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2度目
閑話 王弟アレクシス
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最近、人前に姿を現さなくなった大公の動きが気になっていたので、大公家から派遣されていた使用人のことは、前から極秘裏に監視していた。そのおかげで、大公家からリーナの毒を持ち込んだ証拠などが、あっさりと見つかる。
敵国の将軍も、時間をかけた結果、大公と敵国の国王の繋がりを話してくれたし、大公の悪事が証明されつつある。
あと少しで、大公を拘束できる!!
そのような時だった。意識を失っていた、リーナが目覚めたと報告を受ける。
…良かった。リーナにこれ以上何かあれば、私は正気を保つ自信がない。
もう少しで、私の仕事は落ち着く。そしたらリーナと関わりを持ちたい。兄上が好きなのは分かっているが、私だってずっと我慢してきたのだ。今度こそ…!
しかし。
「アレク…。リーナが元の世界に帰りたいと言っているのだ。毒のことがショックであるようで、元気がない。」
兄上から聞かされたのは、リーナがまた元の世界に帰りたがっているという話だった。
また私を置いていくのか…?
そんなの許さない!!
「兄上。聖女様とは、必ず元の世界に帰すという約束をしているのですか?」
「…約束?特にはしていないな。リーナが来た後に、この国を聖女として助けて欲しいとは頼んだが、その後のことは約束はしていない。」
恐らくリーナは、前回、元の世界に帰れたから、今回も帰れて当然だと思っている。
ふっ!兄上と約束していないならちょうどいい。突然、帰れなくなっても恨むなよ。
「そうですか。
…兄上。本当に好きなら、多少は強引に引き留めないと、後で絶対に後悔するでしょう。元の世界に帰ってしまったなら、もう二度と会えなくなるのですから。」
かつての私のように…。
兄上は、そんな私の言葉に驚いたような顔をする。
「アレクがそんなことを言うなんて珍しいこともあるな。アレクは、人の感情に対して無関心なのかと思っていた。」
「そんなことはありませんよ。」
…リーナに関することに対しては。
その後、大公や公女が、リーナの毒殺未遂に関わっている証拠を掴むことができ、すぐに2人を拘束することに成功した。
久しぶりに人前に現れた大公は、呪い返しの症状に苦しんでいるのがよく分かった。
そして、国内の貴族を集めた貴族裁判の日を迎える。
裁判で、国王である兄上の隣に座るリーナは、とにかく美しかった。
あの頃のような、白い清楚なドレスを着たリーナ。会場にいる貴族達は初めてリーナを見る者が多く、あまりの美しさに見惚れる令息が沢山いたようだ。
しかし、それよりも気になったのは…
リーナの護衛騎士の生まれ変わりだと思われる、敵国の将軍とリーナが見つめ合う姿。
将軍は、リーナを見て涙を流している。
私の存在には気付きもしないのに、あの男にはすぐに気付くのだな。
やはり、この男の存在は許さない…。
敵国の将軍も、時間をかけた結果、大公と敵国の国王の繋がりを話してくれたし、大公の悪事が証明されつつある。
あと少しで、大公を拘束できる!!
そのような時だった。意識を失っていた、リーナが目覚めたと報告を受ける。
…良かった。リーナにこれ以上何かあれば、私は正気を保つ自信がない。
もう少しで、私の仕事は落ち着く。そしたらリーナと関わりを持ちたい。兄上が好きなのは分かっているが、私だってずっと我慢してきたのだ。今度こそ…!
しかし。
「アレク…。リーナが元の世界に帰りたいと言っているのだ。毒のことがショックであるようで、元気がない。」
兄上から聞かされたのは、リーナがまた元の世界に帰りたがっているという話だった。
また私を置いていくのか…?
そんなの許さない!!
「兄上。聖女様とは、必ず元の世界に帰すという約束をしているのですか?」
「…約束?特にはしていないな。リーナが来た後に、この国を聖女として助けて欲しいとは頼んだが、その後のことは約束はしていない。」
恐らくリーナは、前回、元の世界に帰れたから、今回も帰れて当然だと思っている。
ふっ!兄上と約束していないならちょうどいい。突然、帰れなくなっても恨むなよ。
「そうですか。
…兄上。本当に好きなら、多少は強引に引き留めないと、後で絶対に後悔するでしょう。元の世界に帰ってしまったなら、もう二度と会えなくなるのですから。」
かつての私のように…。
兄上は、そんな私の言葉に驚いたような顔をする。
「アレクがそんなことを言うなんて珍しいこともあるな。アレクは、人の感情に対して無関心なのかと思っていた。」
「そんなことはありませんよ。」
…リーナに関することに対しては。
その後、大公や公女が、リーナの毒殺未遂に関わっている証拠を掴むことができ、すぐに2人を拘束することに成功した。
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そして、国内の貴族を集めた貴族裁判の日を迎える。
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あの頃のような、白い清楚なドレスを着たリーナ。会場にいる貴族達は初めてリーナを見る者が多く、あまりの美しさに見惚れる令息が沢山いたようだ。
しかし、それよりも気になったのは…
リーナの護衛騎士の生まれ変わりだと思われる、敵国の将軍とリーナが見つめ合う姿。
将軍は、リーナを見て涙を流している。
私の存在には気付きもしないのに、あの男にはすぐに気付くのだな。
やはり、この男の存在は許さない…。
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