記憶喪失になったら、義兄に溺愛されました。

せいめ

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閑話

閑話 ゾグラフ男爵令嬢

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 私は田舎の町娘だった。毎日忙しく働く母と私の二人家族。
 母は割と綺麗な人だったので、時々、恋人らしい男の人達が私が家に出入りしていた。後で気付くのだが、その男の人達は恋人ではなくて、母の体を買う客だったらしい。

 そんな母に似た私も、田舎の町中では可愛いと言われてチヤホヤされて過ごし、幼馴染や傭兵のお兄さんなどと、体の関係を持つくらい自由に生活していた。

 十五歳の時に母が馬車の事故で亡くなる。悲しむ中現れたのは、身なりのいい小太りでパッとしないおじさんだった。

「お前のお父さんだ。他に家族がいないと聞いたから引き取りに来た」

 他に行く宛てのない私には、拒否することが出来なかった。

 小さな馬車に乗せられ向かったのは、平民とは思えない邸だった。古いけど、今まで住んでいた家とは全然違う。私、もしかして貴族の娘だったの?

「ここはゾグラフ男爵家だ。これからは、男爵令嬢として過ごしてもらう」

 邸に入り紹介されたのは、お父さんの奥さんとその息子だった。

「貴女があの女の娘なの? 妾腹らしく、私達に迷惑かけないように生活しなさい。」

 妾腹? 私は愛人の子供ってこと? ……分かる! この奥さん、全然可愛くないし綺麗じゃないもん。だから私のお母さんを愛人にしてたのね。
 ま、歓迎されてないようだけど、こんなオバさんに私は負けない。

「俺より年上みたいだけど、姉だなんて呼ぶつもりはないから勘違いするなよ」

 私より一つ二つ歳下と見られる、パッとしない男が奥さんの息子か。ふーん、面白いじゃないの。

「はい! よろしくお願いします。」

 今追い出されるのは困るから、言う事を聞くふりをしてよう。

 お父さんはあまり私に興味がないようで、空気のようだったから良かった。それより面倒なのが奥さんの方。

「ミリア! 何度言ったら分かるの? 姿勢が悪いわ。それでは、金持ちの貴族に好かれないわよ!」

 平民だった私に貴族のマナーを教え、いつかは金になりそうな政略結婚に使いたいようだった。
 その為に引き取ったのね。私が可愛いからって。ムカつく!
 でも、無駄に反抗したら追い出されそうだしな。もう少し大きくなるまでは、家に置いて欲しいから我慢だよね。

 そんな私は、ストレス解消の相手として義弟を手懐けることにした。他に若い男がいなくて仕方なく。


 ある日の夜中。


 義弟の部屋に薄着で忍びこむ。
 幼馴染とかは、これくらいの時に女の子の体に興味を持ち始めていたからね。しかもこの邸の近所には田舎過ぎて、若くて可愛い女の子がいないし。

「……何しに来た?」

 まだ起きてたの?
 私は強引に抱きつき、ベッドに押し倒して、男の子が好きなところを沢山慰めてあげた。

「おい! 何をする?」

「少し待って。お願い。気持ち良くしてあげるから」
 
「……うっ」

 あっさりと終了。しかし、ここで引くと明日から気不味いからね。

「突然ごめんなさい。私、毎日寂しくてつらいの。だから、助けて……
 お願い! 貴方しかいないの。」

 目をウルウルさせてお願いし、また慰めてあげる。

 義弟はあっさり私に落ちた。


 
 
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