・マディソン』
そこには、あの迷惑女とアンネマリーのサイン入りの文書が。しかも、マディソンまで…。
あの迷惑女、こんなことをアンネマリーに言ってたのか。殺意が湧いてくる…が。
「随分とバカな羽虫達を放置していたようね?」
「あなたが、アンネマリーちゃんとの婚約は嫌がっているように世間的には見えていたみたいよ。だから、アンネマリーちゃんは修道院行きか、平民落ちになってもいいから、婚約は白紙にしたかったみたいね。」
修道院行きか平民落ちしてもいいくらい、私との婚約を白紙にしたかった?私がアンネマリーを嫌がっているように見えたから?違う!!
「宰相令息が王太子殿下と一緒に、私の執務室までこのサイン入りの紙を持って来た時は驚いた。書面に残す事で、ケール男爵に抗議しやすいようにしてくれたようだ。殿下には、あのバカな男爵令嬢ごときにここまで言われたアンネマリー嬢が可哀想だと…。お前は、同じ学園にいて一体何をしていたのだ?」
正論過ぎて、何も言えなかった。
アンネマリーが迷惑女だけでなく、私に勝手に纏わりついてくる令嬢達からも、ぞんざいに扱われていたことを知っていた。それなのに何もしなかったのは、私なのだから。
「アンネマリー嬢は諦めろ。近いうちに、新しい婚約者を決めるために、私たちが何人か候補を決めておく。アンネマリー嬢ほどの令嬢はいないと思うが、お前の自業自得だと思って受け入れなさい。」
自分が悪いのは分かっているが、彼女以外は考えられない。こんなに辛いのに、彼女じゃないと駄目なのだ。
「アンネマリーしか考えられません。」
「情け無い!いい加減にアンネマリーちゃんを解放してあげなさい。」
「…だったら、結婚なんてしません。後継は弟達がいます。」
「ハァー。……卒業までだ。お前の卒業までは待ってやる。自分で何とかするんだな。」
卒業までの残り少ない期間で何とかしなければ…
今更、何をしても遅いことに、この時の私は気付いていなかった。
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