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閑話 王弟アレクシス
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〝異世界から来た聖女は、リーナと言う名の、150年前の聖女によく似た少女だ。彼女は心優しく、私の呪いに気づくと、すぐに呪いを解いてくれた。真面目で優秀なリーナは、もうすぐ聖女教育を終えて、すぐに戦地に向かいたいと言っている。アレク、後少しの辛抱だ。〟
兄上から戦地に届いた手紙には、驚くべき事が書いてあった。
原因不明の兄上の体調不良は呪いだったようだ。
やはり、裏であの大公が関わっているに違いない。兄上の呪いが解けたというなら、恐らく今頃は、大公に呪い返しの症状が出ているはず。
戦争が終わったら、大公の悪事を全て暴いてやる。その為にも、今は絶対に死ねない。
そして、優秀だという聖女リーナ。彼女に会ってみたい。
私は部下達に聖女がもうすぐ戦地にやって来ると話して、騎士達の士気を上げるのであった。
それから、しばらく苦しい戦いが続く。怪我人が多く、日に日に戦える騎士達が減っていく。
間に合わないのか…?
そんな時だった。敵と戦っている最中、突然、敵軍後方から凄まじい音がする。まるで地響きのようだが、これは攻撃魔法か?敵軍が急な攻撃で乱れているようだった。そして、私たちの所には、キラキラと光が舞い落ちてくる。
これは…!聖魔法だ。気付くと、体の怪我や疲れがなくなっていた。体が軽くなり、攻撃力も上がっている。
「殿下!聖女様が先程到着して、後方から支援してくれているようです。怪我で休んでいた騎士達も元気になり、戦いに合流出来るようです。」
伝令が興奮しながら報告する。
間に合った!!
「聖女が来たぞー!このまま戦うぞ!」
騎士達の士気が高まるのが分かった。
また、敵軍後方に大きな攻撃魔法が放たれたようだ。
なんて凄い攻撃魔法だ!敵は混乱しているし、私達の背中を押してくれているようだ。
戦いは一気に優勢になる。
その日、私達は戦争に勝利したのであった。
聖女の案内役をした騎士に話を聞くと、まだ若い令嬢なのに、戦いに慣れているようだったと言う。敵の陣営に奇襲攻撃を仕掛けたのも、聖女が言い出したのだと言う。
戦いが落ち着くと、すぐに怪我人の治療がしたいと言って、休む間もなく野戦病院に駆けつけたようだ。そして、魔力切れを起こして倒れてしまったらしい。
そんな聖女は、一瞬にして騎士達の心を掴んだようだった。
聖女の休むテントの周りには、不自然に沢山の騎士達がウロウロし、聖女の護衛騎士達に睨まれているようだ。
「聖女様の具合はどうだ?目覚めたら、ぜひ礼を言いたいのだが。」
「王弟殿下。聖女様はまだお目覚めになりません。」
「…そうか。また来る。」
倒れた聖女が心配で何度か訪ねたが、なかなか目覚めないようで、会う事は出来なかった。
兄上から戦地に届いた手紙には、驚くべき事が書いてあった。
原因不明の兄上の体調不良は呪いだったようだ。
やはり、裏であの大公が関わっているに違いない。兄上の呪いが解けたというなら、恐らく今頃は、大公に呪い返しの症状が出ているはず。
戦争が終わったら、大公の悪事を全て暴いてやる。その為にも、今は絶対に死ねない。
そして、優秀だという聖女リーナ。彼女に会ってみたい。
私は部下達に聖女がもうすぐ戦地にやって来ると話して、騎士達の士気を上げるのであった。
それから、しばらく苦しい戦いが続く。怪我人が多く、日に日に戦える騎士達が減っていく。
間に合わないのか…?
そんな時だった。敵と戦っている最中、突然、敵軍後方から凄まじい音がする。まるで地響きのようだが、これは攻撃魔法か?敵軍が急な攻撃で乱れているようだった。そして、私たちの所には、キラキラと光が舞い落ちてくる。
これは…!聖魔法だ。気付くと、体の怪我や疲れがなくなっていた。体が軽くなり、攻撃力も上がっている。
「殿下!聖女様が先程到着して、後方から支援してくれているようです。怪我で休んでいた騎士達も元気になり、戦いに合流出来るようです。」
伝令が興奮しながら報告する。
間に合った!!
「聖女が来たぞー!このまま戦うぞ!」
騎士達の士気が高まるのが分かった。
また、敵軍後方に大きな攻撃魔法が放たれたようだ。
なんて凄い攻撃魔法だ!敵は混乱しているし、私達の背中を押してくれているようだ。
戦いは一気に優勢になる。
その日、私達は戦争に勝利したのであった。
聖女の案内役をした騎士に話を聞くと、まだ若い令嬢なのに、戦いに慣れているようだったと言う。敵の陣営に奇襲攻撃を仕掛けたのも、聖女が言い出したのだと言う。
戦いが落ち着くと、すぐに怪我人の治療がしたいと言って、休む間もなく野戦病院に駆けつけたようだ。そして、魔力切れを起こして倒れてしまったらしい。
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「聖女様の具合はどうだ?目覚めたら、ぜひ礼を言いたいのだが。」
「王弟殿下。聖女様はまだお目覚めになりません。」
「…そうか。また来る。」
倒れた聖女が心配で何度か訪ねたが、なかなか目覚めないようで、会う事は出来なかった。
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