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04 デビュタント
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「ベント伯爵家、次女のアリシアでございます」
「……!」
「……」
デビュタントでは一人ずつ国王陛下と王妃殿下に挨拶をして、一言お声を掛けて頂くのが慣例になっている。
緊張はしたが、私にしては上手く挨拶が出来たと思った。しかし、国王陛下も王妃殿下も私を見て絶句している。
私、何か失敗したかしら?
どうしよう……。帰ったら義母や義姉に恥晒しだと罵られて打たれるかもしれない。
「陛下、お言葉をお願いします」
しかし、陛下の側近が冷静に対応してくれたことで助けられた。
「……失礼。ベント伯爵令嬢、今日はおめでとう」
まだ30代くらいの美しい国王陛下からお声を掛けていただいてホッとする。しかし、これで話は終わらなかった。
「ベント伯爵令嬢は体が弱くてずっと領地で療養されていたとか?
それなのに、とても美しいカーテシーをするのね。思わず見惚れてしまったわ」
その美しい声は王妃殿下だった。国王陛下が声を掛けてくれたら挨拶は終わるはずなのに……
眩しいくらいの美貌を持つ王妃殿下に話しかけられて、私の心臓は飛び出してきそうだ。
こんな美しい人は初めて見たわ!
「勿体ないお言葉でございます」
「まあ、とても謙虚なのね。きっと貴女の踊るダンスも素敵でしょうね。
そうだわ! 陛下、今年は王族からデビューする令嬢がいないのですから、ぜひベント伯爵令嬢をダンスに誘ってあげて下さいませ」
ダンス……? 何で陛下と? それだけは絶対にダメ! カーテシーを褒めてくれたことは嬉しかったけど、偶然上手に出来ただけなのに。
陛下には〝私は王妃としかダンスは踊らないぞ〟とか適当なことを言ってやんわりと断って欲しい。
しかし……
「そうだな。いつもデビュタントでは、王族の令嬢をダンスに誘っていたが、今年はデビューする令嬢がいない。
王妃はベント伯爵令嬢を気に入ったようだし、後で令嬢をダンスに誘わせてもらおう」
体から血の気が引いてきた。ダンスなんて踊ったこともないのにどうしよう?
その時、いつも傍観ばかりの父がスッと横からやって来た。
「陛下・王妃殿下、お話中に失礼致します。
娘は幼い頃から体が弱く、普通の御令嬢が出来ることすらまだ難しい状態です。
デビュタントで陛下にダンスを誘って頂けるのは大変光栄なことですが……」
父は上手く断ろうとしてくれたが、強引な陛下に言葉を遮られる。
「伯爵は心配性だな。ダンスが苦手な令嬢は沢山いるし、デビュタントで完璧に踊れる令嬢など滅多にいない。私がリードするから大事だ」
「しかし陛下……」
「ふふっ……。陛下のダンスのリードはとてもお上手ですのよ。
ベント伯爵はそれでもダメだと仰るのかしら?
デビュタントで陛下とダンスを踊ることは、伯爵家や御令嬢にとっても悪いことではないはずよ」
王妃殿下は柔らかく微笑んでいるが、絶対に断らせないという圧力が言葉から伝わってくる。
そこまで言われたら父も断れないようだ。
少し離れた場所からは、義母と姉が私を睨むように見ていて恐ろしい。
不安しかなかったダンスだが、終わってみたらなぜか周りの人や王妃殿下から好評だった。陛下のリードが上手だったので何とかなったのだと思う。
不思議と体がダンスを覚えていたかのように軽やかに動いてくれて、陛下の足を踏まずに踊れたので安心した。
「素敵なダンスだったわ」
「デビュタントであんなに完璧なダンスを踊れるなんて、ベント伯爵令嬢は素晴らしいわね」
「御令嬢をあのように完璧に教育されて、ベント伯爵夫人は凄いわ」
周りから沢山のお褒めの言葉を掛けてもらったことで、父と義母は満更でもなさそうな顔でいる。事情を知らない人からは、病弱で学園にすら通えなかった義娘を義母が立派に育てたように見えていたようだ。
◇◇
デビュタントを終えた翌日、私は家族と一緒に朝食を食べるためにダイニングに呼ばれる。
今まではゴミのような食事を部屋で一人で食べていたのにどうして……?
「お母様! こんな平民女と食事を一緒に食べるのですか? 食事が不味くなりますわ」
姉は私の顔を見て露骨に嫌な顔をしている。
私だって一人の部屋で食べる方が良かった。そんなに睨みつけないで欲しいわ。
「エステル、お黙りなさい。
社交界にデビューした妹を平民呼ばわりするのはいけませんよ。
アリシアには貴族としてのマナーを身に付けてもらうために、今後は食事やお茶は全て私達と一緒に取ってもらいます。家庭教師も呼ぶことにしたわ。」
「お母様、本気なの?
デビュタントで陛下と王妃殿下にちょっとだけ気に入られたからって、こんなのおかしいわ!」
そういうことだったのね……
運良くデビュタントが上手くいったから、父と義母の中で私の利用価値が上がったのだろう。
「陛下とダンスを踊ったから、アリシアは社交界で注目されているの。
エステルは姉として妹の面倒をしっかり見てあげなさい。それが伯爵家やエステル自身のためでもあるのよ。分かったわね?」
「……分かりました」
父と義母の私への態度が変わったことで、使用人達の態度も分かりやすく変化した。
しかし、姉と姉のメイド達は父と義母のいない所で私をネチネチと虐め続けた。
「……!」
「……」
デビュタントでは一人ずつ国王陛下と王妃殿下に挨拶をして、一言お声を掛けて頂くのが慣例になっている。
緊張はしたが、私にしては上手く挨拶が出来たと思った。しかし、国王陛下も王妃殿下も私を見て絶句している。
私、何か失敗したかしら?
どうしよう……。帰ったら義母や義姉に恥晒しだと罵られて打たれるかもしれない。
「陛下、お言葉をお願いします」
しかし、陛下の側近が冷静に対応してくれたことで助けられた。
「……失礼。ベント伯爵令嬢、今日はおめでとう」
まだ30代くらいの美しい国王陛下からお声を掛けていただいてホッとする。しかし、これで話は終わらなかった。
「ベント伯爵令嬢は体が弱くてずっと領地で療養されていたとか?
それなのに、とても美しいカーテシーをするのね。思わず見惚れてしまったわ」
その美しい声は王妃殿下だった。国王陛下が声を掛けてくれたら挨拶は終わるはずなのに……
眩しいくらいの美貌を持つ王妃殿下に話しかけられて、私の心臓は飛び出してきそうだ。
こんな美しい人は初めて見たわ!
「勿体ないお言葉でございます」
「まあ、とても謙虚なのね。きっと貴女の踊るダンスも素敵でしょうね。
そうだわ! 陛下、今年は王族からデビューする令嬢がいないのですから、ぜひベント伯爵令嬢をダンスに誘ってあげて下さいませ」
ダンス……? 何で陛下と? それだけは絶対にダメ! カーテシーを褒めてくれたことは嬉しかったけど、偶然上手に出来ただけなのに。
陛下には〝私は王妃としかダンスは踊らないぞ〟とか適当なことを言ってやんわりと断って欲しい。
しかし……
「そうだな。いつもデビュタントでは、王族の令嬢をダンスに誘っていたが、今年はデビューする令嬢がいない。
王妃はベント伯爵令嬢を気に入ったようだし、後で令嬢をダンスに誘わせてもらおう」
体から血の気が引いてきた。ダンスなんて踊ったこともないのにどうしよう?
その時、いつも傍観ばかりの父がスッと横からやって来た。
「陛下・王妃殿下、お話中に失礼致します。
娘は幼い頃から体が弱く、普通の御令嬢が出来ることすらまだ難しい状態です。
デビュタントで陛下にダンスを誘って頂けるのは大変光栄なことですが……」
父は上手く断ろうとしてくれたが、強引な陛下に言葉を遮られる。
「伯爵は心配性だな。ダンスが苦手な令嬢は沢山いるし、デビュタントで完璧に踊れる令嬢など滅多にいない。私がリードするから大事だ」
「しかし陛下……」
「ふふっ……。陛下のダンスのリードはとてもお上手ですのよ。
ベント伯爵はそれでもダメだと仰るのかしら?
デビュタントで陛下とダンスを踊ることは、伯爵家や御令嬢にとっても悪いことではないはずよ」
王妃殿下は柔らかく微笑んでいるが、絶対に断らせないという圧力が言葉から伝わってくる。
そこまで言われたら父も断れないようだ。
少し離れた場所からは、義母と姉が私を睨むように見ていて恐ろしい。
不安しかなかったダンスだが、終わってみたらなぜか周りの人や王妃殿下から好評だった。陛下のリードが上手だったので何とかなったのだと思う。
不思議と体がダンスを覚えていたかのように軽やかに動いてくれて、陛下の足を踏まずに踊れたので安心した。
「素敵なダンスだったわ」
「デビュタントであんなに完璧なダンスを踊れるなんて、ベント伯爵令嬢は素晴らしいわね」
「御令嬢をあのように完璧に教育されて、ベント伯爵夫人は凄いわ」
周りから沢山のお褒めの言葉を掛けてもらったことで、父と義母は満更でもなさそうな顔でいる。事情を知らない人からは、病弱で学園にすら通えなかった義娘を義母が立派に育てたように見えていたようだ。
◇◇
デビュタントを終えた翌日、私は家族と一緒に朝食を食べるためにダイニングに呼ばれる。
今まではゴミのような食事を部屋で一人で食べていたのにどうして……?
「お母様! こんな平民女と食事を一緒に食べるのですか? 食事が不味くなりますわ」
姉は私の顔を見て露骨に嫌な顔をしている。
私だって一人の部屋で食べる方が良かった。そんなに睨みつけないで欲しいわ。
「エステル、お黙りなさい。
社交界にデビューした妹を平民呼ばわりするのはいけませんよ。
アリシアには貴族としてのマナーを身に付けてもらうために、今後は食事やお茶は全て私達と一緒に取ってもらいます。家庭教師も呼ぶことにしたわ。」
「お母様、本気なの?
デビュタントで陛下と王妃殿下にちょっとだけ気に入られたからって、こんなのおかしいわ!」
そういうことだったのね……
運良くデビュタントが上手くいったから、父と義母の中で私の利用価値が上がったのだろう。
「陛下とダンスを踊ったから、アリシアは社交界で注目されているの。
エステルは姉として妹の面倒をしっかり見てあげなさい。それが伯爵家やエステル自身のためでもあるのよ。分かったわね?」
「……分かりました」
父と義母の私への態度が変わったことで、使用人達の態度も分かりやすく変化した。
しかし、姉と姉のメイド達は父と義母のいない所で私をネチネチと虐め続けた。
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