記憶喪失になったら、義兄に溺愛されました。

せいめ

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閑話

閑話 ラッセン伯爵令嬢

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「侯爵様、誤解ですわ。私はただ未来の義姉として、彼女のために助言をしただけのこと。嫌がらせなどはしておりません。」

 兄妹であんなベタベタして、恥をかかないようにと教えてあげただけなのに。牽制したい気持ちもあったけど、未来の義姉になる私が、親切に教えてあげただけでしょ?

 しかし、場の空気が重くなったのが分かった。

「発言を許してないが。伯爵、随分と自由な令嬢だな!」

「も、申し訳ありません。アイリーン、言葉を慎みなさい。」

「お父様、なぜですの?私は間違ったことは言ってませんわよ。」

「くっ、くっ、くっ!話にならんな。」

「間違えたことを言ってないだと?ふざけるな!」

 え?クリストファー様が怒ってしまったようだ。

「お前が、なぜレティシアの義姉になるのだ?
 伯爵様、御令嬢は学園で、私の婚約者になるだとか、決まってないことを、色々なところで言いふらしていたようですがどういう事ですか?」

「私達が結婚したら、私はクリストファー様の義妹の義姉になりますわ。それに、私達はもうすぐ婚約者になるのですから。」

「アイリーン!黙りなさい!」

 お父様が珍しく私を怒っているようだ。面白くないけど、クリストファー様達の前で親子喧嘩は恥ずかしいから、今は我慢するわ!
 そのかわり、お父様には後で、新しいドレスでも買ってもらおうかしら。クリストファー様の隣に並ぶのに、素敵なドレスが必要だもの。

「伯爵、この令嬢は精神を病んでいるのか?こんな令嬢との縁談なんて、うちは受けるつもりはないのに、勝手に婚約すると言いふらし、うちのレティシアに嫌がらせをして、正気の沙汰とは思えない。」

「も、申し訳ありませんでした。アイリーンは、責任を持って教育し直しますから、どうかお許しを。」

 お父様が蒼白の顔で、必死に謝っている。
 だから、私は悪いことはしてないわよ!

「教育をし直す?伯爵…、この書類に目を通してくれるか?」

 侯爵様は何かが書いてある書類をお父様に見せていた。お父様の方がガタガタと震えているのが分かる。

「アイリーン。ここに書いてあるのは本当か?」

 お父様は、その書類を私に見せてくれた。そこには、私が義妹に話した言葉やその時の態度など、細かく記録してあった。更に、義妹を殴ろうとしていたことまで。

 大したことしてないのに。あの女!



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