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断りたい
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殺伐とした中で食べる夕食は全く味を感じず、この冷え冷えした雰囲気に耐えられなかった私は、サッと食べて部屋に戻ろうとしたのだが……
「エリーゼ。食べ終わったらここで家族会議をするから、このまま待っているように」
横から偏屈の冷たい声が聞こえてきた。
私に視線を向けずに淡々と話をするのはやめようよ……
「か、家族会議……?
また急ですわね。議題は……?」
「議題はお前の縁談と今後についての話だ。
今日、あのようなことがあったから緊急で話し合っておく必要がある。曖昧には出来ないからな。
父上と母上の考えもお聞かせ下さい」
「ハァー。分かった」
「オスカーの考えも聞かせてもらうわよ」
えー! まだこの雰囲気が続くの?
その後、食事が終わり、お茶を淹れてくれた使用人たちはダイニングから退室していく。
家族会議だから人払いするらしい。
「で、エリーゼはどうするつもりなんだ?
父上と母上は、王弟殿下をエリーゼの縁談相手として認めたということでよろしいですね?」
偏屈は今すぐハッキリさせないと気が済まないらしい……
「お義兄様の言う通りだと思いました。
このままでは私の意志に関係なく殿下に外堀を埋められてしまいそうで怖いです。
王弟殿下にはハッキリとお断りしてきます。
私はそこまで結婚願望がないのです。王族の方との縁談は大きな重圧でしかありません」
「エリーゼ。殿下はお前と親しくさせて欲しいと、私達に頭を下げて来たんだ。
もう少し殿下に向き合ってやったらどうだ?」
「そうよ。最後に決めるのはリーゼだけど、まだちゃんと殿下と向き合っていないじゃないの。
殿下は本気なのに可哀想だわ。今だから話せるけど、行方不明になったリーゼを必死に探してくれたし、リーゼが見つかる前の殿下は私達以上に落ち込んでいたわ。本当に良い人だと思うのよ。
まあ、私のタイプはオルダー伯爵様だけど……」
こんな時でもお義母様のローランド推しはブレないようだ。
カッコいいだけでなく、優しくて礼儀正しいから娘婿にはちょうど良く見えるのかもね。煩い小姑は遠くに行ってしまっていないし。
しかし偏屈は、そんなお義母様を容赦なくぶった切る。
「母上の好みを聞いているのではありません。
エリーゼ。お前が殿下と結婚したくないと言っても、他に相手がいないうちは殿下は絶対に諦めないぞ。
誰か別の相手を見つけてこい」
簡単に言っているけど、今の私に寄ってくるのは私個人よりも、クリフォード公爵家や私の持つ小金に興味がある人ばかりでまともな人がいないのよ。
私、貴族でいる以上はまともな結婚は出来ないのかもしれない。平民でいる方が自然な出会いがあって良かったりして……
「オスカー。貴方はリーゼのことばかり煩く言っているけど、貴方が結婚できないから私達はリーゼに期待してしまうのよ。
さっさと無難な人を見つけて、結婚して跡取りを作ってちょうだい!
跡取りを作れば別居しようが離縁しようが、貴方たちの好きにしていいわよ」
「私に結婚を望むのはやめて欲しいと何度も話していますが!」
マジですか? 一人息子で他に跡取りがいないのに、ハッキリと結婚拒否をするとは。
はっ! 私、何で気付かなかったんだろう……
義兄って女の人よりも、男の子が好きな人だったりする? それなら結婚も子作りも嫌なのは理解できるわ。
「エリーゼ。私は男が好きなのではない!
令嬢が嫌いなだけだ」
私が考えていたことがバレていたらしい……
「令嬢が嫌いなら、平民の良い子を探して、どこかの貴族の養女にしてもらってから結婚すればいいのではないでしょうか?」
「あら、それもいいわね」
「私も構わないぞ」
義両親は納得してくれたが、義兄は私を睨みつけてきた。
怖いから! 何で今日はこんなに機嫌が悪いのよ。
その後も無駄な話し合いが続き、最終的に義両親から言われたのは、王弟殿下は真剣なのだから、もう少し向き合ってから考えるようにとのことだった。
それでも無理だと判断したら断っても構わないと。
グダグダした日々を送っていたら、王弟殿下のパートナーとして参加する、陛下の即位記念パーティーの日を迎えていた。
「エリーゼ。食べ終わったらここで家族会議をするから、このまま待っているように」
横から偏屈の冷たい声が聞こえてきた。
私に視線を向けずに淡々と話をするのはやめようよ……
「か、家族会議……?
また急ですわね。議題は……?」
「議題はお前の縁談と今後についての話だ。
今日、あのようなことがあったから緊急で話し合っておく必要がある。曖昧には出来ないからな。
父上と母上の考えもお聞かせ下さい」
「ハァー。分かった」
「オスカーの考えも聞かせてもらうわよ」
えー! まだこの雰囲気が続くの?
その後、食事が終わり、お茶を淹れてくれた使用人たちはダイニングから退室していく。
家族会議だから人払いするらしい。
「で、エリーゼはどうするつもりなんだ?
父上と母上は、王弟殿下をエリーゼの縁談相手として認めたということでよろしいですね?」
偏屈は今すぐハッキリさせないと気が済まないらしい……
「お義兄様の言う通りだと思いました。
このままでは私の意志に関係なく殿下に外堀を埋められてしまいそうで怖いです。
王弟殿下にはハッキリとお断りしてきます。
私はそこまで結婚願望がないのです。王族の方との縁談は大きな重圧でしかありません」
「エリーゼ。殿下はお前と親しくさせて欲しいと、私達に頭を下げて来たんだ。
もう少し殿下に向き合ってやったらどうだ?」
「そうよ。最後に決めるのはリーゼだけど、まだちゃんと殿下と向き合っていないじゃないの。
殿下は本気なのに可哀想だわ。今だから話せるけど、行方不明になったリーゼを必死に探してくれたし、リーゼが見つかる前の殿下は私達以上に落ち込んでいたわ。本当に良い人だと思うのよ。
まあ、私のタイプはオルダー伯爵様だけど……」
こんな時でもお義母様のローランド推しはブレないようだ。
カッコいいだけでなく、優しくて礼儀正しいから娘婿にはちょうど良く見えるのかもね。煩い小姑は遠くに行ってしまっていないし。
しかし偏屈は、そんなお義母様を容赦なくぶった切る。
「母上の好みを聞いているのではありません。
エリーゼ。お前が殿下と結婚したくないと言っても、他に相手がいないうちは殿下は絶対に諦めないぞ。
誰か別の相手を見つけてこい」
簡単に言っているけど、今の私に寄ってくるのは私個人よりも、クリフォード公爵家や私の持つ小金に興味がある人ばかりでまともな人がいないのよ。
私、貴族でいる以上はまともな結婚は出来ないのかもしれない。平民でいる方が自然な出会いがあって良かったりして……
「オスカー。貴方はリーゼのことばかり煩く言っているけど、貴方が結婚できないから私達はリーゼに期待してしまうのよ。
さっさと無難な人を見つけて、結婚して跡取りを作ってちょうだい!
跡取りを作れば別居しようが離縁しようが、貴方たちの好きにしていいわよ」
「私に結婚を望むのはやめて欲しいと何度も話していますが!」
マジですか? 一人息子で他に跡取りがいないのに、ハッキリと結婚拒否をするとは。
はっ! 私、何で気付かなかったんだろう……
義兄って女の人よりも、男の子が好きな人だったりする? それなら結婚も子作りも嫌なのは理解できるわ。
「エリーゼ。私は男が好きなのではない!
令嬢が嫌いなだけだ」
私が考えていたことがバレていたらしい……
「令嬢が嫌いなら、平民の良い子を探して、どこかの貴族の養女にしてもらってから結婚すればいいのではないでしょうか?」
「あら、それもいいわね」
「私も構わないぞ」
義両親は納得してくれたが、義兄は私を睨みつけてきた。
怖いから! 何で今日はこんなに機嫌が悪いのよ。
その後も無駄な話し合いが続き、最終的に義両親から言われたのは、王弟殿下は真剣なのだから、もう少し向き合ってから考えるようにとのことだった。
それでも無理だと判断したら断っても構わないと。
グダグダした日々を送っていたら、王弟殿下のパートナーとして参加する、陛下の即位記念パーティーの日を迎えていた。
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