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2度目
怒りの陛下
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酔っ払って、うっかり苦手な王弟殿下とワンナイトしてしまった私は、まだ王弟殿下の部屋にいた。
なかったことにしたかったのに、王弟殿下に抱き潰されて、目覚めたらすっかり夕方になっていたのだ。なかなか離してくれない殿下に困る私。すると、
「王弟殿下。国王陛下がお呼びです。今すぐに来るようにとのことです。」
ラッキー!その間に逃げよう。
「…兄上か。リーナ、すぐ戻るから、ここにいて。」
いや、逃げるから。
「分かった?」
怖い!何なの、その鋭い目は!
黙ってコクコク頷く私。
殿下は、さっと服を着ると部屋を出て行った。
………よし!急いでドレスを着て、この部屋から逃げないと!
部屋の中をキョロキョロするが、私のドレスがない。何でー?シーツを体に巻いて、部屋中探すが見つからない。ふと、鏡があることに気付く。何だこれー!!身体中に赤い痕が。つけ過ぎだから!
しかし、着る物がないと部屋から逃げられない。
どうしよう…?
すると、誰かの足音がする。戻ってきた?扉が開かれる。
「リーナ?何してる?」
ああ…、見つかってしまった。
「逃げようとしたね。」
ジリジリと近付いてくる殿下が怖い。グイッと抱き抱えられ、またベッドに連れていかれる私。
「で、殿下!私の部屋に帰ろうと思います。何か着る物をお願いでき……うんっ。あっ。んっ。やっ、やめて!離して!」
またー?もう無理!
その時、扉の外が騒がしくなる。
「…来たな。」
えっ?誰が来たって?ガチャっと扉の開く音。
殿下は私の上に覆いかぶさっている。えー!この姿見られたくないよ。
「リーナを迎えに来た!離せ!」
この声は陛下だ。しかも、陛下だけじゃなくて、護衛騎士まで入ってきてるよぉ。
ひぃー!見ないでぇ!
「…兄上ですか?私達は今、2人の時間を楽しんでいるのですよ。」
ああ、最悪の雰囲気だ。でも、この機会に…
「へ、陛下!助けてください!」
「…やはりな。」
陛下は無表情で王弟殿下を、グイッと後ろに引っ張る。殿下もこれ以上はと思ったのか、抵抗はしなかった。
「リーナ、大丈夫か?服は?」
私には優しく話しかけてくれる陛下。
「…服が無くなっているのです。」
サァーっとその場の空気が凍りつく。
「……アレク?そこまでする必要があるのか?」
陛下の低い声が怖すぎる。
「そこまでしてでも欲しかったのですよ。分かって下さい。」
王弟殿下は取り乱すことなく、冷静に答えている。それがまたこの人の、得体の知れない恐ろしさを感じさせている。
「お前のしたことは、許されることではない。しばらく謹慎だ!」
「仰せのままに…。」
陛下は自分のマントを私にかけてグルグルに包み込むと、サッと抱き上げて部屋から連れ出してくれた。
ああ、とりあえずはこの部屋を脱出出来るのね…。
しかし、まだ終わりではなかったのだ。この後に陛下から、辛い現実を教えられることになるのであった。
なかったことにしたかったのに、王弟殿下に抱き潰されて、目覚めたらすっかり夕方になっていたのだ。なかなか離してくれない殿下に困る私。すると、
「王弟殿下。国王陛下がお呼びです。今すぐに来るようにとのことです。」
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いや、逃げるから。
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しかし、まだ終わりではなかったのだ。この後に陛下から、辛い現実を教えられることになるのであった。
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