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150年前
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結局、気分が悪い日々は続き、10日位は寝込んでいたと思う。今回もゲッソリしてしまった私だ。
少しずつ食事が取れるようになる頃、国王陛下に会うことになった。陛下は忙しいらしく、直接お見舞いに来る事はなかった。まあ、それで良かった。具合が悪い時に、無理に会いたいとは思わないし、気疲れしてしまうだろうから。
そのかわり、自分のお世話をしてくれるメイド達とは今回も仲良くなった。年が近いし、メイドの視点で色々と教えてくれるし、王宮の噂話とかも聞いていて楽しい。しかも、みんな優秀なメイドだと思う。
国王陛下に面会だからと、今回もメイド達は気合いを入れて、病み上がりの私を磨き、聖女らしく見える白の清楚なドレスを着せてくれた。
メイド達は仕上がりを見て大喜びしていた。今回も私は美女に見えているらしく、メイドはうっとりして私を見つめている。……何だか、心が痛んできたわ。
メイドに連れられて王宮の中を移動していると、すれ違う人達からの視線が痛い。それで、私は思った。普段は目立つ格好はやめようと。別に着飾る必要なんてないからね。うん!明日からメイドに目立たない服をお願いしてみよう。そんなことを考えながら歩いていると…
「失礼!貴女は聖女様ですか?」
誰だろう?王子様みたいな綺麗な顔の、身分の高そうな貴族令息が話しかけてきた。すぐにメイドが私の前に立つ。
「バーナード公爵令息様、ご機嫌麗しゅうございます。こちらは聖女リーナ様でございます。」
どうやら公爵令息らしい。身分が高い方かぁ。前回の聖女教育で覚えていたカーテシーをする私。
「…なんて美しい方だ!聖女様、どうか貴女のお力をこの国にお貸し下さい。」
はぁー。こういうタイプ、少し苦手。何が美しいだ!
しかし、メイド達はとにかく優秀だった。
「バーナード公爵令息様。聖女様はまだ病み上がりの身でございます。今日のところは、失礼させて頂くことを、どうかお許し下さいませ。」
「そうとは知らずに申し訳ない。聖女様、またお会いすることを楽しみにしています。」
この公爵令息からは、次の日から花束が届くようになるのであった。
陛下の執務室に入ると、陛下は私を見て驚いているようだった。
「リーナ!元気になって良かった。今日は君と話が出来ることを嬉しく思う。」
「国王陛下。長い間ご心配をおかけしまして、申し訳ありませんでした。」
「いいのだ。リーナは、魔力があり得ない程に強いと聞いている。体が慣れるまでは無理はしないように。」
陛下は優しく話しかけてくれた。しかし、初対面の時から気になっていたことがある。陛下の肩から背中にかけて、黒いものが付いて見えるような…。でも、誰も気付いてないよね?私しか見えてないのかな?今言っても、何言ってんだって、おかしな人だと思われるかな?うーむ。様子を見ながら、言えそうな雰囲気なら、言ってみよう。
陛下は私をじっと見つめている。何だろう?
「…150年前に召喚されて来た聖女の肖像画が残っているのだが、リーナはその聖女にそっくりだな。名前が同じで、顔まで似ているなんて、リーナはその聖女の子孫なのか?」
えっ?150年前の聖女だって?
少しずつ食事が取れるようになる頃、国王陛下に会うことになった。陛下は忙しいらしく、直接お見舞いに来る事はなかった。まあ、それで良かった。具合が悪い時に、無理に会いたいとは思わないし、気疲れしてしまうだろうから。
そのかわり、自分のお世話をしてくれるメイド達とは今回も仲良くなった。年が近いし、メイドの視点で色々と教えてくれるし、王宮の噂話とかも聞いていて楽しい。しかも、みんな優秀なメイドだと思う。
国王陛下に面会だからと、今回もメイド達は気合いを入れて、病み上がりの私を磨き、聖女らしく見える白の清楚なドレスを着せてくれた。
メイド達は仕上がりを見て大喜びしていた。今回も私は美女に見えているらしく、メイドはうっとりして私を見つめている。……何だか、心が痛んできたわ。
メイドに連れられて王宮の中を移動していると、すれ違う人達からの視線が痛い。それで、私は思った。普段は目立つ格好はやめようと。別に着飾る必要なんてないからね。うん!明日からメイドに目立たない服をお願いしてみよう。そんなことを考えながら歩いていると…
「失礼!貴女は聖女様ですか?」
誰だろう?王子様みたいな綺麗な顔の、身分の高そうな貴族令息が話しかけてきた。すぐにメイドが私の前に立つ。
「バーナード公爵令息様、ご機嫌麗しゅうございます。こちらは聖女リーナ様でございます。」
どうやら公爵令息らしい。身分が高い方かぁ。前回の聖女教育で覚えていたカーテシーをする私。
「…なんて美しい方だ!聖女様、どうか貴女のお力をこの国にお貸し下さい。」
はぁー。こういうタイプ、少し苦手。何が美しいだ!
しかし、メイド達はとにかく優秀だった。
「バーナード公爵令息様。聖女様はまだ病み上がりの身でございます。今日のところは、失礼させて頂くことを、どうかお許し下さいませ。」
「そうとは知らずに申し訳ない。聖女様、またお会いすることを楽しみにしています。」
この公爵令息からは、次の日から花束が届くようになるのであった。
陛下の執務室に入ると、陛下は私を見て驚いているようだった。
「リーナ!元気になって良かった。今日は君と話が出来ることを嬉しく思う。」
「国王陛下。長い間ご心配をおかけしまして、申し訳ありませんでした。」
「いいのだ。リーナは、魔力があり得ない程に強いと聞いている。体が慣れるまでは無理はしないように。」
陛下は優しく話しかけてくれた。しかし、初対面の時から気になっていたことがある。陛下の肩から背中にかけて、黒いものが付いて見えるような…。でも、誰も気付いてないよね?私しか見えてないのかな?今言っても、何言ってんだって、おかしな人だと思われるかな?うーむ。様子を見ながら、言えそうな雰囲気なら、言ってみよう。
陛下は私をじっと見つめている。何だろう?
「…150年前に召喚されて来た聖女の肖像画が残っているのだが、リーナはその聖女にそっくりだな。名前が同じで、顔まで似ているなんて、リーナはその聖女の子孫なのか?」
えっ?150年前の聖女だって?
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