3年前にも召喚された聖女ですが、仕事を終えたので早く帰らせてもらえますか?

せいめ

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2度目

断罪とかつての護衛騎士

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 すると陛下の側近達は、大公の罪状を読み上げる。そして、

「詳しくは王弟殿下から報告していただきます。」

 王弟殿下と思われる人と側近達が入って来る。そして、敵国の捕虜らしき人物も連れられて来た。

 王弟殿下は、大公と隣国との繋がりをこの場で証言させる為に、隣国の将軍を捕虜として連れて来たようだった。その証言は大公が隣国との繋がりを認めるのに、充分な証言だった。
 私の毒殺未遂事件も、毒の入手経路や大公家から派遣されていた、使用人達の証言など詳しく調べられていて、大公や令嬢が関わっているのは明白だった。
 そして、大公の顔には呪い返しの典型的な症状が出ている。証拠が揃い過ぎて、大公は言い逃れすら出来なかった。

 王弟殿下とその側近達って凄いのね!
 しかし、さっきから殿下や側近達が、私をチラチラ見ているのような気がするが。

 それよりも、あの捕虜の将軍がこっちをじっと見ている。
 そう。さっき、この広間に入って来た時からずっと気になっていた。あの将軍は似ている。1度目の聖女だった時の護衛騎士のカーティスに。あの時のカーティスよりは、少しだけ年上に見えるが…。やっぱり似ている!
 あっ!目が合った。

『カーティス?』

 口ぱくで呼んでみた。
 …コクン。

 驚きつつ、黙って頷く将軍。涙を流して…

 やっぱりカーティスだ。カーティスは、隣国の将軍に生まれ変わっていたの?

 その時だった。

 大公と令嬢の公開処刑と大公家の取り潰し、そして将軍の処刑が言い渡される。

 ダメだ!処刑なんて。

「陛下!処刑はいけません。それだけは何とかなりませんか?」

「リーナや私の命を狙ったのだ。処刑以外はあり得ない。」

「あっ、大公様はそうですね。じゃなくて、あの将軍様です。将軍様は、隣国の王の命令で動いただけですよね?」

「リーナ、敵国の将軍の心配などするな。」

「陛下、お願いします。将軍様は助けて下さい。」

「……私の一存ですぐに決められないのだ。分かってくれ。」

「陛下、助けてください。お願いします。」

「………。ハァー。
 訂正する!将軍の処遇は、一時保留だ。捕虜として丁重に扱え。」

 陛下が声を上げてくれた。ありがとう、陛下!

「陛下、ありがとうございます。」

「リーナ。将軍の処遇は、弟や側近達と話をしないと決められない。一時的に処刑が遅れるだけだと思って欲しい。」

 そんなー!
 カーティスと話がしたい私は、裁判が終わってから陛下にお願いすることにした。

 裁判で疲れただろうと、陛下がお茶を用意してくれた。裁判で何もしてないのだけどね。

「リーナの願いとは何だ?元の世界に帰りたいってこと以外で頼む。」

「あの…、将軍様と話がしたいのです。」

 ブルっ。なんだか寒い!

「リーナは、なぜあの将軍に拘るのだ?」

 陛下の顔が引き攣っているような気がする。
 陛下には、正直に話してみる?

「私の護衛騎士でした。私の信頼する、大切な護衛騎士だった人です。」





 
 
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