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アンネマリー編〜転生に気付いたのでやり直します
ごめんね
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※流血表現あり
レベッカ達と別れた後、私は迎えに来た護衛のアルと宝石店に来ている。まだ時間に余裕があったので、買い物に行きたいと頼んだのだ。
アルは私が隣国に行く途中の国境まで送ってくれる。隣国に入ったら、隣国王妃の叔母様の護衛達が迎えに来てくれるからだ。侍女はカーラがついて来てくれる。
私が留学している間は一度侯爵家を離れ、近衛騎士団に入って、修行?するらしい。どうやら、お母様が勧めたようだ。近衛騎士団ってそんなに簡単に入れないのに、お母様の権力のゴリ押しですね。
まぁ、でもアルなら問題ないでしょう。アルは子爵家の三男で、剣の腕はいいし、学園時代も優秀だったと聞いたことがある。実家の跡目争いが嫌で、うちの侯爵家に来たらしい。
数年お世話になって、すっかり兄のような存在のアルに、今までの感謝と新しい旅立ちのはなむけとして何か贈りたいと来てみたが…。
騎士様だから、あまり邪魔にならない物がいいよね。シンプルなブローチがいいのかしら?
「アル、ちょっといいかしら。」
色々なブローチをアルに当てて試して見る。アルの瞳のエメラルドも綺麗ね。うーん。迷うわね。
アルは遠慮しているのか、お気持ちだけで嬉しいと言っていたが、私がどうしても贈りたいと言い張ると、じゃあ、これがいいですとアクアマリンのシンプルなブローチを選んだのだった。
アクアマリンか、意外だけどステキね。
「お嬢様の瞳の色に似ているので。これを見て、お嬢様に監視されていると思って、気を引き締めて頑張ってきますね。」
監視なんてするわけねーだろ!
「監視しないけど、しっかり頑張ってきてよね。」
あっ!このサファイアのブローチはフィルにいいかも。フィルの綺麗な瞳みたいだもん。これに決めた。
と、店内を物色していて髪飾りも気になる私。小さなダイヤモンドとエメラルドが散りばめられた、蝶々の髪飾りが気になる。蝶々好きなのよね。すると、
「では、ブローチのお礼に、それは私からプレゼントさせてください。」
安いものではないので、それは悪いと言ったが、アルは引かなかった。
「アル、どうもありがとう。これは隣国に持って行って大切に使わせてもらうわね。」
店員さんが、せっかくなのでと髪飾りを着けてくれた。うん、かわいい髪飾りね。
アルにも騎士服にブローチを着けてあげた。珍しく恥ずかしがっていたが、強引に着けちゃった。
フィルのブローチは、サービスで裏に名入れをしてくれるようなので、後日届けてくれるそうだ。隣国に出発した後になるので、メッセージカードを付けて届けてもらう事にした。
帰りの馬車の中で、アルにレベッカ達とのことなどを話す。
友達に恵まれて幸せだと。アルは穏やかな表情で話を聞いてくれた。聞き上手なアルに、こうやって馬車の中で話を聞いてもらうことが大好きな時間だ。
そして、隣国での留学を終えて帰って来る時は、アルが国境まで迎えに来てくれるそうだ。私は嬉しくなって、約束よって答えた。
そんな時、馬車の様子がおかしい事に気付く。いつもは道に合わせて、揺れが少ない速度で丁寧に走ってくれるのに、やたらガタガタ揺れて不安定な走り。
アルが小窓を叩き、御者を呼ぶが反応がない。御者の様子がおかしい。体が斜めに傾いて見える。えっ、意識がなくなってる?
「お嬢様、俺が御者台に移動して馬車を停めますので、しっかり手すりに掴まっていてください。」
そう言って馬車のドアを開けようとするが、
「…何で開かないんだ?」
アルがいくらドアを開けようとしても開かない。ドアを叩いても、蹴っても。
これってもしかして、閉じ込められた?
私、命狙われてたの?誰に?
パニックになりながら、考えていると、馬車はさらにガタガタ揺れる。怖い、どうしよう。
その時、私は思い出してしまった。杏奈の時は、海外旅行の時の飛行機事故だった…。
どうして?私はただ幸せに、普通に生きて行きたいだけなのに。
馬車が大きく揺れる。アルは窓から外に出ようとするが、間に合わない。
このスピードではカーブを曲がりきれない。怖い。
「お嬢様、失礼します!!」
アルが私を強く抱きしめる。
その時、ドーンという凄まじい音と衝撃が襲うのであった。
「……様?アンネマリー様?」
うっ!血の味がする。体が痛い。気持ち悪い。
「…アル、大丈夫?」
「お守り…出来なくて…、申し訳ありま…せん。」
力のない声。アルも辛そうだ。頭から血が…。
「ハァ、ハァ……。早く脱出…した…いので…すが、体が動かなく…て。」
「い…いから。わた…しは、大丈夫。」
「俺…は…いいので…お嬢…さまだけでも。」
「ハァ…、ハァ…。よくな…い。アルも一緒に…。わた…しの、ハァ、大切…な騎士様だ…から。」
痛い。苦しい。助けて。
「…アンネマリー様、ハァ…。貴女…に、おつ…かえ…出来て、し…あわせ…でした。」
「私も。ハァ…。アル…がいてく…れ…て、よかった…わ。…だいす…きよ。」
「俺…も、ハァ…。大好き…でし…た。…あな…たを、わす…れ…な………… 。 」
「…。………。」
「………。」
「…アル?…ア…ル?……うっ、うっ…。」
私に強い癒しの力があれば、アルを助けられたのに。
私が強ければ、守るべき人を守れるのに。
私のせいでアルは巻き込まれて、亡くなったのだ。
アル、ごめんなさい。本当にごめんね。
視界がボヤけて、意識が朦朧とする。
「マリー…」
誰かに呼ばれている気がした。
私をそう呼ぶのは………。
私はそこで意識を失った。
レベッカ達と別れた後、私は迎えに来た護衛のアルと宝石店に来ている。まだ時間に余裕があったので、買い物に行きたいと頼んだのだ。
アルは私が隣国に行く途中の国境まで送ってくれる。隣国に入ったら、隣国王妃の叔母様の護衛達が迎えに来てくれるからだ。侍女はカーラがついて来てくれる。
私が留学している間は一度侯爵家を離れ、近衛騎士団に入って、修行?するらしい。どうやら、お母様が勧めたようだ。近衛騎士団ってそんなに簡単に入れないのに、お母様の権力のゴリ押しですね。
まぁ、でもアルなら問題ないでしょう。アルは子爵家の三男で、剣の腕はいいし、学園時代も優秀だったと聞いたことがある。実家の跡目争いが嫌で、うちの侯爵家に来たらしい。
数年お世話になって、すっかり兄のような存在のアルに、今までの感謝と新しい旅立ちのはなむけとして何か贈りたいと来てみたが…。
騎士様だから、あまり邪魔にならない物がいいよね。シンプルなブローチがいいのかしら?
「アル、ちょっといいかしら。」
色々なブローチをアルに当てて試して見る。アルの瞳のエメラルドも綺麗ね。うーん。迷うわね。
アルは遠慮しているのか、お気持ちだけで嬉しいと言っていたが、私がどうしても贈りたいと言い張ると、じゃあ、これがいいですとアクアマリンのシンプルなブローチを選んだのだった。
アクアマリンか、意外だけどステキね。
「お嬢様の瞳の色に似ているので。これを見て、お嬢様に監視されていると思って、気を引き締めて頑張ってきますね。」
監視なんてするわけねーだろ!
「監視しないけど、しっかり頑張ってきてよね。」
あっ!このサファイアのブローチはフィルにいいかも。フィルの綺麗な瞳みたいだもん。これに決めた。
と、店内を物色していて髪飾りも気になる私。小さなダイヤモンドとエメラルドが散りばめられた、蝶々の髪飾りが気になる。蝶々好きなのよね。すると、
「では、ブローチのお礼に、それは私からプレゼントさせてください。」
安いものではないので、それは悪いと言ったが、アルは引かなかった。
「アル、どうもありがとう。これは隣国に持って行って大切に使わせてもらうわね。」
店員さんが、せっかくなのでと髪飾りを着けてくれた。うん、かわいい髪飾りね。
アルにも騎士服にブローチを着けてあげた。珍しく恥ずかしがっていたが、強引に着けちゃった。
フィルのブローチは、サービスで裏に名入れをしてくれるようなので、後日届けてくれるそうだ。隣国に出発した後になるので、メッセージカードを付けて届けてもらう事にした。
帰りの馬車の中で、アルにレベッカ達とのことなどを話す。
友達に恵まれて幸せだと。アルは穏やかな表情で話を聞いてくれた。聞き上手なアルに、こうやって馬車の中で話を聞いてもらうことが大好きな時間だ。
そして、隣国での留学を終えて帰って来る時は、アルが国境まで迎えに来てくれるそうだ。私は嬉しくなって、約束よって答えた。
そんな時、馬車の様子がおかしい事に気付く。いつもは道に合わせて、揺れが少ない速度で丁寧に走ってくれるのに、やたらガタガタ揺れて不安定な走り。
アルが小窓を叩き、御者を呼ぶが反応がない。御者の様子がおかしい。体が斜めに傾いて見える。えっ、意識がなくなってる?
「お嬢様、俺が御者台に移動して馬車を停めますので、しっかり手すりに掴まっていてください。」
そう言って馬車のドアを開けようとするが、
「…何で開かないんだ?」
アルがいくらドアを開けようとしても開かない。ドアを叩いても、蹴っても。
これってもしかして、閉じ込められた?
私、命狙われてたの?誰に?
パニックになりながら、考えていると、馬車はさらにガタガタ揺れる。怖い、どうしよう。
その時、私は思い出してしまった。杏奈の時は、海外旅行の時の飛行機事故だった…。
どうして?私はただ幸せに、普通に生きて行きたいだけなのに。
馬車が大きく揺れる。アルは窓から外に出ようとするが、間に合わない。
このスピードではカーブを曲がりきれない。怖い。
「お嬢様、失礼します!!」
アルが私を強く抱きしめる。
その時、ドーンという凄まじい音と衝撃が襲うのであった。
「……様?アンネマリー様?」
うっ!血の味がする。体が痛い。気持ち悪い。
「…アル、大丈夫?」
「お守り…出来なくて…、申し訳ありま…せん。」
力のない声。アルも辛そうだ。頭から血が…。
「ハァ、ハァ……。早く脱出…した…いので…すが、体が動かなく…て。」
「い…いから。わた…しは、大丈夫。」
「俺…は…いいので…お嬢…さまだけでも。」
「ハァ…、ハァ…。よくな…い。アルも一緒に…。わた…しの、ハァ、大切…な騎士様だ…から。」
痛い。苦しい。助けて。
「…アンネマリー様、ハァ…。貴女…に、おつ…かえ…出来て、し…あわせ…でした。」
「私も。ハァ…。アル…がいてく…れ…て、よかった…わ。…だいす…きよ。」
「俺…も、ハァ…。大好き…でし…た。…あな…たを、わす…れ…な………… 。 」
「…。………。」
「………。」
「…アル?…ア…ル?……うっ、うっ…。」
私に強い癒しの力があれば、アルを助けられたのに。
私が強ければ、守るべき人を守れるのに。
私のせいでアルは巻き込まれて、亡くなったのだ。
アル、ごめんなさい。本当にごめんね。
視界がボヤけて、意識が朦朧とする。
「マリー…」
誰かに呼ばれている気がした。
私をそう呼ぶのは………。
私はそこで意識を失った。
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