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記憶が戻った後の話
43 閑話 公爵
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自分の方から令嬢に話しかけるなんて何年ぶりだろうか?
控え目な彼女が放っておけず、日常で顔を合わせた時にほんの一言だけだが、私から声を掛けるようになっていた。
そんな日々が続いた後、彼女は王妃殿下からお茶会に招待される。ちょうどその日は私も仕事で王宮に行く用事があり、彼女と一緒に行くことになった。
事件が起きたのは王妃殿下とのお茶会の後だった。彼女は自分の姉の友人であるオフリー子爵令嬢から暴言を吐かれていたのだ。
格上の伯爵令嬢に無礼な振る舞いをするオフリー子爵令嬢にカチンときた私は、我慢出来ず声を掛けていた。
その時に気付いたが、気が弱く貴族生活に慣れていない彼女は、何も言い返せずに泣きそうな顔で黙り込んでいた。
彼女の悲しそうな表情を見た私は、胸が抉られたような気分になる。
あの表情はアリスが私に向けていた表情と同じだ。あの頃、オーロラ・マーズレイに操られていた私はアリスに憎しみを感じ、彼女を呼び出しては暴言を浴びせていた。その時のアリスは今のベント伯爵令嬢と同じ表情をしていたのだ。
気づくと私は激しい怒りと悲しみが込み上げて、感情を剥き出しにしてオフリー子爵令嬢に抗議していた。
彼女のことは私が守らなくてはいけない。あの頃のように、何も出来ないままでいるのはダメだ……
彼女が悲しそうにしていると私まで苦しくなる。
彼女が笑うと心が温かくなる。こんな気分になるのは、アリスが亡くなってから初めてのことだ。
恐らくその頃には、私は彼女に恋をしていたのだと思う。そのことに気づくのは、王妃殿下から縁談を勧められて、縁談話に乗り気でいる彼女の姿を見た後だった。
まだ十六歳で若い彼女が、実家が決めた望まない縁談を避けるために、急いで婚約者を探さなくてはならないなんて……
難色を示した私に王妃殿下は、公爵家の関係者から良い人物を探すようにと言う。
私はモヤモヤしながらも彼女に相応しい男を探すが、なかなか納得出来る男は見つからなかった。
完璧な人間がいないことは知っているのに、粗探しばかりしてしまうのだ。
その時に気付いてしまった。私は他の男に彼女を取られることが嫌なのだと。
年の差があることは気ががりだったが、思い切って彼女に婚約を申し込むことにした。あの時のように、自分の気持ちを伝えられずに後悔はしたくなかったのだ。
彼女は私から婚約を申し込まれるとは思っていなかったようで、戸惑ったような顔をした後、頬を赤く染めながら私の気持ちを受け入れてくれた。
婚約が決まった後は幸せだった。彼女はひかえめながらも、私を愛してくれているのが伝わってきたし、公爵夫人として必要なことを必死になって覚えようとする姿も可愛くて仕方がなかった。
「閣下、アリシア様ですが、公爵家の内政管理の業務を一日もかからずに覚えてしまいました。
こんなことはあり得ません。優秀な文官であっても数日はかかるはずです。まるで一度習ったことがあるかのように、簡単にこなしてしまうのです。
文字もとても美しくて平民で育ってきたとは思えませんし、筆跡が……あの方とよく似ていらして……」
「セバスチャン、たとえ似ているところが多くても、アリシアはアリシアなんだ」
「……失礼致しました」
家令のセバスチャンやメイド長は、私の婚約者だったアリスのことをよく知っていた。しかし、二人は今の婚約者であるアリシアをしっかりと支えてくれ、彼女の様子を細かく報告してくれる。
婚約したものの、私の昔の婚約者にそっくりな上に、気が弱くて社交慣れしていないアリシアは、社交界で嫌がらせを受けることが多かった。
あまりに酷い時は、私が嫌がらせをしてきた相手を社交界から追放してやった。
そして彼女が十八歳になる日に私達は結婚した。
結婚生活は毎日が穏やかで、こんな日々が続けばいいと感じていた。
しかし、アリシアは夜会で私が目を離した間に姉によって階段から突き落とされ、生死を彷徨うことになってしまう。
それから数日後、謝罪に訪れたベント伯爵に私は強い怒りをぶつけていた。
「ベント伯爵、お前は娘の教育も出来ないのか?
いくら妹といっても、今はアンダーソン公爵夫人……公爵夫人の命を狙うなど、普通ではあり得ない。あの女は、事あるごとにアリーに嫌がらせを繰り返してきた。今回だけは許されることではない」
「も、申し訳ありません。娘とは縁を切り、娘の教育を怠った妻は謹慎させます」
「アリーが目覚めなかったら領地戦だ。国王陛下から許可は得ている。覚悟しておけ!」
「そ、それだけはお許し下さい。アンダーソン公爵家と領地戦をしたら、我が伯爵家は存続出来ません」
「今まで何度も消してやろうと思ったが、あんな伯爵家でもアリーの実家だからと大目に見てやっただけだ。これ以上、我慢出来ない。妻の命を狙う伯爵家など消えればいい……
おい、伯爵を追い出せ!」
「閣下、どうかお許しを……」
医師から、頭を強く打ったアリーが助かるか分からないと言われ、私は壊れそうになっていた。
やっと見つけた私の最愛をこんなことで失いたくない。私はまた一人で残されるのか……?
ギリギリの状態で何とか平常心を保ち、アリーの看病の合間に執務をこなす日々を送っていたある日……
「公爵様! 奥様が目覚められました」
メイドに呼ばれて急いでアリーの所に向かう。目覚めたことを喜ぶが、彼女は記憶を失っていた。私を見つめる目に熱はなく、よそよそしい態度になる。
更にアリスと似た行動を取り出し、気の弱かったアリーは、活発でお転婆な夫人になっていた。
公爵夫人として強くあることを求めてはいたが、あの雰囲気はどう見ても高位貴族として育ってきた者の振る舞いだ。
しかし、使用人達に優しく接するところや、私の体調を気遣ってくれるところは以前のアリーと同じで、彼女への愛情は全く変わらなかった。
そんなある日、王宮の図書館に出かけたアリーが倒れたと連絡を受ける。
慌ててアリーを迎えに行った私が耳にしたのは……
「公爵夫人は昔の新聞記事を読んでいて、急に倒れられたようです」
「……昔の新聞?」
「はい。何かを調べていたようで、過去の新聞を細かくチェックされていたようでした。
オーロラ・マーズレイ元男爵令嬢の公開処刑の記事を読んでいたらしく、そのページが開いたままになっておりました」
その話を聞き、私の胸の奥にあった疑惑が確信へと変わった。
※いつも読んでくださってありがとうございます。
思った以上に文字数が増えてしまいましたので、短編から長編に変更いたします。
次の話からアリシア視点に戻ります。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。
控え目な彼女が放っておけず、日常で顔を合わせた時にほんの一言だけだが、私から声を掛けるようになっていた。
そんな日々が続いた後、彼女は王妃殿下からお茶会に招待される。ちょうどその日は私も仕事で王宮に行く用事があり、彼女と一緒に行くことになった。
事件が起きたのは王妃殿下とのお茶会の後だった。彼女は自分の姉の友人であるオフリー子爵令嬢から暴言を吐かれていたのだ。
格上の伯爵令嬢に無礼な振る舞いをするオフリー子爵令嬢にカチンときた私は、我慢出来ず声を掛けていた。
その時に気付いたが、気が弱く貴族生活に慣れていない彼女は、何も言い返せずに泣きそうな顔で黙り込んでいた。
彼女の悲しそうな表情を見た私は、胸が抉られたような気分になる。
あの表情はアリスが私に向けていた表情と同じだ。あの頃、オーロラ・マーズレイに操られていた私はアリスに憎しみを感じ、彼女を呼び出しては暴言を浴びせていた。その時のアリスは今のベント伯爵令嬢と同じ表情をしていたのだ。
気づくと私は激しい怒りと悲しみが込み上げて、感情を剥き出しにしてオフリー子爵令嬢に抗議していた。
彼女のことは私が守らなくてはいけない。あの頃のように、何も出来ないままでいるのはダメだ……
彼女が悲しそうにしていると私まで苦しくなる。
彼女が笑うと心が温かくなる。こんな気分になるのは、アリスが亡くなってから初めてのことだ。
恐らくその頃には、私は彼女に恋をしていたのだと思う。そのことに気づくのは、王妃殿下から縁談を勧められて、縁談話に乗り気でいる彼女の姿を見た後だった。
まだ十六歳で若い彼女が、実家が決めた望まない縁談を避けるために、急いで婚約者を探さなくてはならないなんて……
難色を示した私に王妃殿下は、公爵家の関係者から良い人物を探すようにと言う。
私はモヤモヤしながらも彼女に相応しい男を探すが、なかなか納得出来る男は見つからなかった。
完璧な人間がいないことは知っているのに、粗探しばかりしてしまうのだ。
その時に気付いてしまった。私は他の男に彼女を取られることが嫌なのだと。
年の差があることは気ががりだったが、思い切って彼女に婚約を申し込むことにした。あの時のように、自分の気持ちを伝えられずに後悔はしたくなかったのだ。
彼女は私から婚約を申し込まれるとは思っていなかったようで、戸惑ったような顔をした後、頬を赤く染めながら私の気持ちを受け入れてくれた。
婚約が決まった後は幸せだった。彼女はひかえめながらも、私を愛してくれているのが伝わってきたし、公爵夫人として必要なことを必死になって覚えようとする姿も可愛くて仕方がなかった。
「閣下、アリシア様ですが、公爵家の内政管理の業務を一日もかからずに覚えてしまいました。
こんなことはあり得ません。優秀な文官であっても数日はかかるはずです。まるで一度習ったことがあるかのように、簡単にこなしてしまうのです。
文字もとても美しくて平民で育ってきたとは思えませんし、筆跡が……あの方とよく似ていらして……」
「セバスチャン、たとえ似ているところが多くても、アリシアはアリシアなんだ」
「……失礼致しました」
家令のセバスチャンやメイド長は、私の婚約者だったアリスのことをよく知っていた。しかし、二人は今の婚約者であるアリシアをしっかりと支えてくれ、彼女の様子を細かく報告してくれる。
婚約したものの、私の昔の婚約者にそっくりな上に、気が弱くて社交慣れしていないアリシアは、社交界で嫌がらせを受けることが多かった。
あまりに酷い時は、私が嫌がらせをしてきた相手を社交界から追放してやった。
そして彼女が十八歳になる日に私達は結婚した。
結婚生活は毎日が穏やかで、こんな日々が続けばいいと感じていた。
しかし、アリシアは夜会で私が目を離した間に姉によって階段から突き落とされ、生死を彷徨うことになってしまう。
それから数日後、謝罪に訪れたベント伯爵に私は強い怒りをぶつけていた。
「ベント伯爵、お前は娘の教育も出来ないのか?
いくら妹といっても、今はアンダーソン公爵夫人……公爵夫人の命を狙うなど、普通ではあり得ない。あの女は、事あるごとにアリーに嫌がらせを繰り返してきた。今回だけは許されることではない」
「も、申し訳ありません。娘とは縁を切り、娘の教育を怠った妻は謹慎させます」
「アリーが目覚めなかったら領地戦だ。国王陛下から許可は得ている。覚悟しておけ!」
「そ、それだけはお許し下さい。アンダーソン公爵家と領地戦をしたら、我が伯爵家は存続出来ません」
「今まで何度も消してやろうと思ったが、あんな伯爵家でもアリーの実家だからと大目に見てやっただけだ。これ以上、我慢出来ない。妻の命を狙う伯爵家など消えればいい……
おい、伯爵を追い出せ!」
「閣下、どうかお許しを……」
医師から、頭を強く打ったアリーが助かるか分からないと言われ、私は壊れそうになっていた。
やっと見つけた私の最愛をこんなことで失いたくない。私はまた一人で残されるのか……?
ギリギリの状態で何とか平常心を保ち、アリーの看病の合間に執務をこなす日々を送っていたある日……
「公爵様! 奥様が目覚められました」
メイドに呼ばれて急いでアリーの所に向かう。目覚めたことを喜ぶが、彼女は記憶を失っていた。私を見つめる目に熱はなく、よそよそしい態度になる。
更にアリスと似た行動を取り出し、気の弱かったアリーは、活発でお転婆な夫人になっていた。
公爵夫人として強くあることを求めてはいたが、あの雰囲気はどう見ても高位貴族として育ってきた者の振る舞いだ。
しかし、使用人達に優しく接するところや、私の体調を気遣ってくれるところは以前のアリーと同じで、彼女への愛情は全く変わらなかった。
そんなある日、王宮の図書館に出かけたアリーが倒れたと連絡を受ける。
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「……昔の新聞?」
「はい。何かを調べていたようで、過去の新聞を細かくチェックされていたようでした。
オーロラ・マーズレイ元男爵令嬢の公開処刑の記事を読んでいたらしく、そのページが開いたままになっておりました」
その話を聞き、私の胸の奥にあった疑惑が確信へと変わった。
※いつも読んでくださってありがとうございます。
思った以上に文字数が増えてしまいましたので、短編から長編に変更いたします。
次の話からアリシア視点に戻ります。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。
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