記憶喪失になったら、義兄に溺愛されました。

せいめ

文字の大きさ
上 下
28 / 33
閑話

閑話 ゾグラフ男爵令嬢

しおりを挟む
 ジュリアン様をリアン様って愛称で呼ぶことに決めた私。だってあの女がそう呼ぶより、私がそう呼んであげた方が嬉しいはずでしょ。
 
 ある日、なぜか怒り狂うリアン様に放課後に呼び出されることになる。
 あ! このことをレティシアに伝えておこう。きっと見に来るわ。

 放課後、少し離れた場所からレティシアが見ているのに気づいた私は、リアン様にキスをした。
 ふふっ! これでレティシアも分かったでしょう?

 しかし……

 ドン!

 せっかくキスしてあげているのに、リアン様は私を突き飛ばす。
 しかも、私のキスを気持ち悪くて吐きそうだとまで……
 何で? 私のこと好きなんでしょ?

 ずっとそう思っていたのに、リアン様からは今すぐ死んで欲しいくらい大嫌いだと言われてしまった。私のレティーを傷つける害虫でしかないと、そこまで言われてしまったのだ。

 嘘でしょ? 今までのリアン様の行動は何なの?
 いや! 私は諦めないわ。どうせ私達がキスしている姿をレティシアには見せたのだから、あの二人はもう無理だろうし。
 リアン様、貴方を落とすから覚悟して!

 でもその後、リアン様からは徹底的に避けられ、目も合わせてもらえず、口も聞いてくれなくなってしまった。
 どうしようかな……? お母さんみたいに、媚薬でも使う?
 そんな計画を立てている時だったと思う。休日の昼間に、急に侯爵様と奥様に呼び出される。

「うちのリアンとレティシアちゃんの婚約が解消されたわよ」

 ラッキー! これで私がリアン様の婚約者だわ。
 
 そう思ったのに……

 私がレティシアに嫌がらせをしているところや、気分転換で令息とまぐわっているところ、イジメを自作自演しているところなど、隠し撮りされていた映像を見せられる。
 いつの間に撮られていたの?

 何とか誤魔化そうとするが、リアン様のお母様には殴られて、阿婆擦れ呼ばわりされた。
 リアン様には、愛する人との婚約がなくなったのはお前のせいだと言われた。

 そして、罰を受けてもらうと言われて連れて来られたのは地下牢だった。
 奥様のメイド達に体を拘束されて、メイド長から平手打ちで何度も殴られた。

「男爵がお迎えに来るまでは、ここで反省するようにとのことです。では、失礼します」

 お父さんが迎えに来る? なんでー?
 こんな薄暗い地下牢なんてイヤ!

 一人でやる事もなく、出される質素な食事を食べるだけ。何でこんなことに? 私はこの侯爵家のお嫁さん候補なのに!

 ……アレ? 体が熱ってきたような。

「えー、何でー? 体が疼く。……ハァ、ハァ。」

 こんな地下牢に閉じ込められたストレスかな?
 ああ、発散したい。誰か私を慰めてよ!

 そんな時、ガチャガチャと鍵を開ける音がする。若い男の使用人に見えるけど、力仕事でもしているのかな? 二人ともいい体で余計にムラッとする。
 その男達は牢屋の中に入って来た。

「……えっ、誰なの? ……ハァ、ハァ。」

「あ、あの……。よろしければ、私達の相手をしてもらえませんか?」

 そんなことを言われたら……

「今すぐ抱いて!」

 二人同時に相手に出来るか不安だったけど、交代で来てくれたから良かった!
 初めてだって教えてくれたから、私の技で二人にサービスしてあげた。二人ともすごく喜んでくれるし、すっごい元気だったから何回もしちゃった。

 激しくて良かったけど、ぐったりだわ。

 二人はお父さんが迎えに来るまで、毎日来てくれた。

 しかし私は気付いていなかった。
 使用人二人とまぐわっているところまで盗撮されていたなんて。
 誰が見ても私だとはっきり分かるように撮られていて、誤魔化すことも出来ないなんて。
 私の食事に媚薬が盛られていて、使用人二人は私を恨む人物の命令で来ていたということにすら気付けなかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!

高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。 7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。 だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。 成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。 そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る 【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。