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2度目
閑話 王弟アレクシス
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私は、この国の第二王子として生まれた。
私には、真面目で優秀で、私を可愛がってくれる大好きな兄がいる。第一王子として、国を守る為の勉学や剣術など、日々の努力を怠らない、素晴らしい兄だ。そんな兄は私の憧れであった。
兄上と2人で王宮で遊んでいた時のことだった。2人で城の色々な部屋を探検していると、沢山の絵が飾ってある部屋を見つける。兄上が教えてくれたのだが、その部屋は『王族の間』という部屋で、歴代の王族達の絵が飾ってある部屋らしい。
せっかくなので、その部屋に入り、絵を見ることにした。
歴代の王族の絵は沢山あった。みんな髪色は同じだな。この色は、王族の色なのだろう。私も同じ色だ。そんなことを考えながら絵を眺めていくと、ある一枚の絵に気付く。
その絵には、黒髪に黒目の美しい少女が描かれていた。思わず見惚れてしまうくらい美しい少女。そして、その少女の隣に描かれていた、私と同じ色の青年。なんだろう?2人とも見覚えがあるような感覚がある。
「………リーナ。」
「うん?アレクどうした?」
兄上が私を不思議そうに見ている。
「うっ!……兄上、あ、頭が痛い…です。…うっ。」
急にズキンと強い痛みに襲われる。
「アレク?大丈夫か?…おい?」
あまりにも強い頭痛で、私は気を失ってしまった。
目覚めると、自分の部屋のベッドに寝せられていた。あの後、私は熱を出して寝込んでしまったらしい。
そして…、私は自分の前世を思い出したのだった。
あの絵に描かれていた、黒髪の美しい少女は、聖女として異世界からやってきたリーナ。そして、隣に描かれていた青年は前世の私。当時、この国の王太子として聖女リーナと一緒に行動を共にしていたアンドリューだ。
その日から、必ず王族の間に行き、その絵を眺めるのが私の日々の日課になった。
『リーナ!君の肖像画を描くから、近々、絵師が来る予定だ。』
『えっ?私の肖像画なんて必要ないですよ。恥ずかしいですし。』
『ふっ!リーナはいつも、何かあると恥ずかしいって言うのだな。大丈夫だ。リーナは美しいのだから、恥ずかしがらずに、堂々としてればよいのだ。』
『私が美しい?殿下、恥ずかしいからやめて下さい。肖像画も必要ありません!』
『もう決まったことなのだ。それに、私がリーナの絵が欲しいのだから、いいだろう?』
『えー!!』
リーナは、誰もが見惚れるくらい美しいのに、気取ることもなくて、謙虚で優しい少女だった。
彼女は、異世界から来たばかりの頃、よく1人で泣いていた。
この世界に慣れないことや、早く帰りたいこと、家族に会いたいなどと口にしていたようだ。誰も知らない所にいきなりやって来て、寂しさや不安があったのだろう。
しかし、彼女は真面目で努力家だった。厳しい聖女教育をこなして、この国のことを学び、立派に聖女の務めを果たしてくれたのだ。
強力な結果を張り、国を他国から守り、怪我をした騎士や、病気で苦しむ民を沢山助け、当時の国民や貴族達から慕われるリーナ。
そして…。気付くと、私も彼女を深く愛していた。
私には、真面目で優秀で、私を可愛がってくれる大好きな兄がいる。第一王子として、国を守る為の勉学や剣術など、日々の努力を怠らない、素晴らしい兄だ。そんな兄は私の憧れであった。
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「………リーナ。」
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「うっ!……兄上、あ、頭が痛い…です。…うっ。」
急にズキンと強い痛みに襲われる。
「アレク?大丈夫か?…おい?」
あまりにも強い頭痛で、私は気を失ってしまった。
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そして…、私は自分の前世を思い出したのだった。
あの絵に描かれていた、黒髪の美しい少女は、聖女として異世界からやってきたリーナ。そして、隣に描かれていた青年は前世の私。当時、この国の王太子として聖女リーナと一緒に行動を共にしていたアンドリューだ。
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『リーナ!君の肖像画を描くから、近々、絵師が来る予定だ。』
『えっ?私の肖像画なんて必要ないですよ。恥ずかしいですし。』
『ふっ!リーナはいつも、何かあると恥ずかしいって言うのだな。大丈夫だ。リーナは美しいのだから、恥ずかしがらずに、堂々としてればよいのだ。』
『私が美しい?殿下、恥ずかしいからやめて下さい。肖像画も必要ありません!』
『もう決まったことなのだ。それに、私がリーナの絵が欲しいのだから、いいだろう?』
『えー!!』
リーナは、誰もが見惚れるくらい美しいのに、気取ることもなくて、謙虚で優しい少女だった。
彼女は、異世界から来たばかりの頃、よく1人で泣いていた。
この世界に慣れないことや、早く帰りたいこと、家族に会いたいなどと口にしていたようだ。誰も知らない所にいきなりやって来て、寂しさや不安があったのだろう。
しかし、彼女は真面目で努力家だった。厳しい聖女教育をこなして、この国のことを学び、立派に聖女の務めを果たしてくれたのだ。
強力な結果を張り、国を他国から守り、怪我をした騎士や、病気で苦しむ民を沢山助け、当時の国民や貴族達から慕われるリーナ。
そして…。気付くと、私も彼女を深く愛していた。
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