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閑話

閑話 ゾグラフ男爵令嬢

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「お前は退学だと言われたぞ!それだけじゃない。デビュタントの日に、ロバーツ侯爵令嬢に絡んで、ハリス侯爵令息にワインをかけたらしいな!」

 突然、寮に訪ねてきたお父さんに怒鳴られている私。

「何で退学…?」

「お前が体を売っていることが学園にバレたようだな。しかも、お前が男達とまぐわう映像が学園関係者に見られたらしい。お前の好きなハリス侯爵家からは、親戚の縁切りをさっき言われて来たところだ…。」

 バシッ!

 私は、お父さんに殴り飛ばされたようだ…。

「…っ。」

「今から娼館に連れて行く。」

「いや!あのデブ親父のお嫁さんになるから、それだけは許して…。」

「バカか?ロバーツ侯爵家とハリス侯爵家に嫌われている阿婆擦れは、後妻に出来ないとすでに子爵から断られている。学園を退学になるお前に、今後縁談は来ないだろう。だからうちに置いておく必要がなくなった。」

 お父さんが部屋の外に声を掛けると、男が数人入って来た。


 気づくと私は娼館にいた…。


 元貴族で若くて可愛いと、すぐに人気が出た。
 男に媚びるのも、まぐわうのも大好きだったから、娼館の仕事は合っていたようだ。





 そして…。
 
 ここに来て何年だろう…。若いうちはいいけど、いつまでも出来る仕事ではないよね。

 前に金持ち貴族数人から身請けの話があったけど、直前になっていつも話が無くなる…。みんな私を気に入ってくれて、今度こそはと思ったのに。




 そして、更に数年。年齢的にもそろそろということで、かなり安い額で身請けされることになった。
 女将さんに身請けの相手を教えてもらうと、お客ではないらしい。安い額での身請けだから平民かな?




 娼館を出る日になった。

「ミリア!今までよく頑張った。病気にもならなくて良かったね。これは少しだけど餞別だよ。」

 付き合いは長かったので、女将さんは私をそれなりに可愛がってくれていたんだよね。
 
 女将さんに連れられて、店の外に出て行く。そこで待っていたのは……


「………っ!」

「姉さん…。やっと迎えに来れた。父上も母上も、姉さんを虐める人間はもう誰もいないから、私と一緒に帰ろう。2人で幸せになろうな。」

 どうして…?

「あら!男爵様。ミリアをよろしくお願いしますね!」


 女将さんは、私の身請けを本当に喜んでくれているようだ。

 なんて残酷なの……


 

 
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